展覧会

日本書道美術館が誘なう書道展

日本書道美術館創立50周年記念・秋季特別展 収蔵品にみる五十年のあゆみ ‐昭和の書・三大コレクション‐ 会期:令和6年1月13日(土)~3月3日(日) 月・火曜日休館

ごあいさつ

 日本書道美術館は昨年11月4日、創立満50年を迎えました。
新春特別展は、本館の特徴を広く多くの方々に知っていただくことを目的として、 「収蔵品にみる五十年の歩み-昭和の書・三大コレクション-柴舟・保子・塊堂」を開催いたします。
 当館のコレクションの特徴は、仮名書道の豊富さにあります。その中から特筆すべき3人を取り上 げました。
 平安朝仮名復古の功績により“昭和の行成”と称賛され、書家として初めて日本藝術院会員となった歌人・国文学者でもある尾上柴舟。柴舟の門からは仮名作家として活躍する多くの人々が輩出されました。
 また、博覧強記ぶりを数多の臨書に残し、臨書の作品としての方向性を示してくれた藤岡保子は、 上皇后陛下の師としても知られ、古典の香り高い個性豊かな多くの作品を残しました。
 そして、会場芸術として仮名表現を確立した“大字仮名七人の侍”のひとりとして、一世を風靡し 且つ写経研究の第一人者である田中塊堂。その格調高い写経は平安朝の薫り高く、他の追随を許しま せん。
 柴舟と塊堂は、当館設立の中心的役割を果たした小山天舟の師であり、また、保子には尊敬と敬愛 の念を寄せておりました。いずれも、古典研究から独自の書風を確立していった人々です。彼らの作 品は、気品に満ち、書格高く、現代の私たちに書道作品の魅力をあらためて示してくれます。

2024年1月13日

公益財団法人日本書道美術館

館長  大 城 章 二

出品者・出品作品

出品者・出品作品

過去の展覧会

日本書道美術館展

ごあいさつ

 日本書道美術館は、本年11月4日を以て開館して50年となります。記念行事の皮切りを飾る特別展として、
「奉祝・御即位五年 天皇陛下御製 皇后陛下御歌 展 ―御製御歌を書にしたためて―」を開催する運びとなりました。
 今上陛下御即位5年、御成婚30年に祝意を表し、両陛下の御製御歌を各界の第一線で活躍する方々にご染筆いただき、その書作品をとおして両陛下の歌会始御発表の和歌をご紹介いたします。
今上陛下は、御成年から令和5年の御製全42首、皇后陛下は、御成婚から令和5年までの御歌全30首、あわせて72首を様々な分野でご活躍の72名の皆様方が歌意を汲んで、心を込めて謹書申し上げました。
 近年、墨を磨り、毛筆で文字をしたためる機会が激減しており、毛筆は書家、そしてごく限られた職種で使われるものになってしまったようです。本展にて、書を専門としてはいない方々の毛筆書き作品にも触れていただき、その魅力を発見し、生活の中で毛筆書きにもっと親しんでいただけるきっかけとなりましたら幸いです。
 また、本展開催に当たり、長年にわたり和歌御用掛をお勤めになられた岡野弘彦先生(数え百歳)に「皇室と和歌」をテーマに一文をお寄せいただくようお願い申し上げましたところ、いまや齢を重ねて言の葉を紡ぎ兼ねると、
「己が身のほろぶる日まで詠みつがむ しらべすがしき やまと言(こと)の葉」と詠嘆され、第八歌集『美(うつく)しく愛(かな)しき日本(にほん)』からお歌とエッセイの転載のお許しをいただきました。本展図録をご参照ください。
 本展開催に当たり、宮内庁並びに作品をお寄せくださいました諸先生、そして岡野弘彦先生、関係各位にあらためて厚く御礼申し上げます。

    2023年11月1日

館長  大城章二(彫刻家)

謹書者(敬称略・50音順) 

御製 青山浩之(書家・横浜国立大学教授) 赤堀郁彦(漆芸家・日展特別会員) 淺井愼平(写真家・大阪芸術大学大学院教授)  新井光風(書家・恩賜賞日本藝術院賞受賞) 池田桂鳳(書家・恩賜賞日本藝術院賞受賞) 井茂圭洞(書家・文化勲章受章) 石田一志(音楽評論家・芸術選奨文部科学大臣賞受賞) 牛窪梧十(書家・恩賜賞日本藝術院賞受賞) 大城章二(彫刻家・日本書道美術館館長) 桂 盛仁(彫金家・重要無形文化財保持者) 観世清和(文化功労者・観世流第二十六世宗家) 杭迫柏樹(書家・日本藝術院受賞) 黒田賢一(書家・文化功労者) 三枝成彰(作曲家・文化功労者) 佐藤禎一(東京国立博物館名誉館長・元文部事務次官) 清水透石(書家・元大東文化大学教授) 千 宗左(茶道表千家十五代家元) 千 宗室(茶道裏千家十六代家元) 髙木聖雨(書家・日本藝術院会員) 高木厚人(書家・大東文化大学教授) 樽本樹邨(書家・日本藝術院賞受賞) 辻元大雲(書家・毎日書道会常任顧問) 寺島恒世(国文学者・国文学研究資料館名誉教授) 仲川恭司(書家・独立書人団会長) 中島千波(日本画家・東京藝術大学名誉教授) 長野竹軒(書家・元文部科学省教科調査官) 永守蒼穹(書家・日本藝術院賞受賞) 西村東軒(書家・日展会員) 能村研三(俳人・俳人協会理事長) 萩原朔美(映像作家・萩原朔太郎記念前橋文学館館長) 長谷川櫂(俳人・朝日俳壇選者) 林 望(作家・国文学者) 平形精逸(書家・静岡大学名誉教授) 平松礼二(日本画家・元了徳寺大学学長) 廣瀨舟雲(書家・武蔵野大学教授) 福井淳哉(書家・帝京大学准教授) 星 弘道(書家・日本藝術院会員) 三田村有純(漆芸家・日本藝術院賞受賞) 宮田亮平(金工家・文化功労者) 室伏広治(スポーツ庁長官・オリンピック金メダリスト) 吉岡正人(洋画家・埼玉大学名誉教授) 吉澤鐵之(書家・日展会員)
御歌 石井ふく子(プロデューサー・紫綬褒章受章) 稲田静子(書家・日展会友) 稲田朋美(衆議院議員・元防衛大臣) 内門律華(書家・独立書人団理事) 大石千世(書家・独立書人団参事) 大石三世子(書家・日展会友) 大島竹華(書家・日本書道美術館副館長) 大城久代(学芸員・日本書道美術館代表副館長) 奥田小由女(人形作家・文化勲章受章) 尾上白邨(書家・日展会友) 慶徳紀子(書家・毎日書道会参事) 小池百合子(東京都知事・元防衛大臣) 小林美香(天祖神社宮司・哲学博士) 近藤浩乎(書家・日展会員) 齊藤紫香(書家・日展会友) 酒井玉鳳(書家・日本書道美術館副館長) 山東昭子(前参議院議長) 師田久子(書家・日展特別会員) 志田房子(琉球舞踊家・重要無形文化財保持者) 竹本駒之助(義太夫節太夫・文化功労者・重要無形文化財保持者) 巽 慶耀(書家・日本書道美術館参与) 土橋靖子(書家・日本藝術院賞受賞) 遠山敦子(元文化庁長官・元文部科学大臣) 楢崎華祥(書家・元東宮御所御進講) 原奈緒美(書家・日展会友) 福田千惠(日本画家・日本藝術院会員) 堀井清苑(書家・日本書道美術館参議) 横山夕葉(書家・毎日書道展審査会員) 吉川美恵子(書家・奈良教育大学名誉教授) 和田澄子(書家・日展会友)

出品作品

出品作品

日本書道美術館展

ごあいさつ

 日本書道美術館展は、技の錬度に重点が置かれがちな一般の書道公募展の在り方と一線を画し、個性豊かで気品ある作品、書に接することの少ない一般の人々にも共感される作品を選出する目的で発足いたしました。その実現のため、審査員を書家とともに、他の美術や工芸、学問など、それぞれの分野の第一線で活躍されている方々に審査に加わっていただいてまいりました。また、協議の形を採らず、各審査員独自の判断を観客の目前で披露するという公開審査の形を第一回展より貫いてまいりました。さらに、審査員は、審査当日発表し、事前運動を防止しております。この方法は、書道展として他に例を見ない試みであっただけに、回を追って益々好評を博し、厚い信頼をお寄せいただいているところであります。
 今年は、その記念すべき五十回記念展です。コロナ感染の影響で無観客で行っていた審査が、公開審査として4年振りに開催できましたのは、まことに喜ばしいことでした。遠路はるばる全国各地から会場に集まった人々の熱気が審査員に伝わり、緊張感に満ちた審査の後の総評では、館展をよくご存知の審査員各位から御心のこもったお言葉を賜わりました。書を志す人々の指針となる示唆に満ちた豊かなものでした。
 出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も、その質において最高のものを目指し、先人の努力に感謝しつつ、一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
 回を重ね、さらに心に響く、錬度高い作品の出品を心から期待申し上げます。審査員諸先生、皆様方のご声援を偏にお願いしてやみません。
 令和5年7月6日

公益財団法人日本書道美術館
館 長   大 城 章 二

第五十回「館展」審査員(敬称略)

公開審査・審査所感

公開審査・審査所感
師田久子審査員
(書 日展特別会員)
 審査のたびに、いつも写経の素敵な作品に感心させられます。
 臨書はどちらも原本に忠実に書かれていたと思います。古筆は専用料紙に原寸大ということが定着し、高野切第一種、小島切、中務集など、ピシッと書かれていました。
 創作は、久しぶりに公開で行われましたが、全体的に水準が上がっている印象でした。「創る」という意思が感じられました。また、特に細字仮名作品に目立ちましたが、書風が色々で、この館展の特長だと思います。大字仮名では、連落サイズの作品で墨の変化が美しいものが印象に残りました。
寺島恒世審査員
(日本古典文学 国文学研究資料館名誉教授)
 私は国文学の中古中世が専門で、書の専門外の者も審査に当たることが、この展覧会の審査において重要な意義と認識してこの場に臨みました。
 作品には品格が備わってほしいと常々感じます。字形の崩し方、行の動きやバランス、そして何を書こうとしているのか、何を感じて向き合うのかが大切で、それらが作品に品格として現れます。臨書も内容を捉えて、どういう風に表すかを考えて書く方が楽しいと思っています。楽しみながら稽古を重ね、極めていただきたいと思います。
新井光風審査員
(書 恩賜賞・日本藝術院賞受賞)
臨書と創作は全く性格が違うものです。臨書は皆、非常によくできていました。
 創作は一生懸命書いたこと、工夫したことは伝わってきました。どれも纏まっている、よく書けている、きちんとなっていましたが、ドキッ!とするような生命感や熱気、心の響きや躍動感が伝わってきませんでした。
 私が常に心掛けているのは、蘇東坡の題跋の「書には、神・気・骨・肉・血あり。どの一つを欠いても、書にはならない」ということです。書は人間と同じなんです。自分の心を乗り移らせて、生きたものにする。この大事なことが加わったらよくなるのですが、その方法は自分の気持ちを紙の中に伝えること、生き物のような字を書こうと心掛けない限り出来ないことです。「どういうものが」と考えながら進んでいくべきです。
清水透石審査員
(書 元大東文化大学教授)
 臨書は、漢字・仮名ともに基本的な執筆法を理解し、覚えて表現するものですが、概ねよくできていました。
 私も色々な展覧会の審査員を務めてきましたが、応募者の見ている前での審査経験は少ないので、ご自分の作品に対し、それぞれの審査員がどう評価したか、皆さんから審査員としてどう評価されたでしょうか。公開審査は一点ずつの評価ですので、他との比較ではなく、自分自身で基準をつくって評価し、最後までぶれないようにすることです。
 書は文字を介し借りて、どんな線を引くか、線に託してどう表現するかというものですから、臨書で学んだことを応用して活かし、自分を高めるためによい作品をみて目を高め、手を高めて、線に託す要求を高め、更に向上されることを祈ります。
古谷 稔審査員
(日本書道史 東京国立博物館名誉館員)
 日本書道史を専門にしています。久し振りの公開審査でした。最初に拝見した写経では奈良、平安の古写経を思い出させるようなもの、装飾経などもあり、目に止まる作品もありました。臨書課題の白氏詩巻は和様漢字ですが、手の内に修めようと努めた臨書者の思いが伝わる作品もありました。仮名古筆はまだ探求の余地が感じられ、さらに特徴を掴んでレベルを高めて欲しいです。
 創作は、日頃の古典臨書の成果が感じられました。慎重に過ぎずもう少し自由で開放的な作品があってもよかったかと思います。
角井 博審査員
(中国書道史 東京国立博物館名誉館員)
 喜ばしくも50回を迎えました。久し振りに公開審査が出来ました。毎回出品しておられる方々に敬意を表します。館展は真面目な作品が多く、どれも立派に書けています。
 臨書は趣きが違う課題が果され、原本の形式を変えて臨書したものは、古典を介しての創作とも言えましょう。仮名は原寸同比の見写しで、かつて中国で行われてた臨と同じですが、習熟度の高さが目立ちました。写経は、難しい中字も立派で充実していました。それらに比べて創作は、立派に書けているのですが全体に弱いかなという印象です。
 一年かけて書いたものに点数を一瞬で入れるのは気の重い仕事です。館展は正統本道を行く展覧会です。覇気と個性を出し、バランスや字形と線の磨き方を工夫して、頑張っていただきたいと思っております。
仲川恭司審査員
(書 専修大学名誉教授)
 漢字の臨書は、特徴は捉えつつ、リズム・調子から生じる紡錘形の線が大切です。形は堅実だが、形をとっていると生きて来なくなります。運動の結果、形ができるのに、金泥で書いているものは当然ゆっくり書くことになり、形だけで、肉や血がついて来ないことになります。仮名臨書はよいものがありました。博物館などで本物の品位の良さを観て目を養うこと、例えば、高野切第一種の冒頭の完成度の高さ、品格を知ることが重要です。
 写経は、形に囚われて線が生きていないものもありました。
 創作部は、形に苦心してしまうと生き生きしたところが出て来なくなるものです。生き生きした生命感がもっと欲しい。「気韻生動」、こどものワッとしたところが欲しいんです。おとなしくて形に片寄ったものが目に付きました。
大城章二審査員
(彫刻 日本書道美術館館長)
 作品に向き合う気持ちが重要で、書道に限らず全ての芸術表現に共通することだと思います。生命感が無いと人には伝わりません。再三先生方が仰いましたが、私は、躍動感、生命感を求めて彫刻をやってきました。それを求めること、感性を磨くことが大事なことで、今日、公開審査に立ち会われた皆さんには、ご覧になった作品、そして審査をお勤めくださった先生方のお言葉から色々な影響を受けていただけたことと思います。

令和5(2023)年4月30日、4年振りに本審査公開にて実施

出品作品

出品作品

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特設講座書道大学令和4年度卒業修了作品展

当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各課程2年間の集大成として、創作・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作52点を紹介します。

出品作品

出品作品
出品者 専攻科
29期
井原杏月 内山千 大友蒼月 金子道子 木村晴海 黒澤幸雲 小島惠香
田上扇園 坂場暉舟 久守麗芳 朴 正愛
大学院
39期
雨宮小葉 上田秀曠 海野玲子 小川天掌 久保田眞壽 倉西陽光 高原畦芳
玉谷 井 豊村桃崖 濵 果鈴 早川千恵子 半田翠楽 本田南奏 森 清苑
葭内邦子
大学
59期
今井華瑛 大塚綾璃 叶 尚子 北村華咲 小島美智子 近藤ちづる 佐藤紫陽
鈴木柏葉 田中公子 田中玲峯 寺﨑 望 利根川東紅 冨田希子 中里太治
中島和芳 中村芳翠 藤田珠翠 宮本千穂 山田美丘

平面表現の魅力-ジャンルを超えて

 令和5年新春特別展は「平面表現の魅力‐ジャンルを超えて」と銘打ち、書と絵画を、一堂に展観いたします。
 ともに平面芸術である書と絵画を同時に鑑賞する機会を得ることで、それぞれの作家の言葉を、一作一作から聞くとともに、あわせて、両者に通底することを見出したいと思います。
 芸術の精神は、表現の欲求に駆られた人間の、自由な精神の表出です。そのエナジーは、遡ればまだ言葉もない、ずっと以前の時代に行きつきます。平面芸術はいわば根源的な表現といえましょう。
 書は絵画と異なり、書き直しができない一回性の芸術であるといわれますが、書においても絵画においても、書いたもの、描いたものを破り、壊し、書き直す、描き直すという行為を繰り返し繰り返し、積み重ねてきた結果が唯一無二の作品となって、我々に語りかけてくる存在となるのです。それは、美術も音楽も文学も舞踊も演劇もジャンルを問わず、あらゆる創作表現に共通する精神です。先入観や得手不得手は捨て、本会場では、まず、作品の発する声に耳を傾け、対話を試みてください。
 「書」と「絵」を一堂に展観することによって生まれた会場風景や、色々な平面表現・構成を、そして、絵画や画家の書の自由さを皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
 書はおよそ1500年もの伝統がありながら、陶芸、染織などの工芸や能、歌舞伎などの舞台芸能のように、歴史上または芸術上価値の高い技の持ち主を重要無形文化財として指定する分野に国は認めていません。
 だからこそ、逆に、書道独自の継承と進化によって、現代に息づく自由な伝統芸術として、今日を在らしめているのではないでしょうか。
令和5年1月18日

館長 大城章二

新井光風 安東聖空 池田桂鳳 石飛博光 伊東参州 今井凌雪
今関脩竹 江口大象 榎倉香邨 大石隆子 尾上柴舟 金子鷗亭
萱沼利子 木村知石 熊谷恒子 栗原蘆水 黒田賢一 黒野清宇
桑田笹舟 小木太法 近藤摂南 貞政少登 師田久子 清水透石
鈴木翠軒 高木厚人 髙木聖雨 髙木聖鶴 田中東竹 津金隺仙
津金孝邦 筒井敬玉 手島右卿 殿村藍田 仲川恭司 成瀬映山
西川 寧 野口白汀 日比野五鳳 豊道春海 堀 桂琴 宮本竹逕
森田竹華      熊谷守一 中川一政
絵画
アントニオ・コレッジョ マルク・シャガール アルベルト・ジャコメッティ パブロ・ピカソ
サム・フランシス マリノ・マリーニ ホアン・ミロ ジョルジュ・ルオー
絹谷幸二 橋本明治 舟越 桂 宮本三郎
山口長男 山口蓬春 音丸耕堂 有元利夫
森田曠平

展示作品

詩歌そして書-日本のこころ

ごあいさつ

 秋季特別展「詩歌そして書 ‐日本のこころ‐」を開催いたします。
 沖縄本土復帰50年に当たり、琉歌(8886の音)作品を含めて短歌、俳句の書作品を展観します。
 本展鑑賞に当たり、書と詩歌の両方を一点一点味わっていただきたいと思います。
 書き手は、撰文したその詩歌を如何に表現するか…、逡巡して作品づくりをしています。鑑賞者には、書作品になった詩歌を、書と詩歌とを同時に味わう幸せが生まれるのです。
 わたくしたちの祖先は、古代より、文字による記録以前から、うたを詠み、うたによって互いの想いを伝え、想いを確かめたと云われております。日本最古の歌集『万葉集』が生まれておよそ1,250年。平安時代には歌集を編むことが国家の事業となるまでに「うた」は重要なものとなりました。鎌倉時代の『詞集』に至るまで、二十一集の勅撰和歌集が編まれ、その間その後も数多の家集が編まれています。『万葉集』の部立ては、相聞、挽歌、雑歌の三つでしたが、『古今和歌集』では細かく、四季と恋とを中心に、賀、離別、羇旅、物名、哀傷、雑に分けられ、以降の勅撰和歌集の部立ての基本となりました。和歌の振興により、知識と教養による複雑な表現が求められて難解なものになっていった面もありましたが、とは云え、七五調のリズムは脈々と現代の私たちの呼吸に息づいて、三十一文字や十七文字に想い託すことは今や万人共有のもの、誰もが詠めるものとなっています。
 ひるがえって、うたを記録する作業は、筆墨硯紙と文字の導入に伴い、一文字ずつ表記した万葉仮名から連綿やちらしの妙を駆使した変体仮名への成長と併せて料紙装飾の技術により、平安時代には文字と料紙の相俟った独自の美へと昇華しました。紙に毛筆手書きによって綴られてきた詩歌は能書によって一段と価値が高められてきたのです。仮名と漢字を見事に融合させた和歌の書き振りは、日本独特の書道の姿であり、世界に誇る日本美の極致です。
 書家の「詩歌」を書作品とした表現と、歌人俳人ら「詩歌」の作者自身の文学表現を、同時に鑑賞する機会として、書と文学の緊密なかかわりあいを本展を機に多くの方に見直していただけたら幸いです。
令和4年10月15日

公益財団法人日本書道美術館
館長 大城章二

展示作家一覧
相沢春洋 明石春浦 秋田素鳳 天野琴香 新井光風 安東聖空
池田桂鳳 井茂圭洞 石飛博光 一ノ瀬晶堂 稲田静子 今関脩竹
岩永栖邨 植村和堂 宇賀寿子 浮乗水郷 内田鶴雲 江口大象
榎倉香邨 大石子 大石三世子 大川壽美子 大口周魚 大貫水聲
岡本白濤 奥田家山 小澤神魚 小野桂華 尾上柴舟 笠原和爽
勝瀬景流 加藤大碩 金子鷗亭 金子聴松 上條信山 鴨居 道
萱沼利子 川北春江 川口芝香 河東碧梧桐 喜多松琴 木元壽美江
熊谷恒子 黒田賢一 黒野清宇 桑田笹舟 桑田三舟 小木太法
小暮青風 小島 寿 後藤秀園 小山素洞 小山天舟 小山やす子
齊藤紫香 斉藤与里 座馬井邨 師田久子 清水透石 清水比庵
末石 経 杉岡華邨 鈴木翠軒 鈴木梅溪 高木厚人 髙木聖鶴
高木東扇 高塚竹堂 竹田悦堂 田中塊堂 田中双鶴 土橋靖子
筒井敬玉 皷 芳石 坪井正庵 戸田提山 殿村藍田 中野北溟
長野竹軒 中村春堂 中村龍石 中室水穂 楢崎華祥 西本支星
野口白汀 野口魯齋 橋本烽玉 原奈緒美 阪 正臣 東山一郎
比田井小琴 日比野五鳳 日比野光鳳 平田華邑 廣瀨舟雲 藤木正次
古久保泰石 法元康州 堀 桂琴 堀江知彦 松本暎子 松本 直
宮重小蘭 宮本竹逕 村上鬼城 森川星葉 森田竹華 森本妙子
安原皐雲 山口南艸 山下荻舟 横山煌平 与謝野晶子 吉川英治
吉澤義則 和田澄子 渡邉笙鶴 渡辺智子 (敬称略・五十音順)

展示作品

日本書道美術館展

ごあいさつ

 日本書道美術館展は、技の錬度に重点が置かれがちな一般の展覧会の在り方とは一線を画し、個性豊かで気品ある作品、一般の人々にも容易に理解される作品に光を当てる意図で発足いたしました。その実現のため、審査員を書家のみとせず、美術、工芸、学問など、それぞれの分野の第一線で活躍されている方々に審査に加わっていただいてまいりました。また、協議の形を採らず、各審査員独自の判断を観客の目前で披露するという公開審査の形を第一回展より貫いてまいりました。さらに、審査員は、審査当日発表し、事前運動を防止しております。この方法は、書道展として他に例を見ない試みであっただけに回を追って益々好評を博し、厚い信頼をお寄せいただいているところであります。
 今年は、その四十九回展でありますが、コロナ禍の続く状況下、審査員数も減らし、前回同様無観客での審査となりました。
 二年以上続くコロナ禍にありながら、かわらぬご出品をいただきました皆様に敬意を表し、厚く御礼申し上げます。
 本展では、役員等の部、一般公募の部ともに応募者の名前を伏せ、役職や経験年数、年齢にかかわらず同じ土俵で作品を一点一点丁寧に拝見し、賞を決定しましたが、作品一点一点は、皆様のご熱意とご努力の結晶。書友の熱気を、お一人でも多くの方に足を運んでいただき、直接感じていただきたいと念願いたします。
 出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も、その質において最高のものを目指し、先人の努力に感謝しつつ、一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
 回を重ね、更に錬度の高い作品の出品を心から期待申し上げます。審査員諸先生、皆様方のご声援を偏にお願いしてやみません

公益財団法人日本書道美術館館長 大城章二

第四十九回「館展」審査員(敬称略)

審査員所感

審査員所感

清水透石審査員

清水透石審査員
(臨書・創作・写経・篆刻)
 臨書部は基本的なものから応用が必要なものまでを課題として、取り組んだ人には勉強になったと思います。臨書は創作の全ての土台ですので、見方を深めて書きこむことが基本です。そうしたものが創作へと繋がるのです。
 創作は、何を根拠に展開したか明確なもの、紙面から墨の気力が溢れ出てくるものを評価しました。
 写経はその特性から、自分の表現ということになると難しい分野だと思いました。

新井光風審査員

新井光風審査員
(臨書・創作・写経・篆刻)
 臨書は寸分の狂い無く書いて古典を吸収するのですが、落款押印で私を主張した作品になります。真似て書くというところにとどまらず、理解を進めて自分なりに解釈した存在感あるものを生んで欲しいと思います。
 創作には無限の可能性があり、古典に引きずり回されると自分が見つけられません。一生懸命取り組むことは大事であり姿勢は評価しました。
 写経は精神的造形なので、鍛錬された線に気持ちが表れ、筆勢あるものを評価しました。

角井博審査員

角井博審査員
(臨書・創作・写経・篆刻)
 応募全体から吟味されただけに、どの作品も立派で、習熟度高くよく練れていました。
 今回、王鐸の臨書が取り上げられましたが、時代の下った法帖は解釈や理解が難しく、盛り込むものが足りない、物足りなさを感じました。仮名臨書によいものがありました。
 創作は、仮名細字に優れたものがあり、漢字創作は習熟度の高いものと隙があるものと、バラつきがみられました。
 写経は、本文の水準と落款の錬度が一致して、心惹かれるものになると思いました。

丸山淳一審査員

丸山淳一審査員
(創作・写経・篆刻)
 審査の依頼を受けたときは、手に余ることと思いましたが、一般人の目線としてお引き受けしました。父鑾溪は「臨書の先にオリジナル在り」と申しておりましたが、古典研究の積み重ねのご努力が、深い表現に繋がっていくのだと思いますが、一定のレベル以上に絞られた作品に点を付けていくのは難しい作業でした。皆丁寧に書かれておりましたが、線が細くても力感があると勢いに繋がっていきます。線の強さやバランス感を評価しました。作品が多彩で楽しく拝見しました。

内門律華審査員

内門律華審査員
(臨書・創作・写経・篆刻)
 初めて審査を承りました。力作が揃い、採点に迷いました。
 書は、渇筆に力量が現れます。そして余白の美しさ、濃淡の変化などで評価しました。
 漢字の臨書は全臨した細かい文字が多くありましたが、大きく書いてエネルギー溢れる線の力をみせる形も試みては如何かと思いました。
 写経は、その姿勢に感服いたしましたが、金泥を伸びやかに適度な濃度で使える技術力も大切と考えます

岩井秀樹審査員

岩井秀樹審査員
(臨書・創作・写経・篆刻)
 初めての審査員、総じてレベル高く、甲乙付け難く迷いました。
 臨書は、線は鍛えられていると思いましたが、紙のサイズの違いや紙面に対するバランスが気になりました。関戸や元永本などの冊子本を巻子に仕立てたことで、印象が異なりました。また、伊都内親王願文は全紙や連落縦長に書いているものより、オリジナルに近い形態のものの方がよかったと感じました。
 創作は、濃淡潤渇豊かに表現し、線に神経が行き届いている作品を評価しました。

大城章二審査員

大城章二審査員
(創作・写経・篆刻)
 まとまった作品が多く見られ、少々物足りなく思いました。深くしつこく対象に肉薄していく気持ち、ぶつかっていく気魄が必要と感じました。
 沢山書くのは勿論ですが、一枚一枚考えながら書くことが大切だと思います。
 また、少し気になったのは、落款です。他の先生方も指摘されましたが、本文と落款が調和しない、バランスが良くないものが見受けられました。それでは台無しです。落款への配慮、鍛錬が必要と思いました。

名誉館長賞~日本教育新聞社賞作品

名誉館長賞~日本教育新聞社賞作品

入賞者一覧はこちら

特設講座書道大学令和4年度卒業修了作品展

当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各科2年間の集大成として、創作部・臨書作品の制作と般若心経浄書を行って います。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に 生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作56点を紹介します。

出品作品

出品作品
出品者 専攻科
28期
飯島 香 伊藤 楓華 伊藤 淡月 江沢 潤水 地主 艸石 篠原真美子 進亮一
中井 孝扇 根本 柊星 野口琥 野口 玉翠 三浦 香代
大学院
38期
金澤 輝泉 金子 優子 近藤 紫水 高野 春汀 髙比良堆泉 楯 秀翠 田中 曄仙
西宮 紫月 武藤 遊亀 渡邊 花春
大学
58期
上田 百代 大﨑 幸苑 加納 麻木 齊藤 華園 関根 野遊 宗 枝雀 園田 彩苑
髙橋 青鈴 永井 東鶴 中庭 弥倖 堀切 淑子 益子 恒星 吉田 仙游
歴代講師作品展
展示作家
今井凌雪 古谷蒼韻 熊谷恒子 石橋犀水 廣津雲仙 髙木聖鶴 榎倉香邨 ほか

日本書道美術館新春特別展日本教育書道連盟創立七十周年記念「日本教育書道連盟代表作家展」

ごあいさつ

 日本教育書道連盟創立七十周年の喜ばしい節目にあたり、結成理念に基づき、後進の育成に日々邁進し、第一線で活躍中の審査会員の先生方有志99名による新作を中心とした作品を一堂に会し、皆様にご覧いただくことになりました。
 結成時より、古典に基づいた正しい書道教育の普及と、その人材の育成、向上に努めてまいりました本連盟は、全国書道検定試験、日本書道美術館展、特設講座書道大学等においてその目的を具体的に示しておりますが、本展は、それらの場で自らを培った先生方が、それぞれの会心作をご出品くださいました。
 併せて、多くのご門弟の方々にも色紙などの小品をお寄せいただき、こちらはコンクールの形をとりました。色紙や懐紙は家庭に気軽に飾れる大きさです。生活空間に作品を飾り、芸術を身近なものとして心豊かに、広く一般の方々とも書作品を分かち合い共にしていきたいという趣旨で開催いたしました。
 本展を多くの皆さまにご覧いただくとともに、本連盟結成の目的完遂のために益々ともに協力して臨んでまいりたいと存じます。
 本展において「日本教育書道連盟創立七十周年記念賞」等を皆様の鑑賞に資するため設けました。
 選考に快く当たってくださいました清水透石先生、関吾心先生に、あらためて御礼申し上げます。

令和4年1月15日
公益財団法人 日本書道美術館
館長 大城章二

出品作品

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秋季特別展「日本書道美術館創設功労者展」

ごあいさつ

 一般社団法人日本教育書道連盟は、我が国初の書道専門美術館「日本書道美術館」を会員の総力を挙げて設立させた日本で唯一無二の書道団体です。書道を芸術表現の一ジャンルと位置づけ、漢字は中国古典を、仮名は古筆を継承した今の表現として多くの作品を蒐集保存し、活用した展示を行っています。
 昭和二十六年八月に東京家政大学等で開催された「文検」参加者を中心に結成された日本教育書道連盟は、今年、七十年を迎えました。戦後の混乱から立ち直ろうとする機運の中、書道教育・文化の復興を目指し、書道界が活況を呈していく時代が展開して参りましたが、本連盟は、文部大臣高瀬荘太郎氏を会長にいただき、書道教育の正しい方向性を全国に示し、学校教育における書写書道教育の復活の陳情等、我が国における書道の復権、向上に尽力。また、同文同志の国、中華民国に代表団をおよそ二十回に亘り派遣し、その都度、故宮博物院の名品の数々を特別に直に拝観する機会を得、于右任をはじめとする中華民国の書道界との友好を推進し、中央研究院所蔵の居延木簡の写真撮影・印行を許されるなど、数多の書道有志の啓蒙に尽力して参りました。と同時に、書道の伝道師として、各国駐在日本大使館の協力も得て、ヨーロッパ各地での日本書道展とデモンストレーションを開催。その後も北米大陸、更には中南米各地へと、海外への日本書道の紹介宣揚を積極的に行ってきました。それらは、今日の海外各国における書道愛好者の増加に繋がっているものと確信しています。
 これらの難事業の遂行にはひとえに結成時から身を粉にして人々を牽引してきた小山天舟を中心とする創立会員の情熱が、書道界、政界(文部大臣経験者を中心に)の多くの方々の心を揺さぶり、多くの協力があったからこそ成し得たことです。
 本展は、日本の伝統文化書道の発展と継承の礎を築いた人々を、書作品をとおして紹介します。

展示作家一覧 建設
委員長
田中塊堂
建設
副委員長
小山天舟
建設委員会顧問
生井子華 伊東参州 今井凌雪 浮乗水郷 内田鶴雲 岡本白濤 沖 六鵬
奥野誠亮 小澤神魚 海部俊樹 加藤武徳 金田心象 上條信山 岸 信介
木村知石 木村睦男 桑田笹舟 桑原江南 小坂奇石 近藤摂南 杉岡華邨
鈴木梅溪 瀬戸山三男 高木雙吉廬 高瀬荘太郎 田中龍夫 谷邊橘南 内藤香石
中村梅吉 花田峰堂 日比野五鳳 日比野光鳳 廣津雲仙 藤本竹香 星島二郎
松下芝堂 松田竹千代 深山龍洞 宮本竹逕 安井 謙 吉田 茂
建設委員
石田龍泉 石黒久象 伊藤暁凰 井上花洋 浮乗清郷 大貫水聲 折川水光
鴨居 道 木村 香 佐藤暁亮 島田雨城 清水香洋 鈴木青陽 高木東扇
鶴木大寿 中川雨亭 橋本翠川 平田華邑 古久保泰石 法元康州 丸山鑾溪
山下雅雲 (敬称略・各五十音順)

展示作品

日本書道美術館展

ごあいさつ

 日本書道美術館展は、技の錬度に重点が置かれがちな一般の展覧会の在り方とは一線を画し、個性豊かで気品ある作品、一般の人々にも容易に理解される作品に光を当てる意図で発足いたしました。その実現のため、審査員を書家のみとせず、美術、工芸、学問など、それぞれの分野の第一線で活躍されている方々に審査に加わっていただいてまいりました。また、協議の形を採らず、各審査員独自の判断を観客の目前で披露するという公開審査の形を第一回展より貫いてまいりました。さらに、審査員は、審査当日発表し、事前運動を防止しております。この方法は、書道展として他に例を見ない試みであっただけに回を追って益々好評を博し、厚い信頼をお寄せいただいているところであります。
 今年は、その四十八回展でありますが、コロナ禍の続く状況下、審査員数も減らし、前回同様無観客での審査となりました。
 一年以上続くコロナ禍にありながら、かわらぬご出品をいただきました皆様に敬意を表し、厚く御礼申し上げます。
 本展では、役員等の部、一般公募の部ともに応募者の名前を伏せ、役職や経験年数、年齢にかかわらず同じ土俵で作品を一点一点丁寧に拝見し、賞を決定しましたが、作品一点一点は、皆様のご熱意とご努力の結晶。書友の熱気を、お一人でも多くの方に足を運んでいただき、直接感じていただきたいと念願いたします。
 出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も、その質において最高のものを目指し、先人の努力に感謝しつつ、一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
 回を重ね、更に錬度の高い作品の出品を心から期待申し上げます。審査員諸先生、皆様方のご声援を偏にお願いしてやみません

公益財団法人日本書道美術館館長 大城章二

第四十八回「館展」審査員(敬称略)

公開審査審査員芳名

審査員所感

審査員所感  審査員各位から作品をい っそうよくするためのアドバイスをいただきました。

清水透石審査員

清水透石審査員
 まず、コロナ禍にこれだけの人たちが頑張って書道に取り組んだこと、そしてコロナ禍にありながらレベルが保たれていたことに敬意を表します。
 仮名の臨書は難しい題材か、入門の題材を取り上げたかで、まず実力の差が出ましたが、どれも丁寧に書き進めた様子がみてとれました。漢字の臨書は、全般的に力不足という印象でした。
 創作仮名は、連落、全紙に動きの悪いものが散見されました。古筆を手に覚えこませて書くべきと、あらためて申し上げたい。創作は、仮名も漢字も、古典から得られるものがもっとあるはずです

師田久子審査員

師田久子審査員
 仮名臨書は、紙も古筆の本物と同じものを使い、如何にも臨書を得意として、びっしりと書き込んだところに好感が持てましたが、創作仮名は、臨書を活かした作品が見当たりませんでした。特に大字作品はやはり、古典で得た線で緊張感を出さないと、条幅が生きてきません。
 漢字臨書は真面目という印象でしたが、創作漢字は、ポツポツとして気脈性に欠けているものが目立ち、寂しいことに満点を出せる作品がありませんでした。
 写経はいつも感心しますが、金泥の使い方が得意な人は、それだけ神経を使っており、その根気も作品に表れていました。

西村東軒審査員

西村東軒審査員
 漢字の臨書は、風信帖などの基本的な古典をよく勉強し、いろ紙も文字が映えて、合ったものを使いこなしています。また、紺紙金泥で書くのもひとつのアイディアで、目立ちました。
 創作漢字は、技巧者は散見されましたがこれだという作品が見当たらず、古典が背景にある方が深さが醸し出され、今学んでいる古典を活かして自分の作品を書くといいと思いました。
 臨書の仮名は選択した題材による損得を感じました。高野切第一種などのような素直な古筆はかえって難しく、一條のような細かく多字数のものはそれだけで目を引きます。
 創作仮名では、墨の置き方、コントラストの付け方など、構成の足りないものが目に付き、見せ場が定まらず、薄い印象です。
 写経は、金泥が多く見られましたが、その扱い方や工夫でかなり違って見えました

青山浩之審査員

青山浩之審査員
 臨書の漢字では、線質のよいものは、本人の解釈が線質に結びついて現れ、よい作品になったと思いますが、創作漢字は、表現にその根拠が感じられる深さが欲しい。古典の筆遣いをどう学んだか、それが自分の書いた線に現れてくるのだと思います。
 仮名の臨書は素晴らしく、初歩の高野切第一種から高度の解釈が必要な継色紙まで、それぞれの意識レベルが垣間見られました。しかし、古典から創作へと目を移したとき、古典で学んだ空間美が生かされていない。結体と線質だけでなく、空間も意識してください。
 写経は金泥の使い方で作品が左右され、よい作品は、金泥の使い方を体得し、磨き上げてその効果を発揮していますが、金泥に力を借りず、墨書の写経を拝見したくもあります。

角井博審査員

角井博審査員
 コロナ禍で、出品数減少とのことですが、実は熱心な方々が出品したわけで、粒ぞろいが集まったとも言えましょう。今回も無観客で一堂に展示され、じっくり拝見できました。
 写経は、金銀泥の紙へのなじみ具合もよく、大変よく浄書されていましたが、つぶさに見ますと、落款が残念なものが散見されました。落款に実力が現れます。篆刻も同様で、落款が上手くないことがありますが、どちらも落款まで揺るぎなく仕上げてこそ、作品が映え、品格が備わるのです。
 創作仮名の細字作品は優れていましたが、大字はおしなべて濃淡、大小などの変化の付け方が、紙面の大きさに対してぎこちなさが目に付きました。
 創作漢字は、臨書で得た線質や構成を活かしきれず、残念と思いながら審査しました。

吉岡正人審査員

吉岡正人審査員
 会場に入るとまず、金泥の写経が並んでおり、ひとつの写経が目に付き、欲しい!と思いました。金の盛り上がりが感じられ、ほっこりとした気持ちにさせられました。洋画でも盛り上げて、磨く技法がありますが、そんな共通点を見つけました。写経は息を止めて書いていく緊張感があろうかと思いますが、観る者が息苦しくなく、息が継げるものを評価しました。
 創作は、リズムと強弱、線の遅速など、画面全体が心地よいか否か。墨が、紙の中に透っているか、表面的か。ただ、深いばかりではなく、浅いところもある。墨が落ちて沈んでいくーその経過していくところの良さ、そういったところに価値を置きながら評価していきました。

大城章二審査員

大城章二審査員
 全体的におとなしく、訴えかけてくるものが少ないように感じました。
 作品にはパワーが必要です。溢れるエネルギーに満ちたものは、必ず、見る人に訴えかけてきます。
 小ぢんまりと纏まってしまうと、生き生きとした感じが伝わりません。
 作品に対する立ち向かい方、つまり、立ち向かう意志が、その良し悪しを決定するのでしょう。
 今回は特に、線質の弱さが気になりました。古典を、しっかりと自分のものにしましょう。

名誉館長賞~日本教育新聞社賞作品

名誉館長賞~日本教育新聞社賞作品

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特設講座書道大学令和2年度卒業修了作品展

当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各科2年間の集大成として、創作部・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作103点を紹介します。

出品作品

出品作品
出品者 専攻科
27期
出雲 妙春 井原 杏月 入井 瑞峯 大友 蒼月 加藤 秀咲 金子 道子 倉西 陽光
黒澤 幸雲 小池 美智 佐々木真香 鈴木 洲節 田上 扇園 野村 香月 坂場 暉舟
久守 麗芳 朴  正愛 増尾 華香 松井 秀廣 矢島 潮香 吉本 桃扇
大学院
37期
及川 紘堂 柏木千恵子 川上佐知子 喜納 春翠 木村 晴海 小島 惠香 齋藤 至都
櫻井 信吉 真由美 髙田 翠流 髙梨 菁菴 竹内 香雪 鶴野 観水 増田 剛
松井 暁子 松浦 郁風 三浦 佳舟 三浦 精峯 安井 明子
大学
57期
雨宮 小葉 池田 幸甫 伊勢田如馨 礒兼 和花 上田 玉泉 上田 秀曠 海野 玲子
榎本 春浦 大西みづき 小川 天掌 長田 桃碧 長田 楽道 河野 馨春 菊池 哲
久保田眞壽 佐藤 郁里 佐藤 芯日 佐野 美峰 高原 畦芳 玉谷 井 丹沢 薫苑
豊村 桃崖 橋本 鈴枝 濵  果鈴 原口 歌名 半田 翠楽 藤川 岳州 本田 南奏
間野 未菜 丸山 和連 湊  千波 森  清苑 安江 麻音 米盛 山泥

女流の書

ごあいさつ

 このたび春季特別展「新収蔵作品展」を開催する運びとなりました。
 当館の作品蒐集は、企画テーマによる揮毫依頼、購入そして寄贈となります。寄贈の御芳志は昨年も多方面から寄せられまことにありがたく存じます。受贈については当館のコレクションの特色を踏まえ、また、作品の保存状態、出所、内容を吟味し、役員会で協議のうえ決定しております。
 今回ご紹介する作品は、特設講座書道大学大学院・専攻科講師をお務め戴いている師田久子先生の個展から、六曲屏風などの見応えある大作を、また、鈴木貴代美様からは、桑原翠邦、川村驥山、金子鷗亭、藤岡保子、大石隆子そのほかの軸装作品をご寄贈いただきました。小池保子様からは、数点の尾上柴舟の小品を寄贈いただきました。更に、角井博先生(特設講座書道大学講師)からご寄贈の鶴の姿を模した美しい雨端硯をご紹介します。
 併せて、昨年度受贈の藤岡保子コレクションの一部から、保子作品と岡山高蔭、津金隺仙作品並びに購入作品、阪正臣ほかをご紹介します。
 今回展示の作家が活躍した時代は様々ですが、自詠詩や自詠短歌を書で表現する阪正臣、岡山高蔭、尾上柴舟、津金隺仙、藤岡保子らの書道に対する姿勢は、伝統に真摯に取り組みながら、現代書道を表現している師田久子氏が引継いでおられることを確信できた展観になりました。

 令和三年三月十一日

公益財団法人日本書道美術館
館長 大城章二

作家一覧

雨宮弥兵衛 石橋犀水 宇野雪村 大石隆子 岡山高蔭 尾上柴舟 金子鷗亭
川村きく子 川村驥山 工藤純仙 桑原翠邦 師田久子 津金隺仙 阪正臣
藤岡保子 豊道春海 松田江畔 宮本旭水 村上鬼城 山口誓子 吉井勇
(敬称略・五十音順)

展示作品

女流の書

 女性の仕事ぶりが注目される昨今ですが、新春展では女性の書道作品の様々をご紹介します。書家や各方面で活躍した人々の作品を館蔵品からピックアップし、一堂に展観します。「おんなで」とよばれた「仮名」、「おとこで」の「漢字」。それらを融合した日本ならではの書道。「書はひとなり」。個性光る、魅力あふれる作品の数々をご堪能ください。

筆者一覧
特別展示  昭憲皇太后
安積功好 荒木孝子 飯森金鷺 石黒啓照 一条智光 伊奈香春
稲岡綾子 稲田静子 井上花洋 井上青香 井上康子 猪口邦子
植西翠子 魚田松園 宇賀寿子 内門律華 浦田英子 遠藤枝芳
扇千景 大石順教 大石千世 大石三世子 大石彩光
太田京子 岡田華園 岡本かの子 沖田雪苑 小倉遊亀 尾崎左永子
音川浄琴 尾上白邨 小野桂華 小尾桂萌 笠原静信 加藤子華
金子皆子 鴨居道 萱沼利子 川浦卯邨 川北春江 川口芝香
衣笠恵苑 木村菁香 清成舟光 工藤純仙 熊谷恒子 黒田杏子
黒野恵子 慶徳紀子 小池百合子 五代梨舟 後藤秀園 小山やす子
齊藤紫香 相根鈴子 捧菖扇 佐藤友理 宍戸栄子 師田久子
篠崎廣葉 篠田桃紅 下重暁子 下田歌子 白石かずこ 白石琳光
末石経 杉本苑子 鈴木春子 墨谷華 瀬戸内寂聴 鷹司誓玉
武原はん 巽慶耀 玉城紅竹 玉木幹荘 土橋靖子 筒井敬玉
遠山敦子 中尾一艸 楢崎華祥 西川香龍 西迫翠峰 西本支星
長谷川かな女 八井省子 林蕉園 林白鷺 原奈緒美 原秀子
樋口一葉 比田井小琴 平野清甫 平林香園 福島輝子 藤岡保子
藤間藤子 堀桂琴 堀江素琴 前野竹青 牧阿佐美 町春草
松本暎子 松本直 宮重小蘭 宮地祥子 村髙翠波 森川星葉
森下洋子 森田竹華 矢萩春恵 山田勝香 山本万里 与謝野晶子
吉川美恵子 和田澄子 渡辺智子 (敬称略・五十音順)

展示作品

秋季特別展―平安時代から江戸時代―書道美術館所蔵名品展

ごあいさつ

 秋季特別展は、日本書道美術館所蔵名品より「平安時代 から江戸時代」のコレクションを展観します。
 「仮名」文字を、中国大陸から学んだ漢字をもとに編み出した私達の祖先。日本語の表記に便利な万葉仮名に始まり、みやびな草仮名へと展開し日本美を極めました。また、唐風の漢文の書き振りが、日本独特の風合いを帯びた書き振りへと変化し、漢字と仮名が融合した、漢字仮名交じりの調和体の文書が、今日の日本語の文章の表記へと繋がっています。
 コレクションの最も古いものは、平安時代後期のもので、和歌文学が盛んであったことをよく示しています。漢字を指す真名に対し仮の文字である仮名を駆使して、筆のはたらきを活かして滑らかに美しく筆記しています。その息遣いと墨色の鮮やかさは、千年近くも昔のものとは思えないほど新鮮です。和歌、漢文の才とともに能書であることを要求されていた時代が長くあった日本。そんなことにも思いを馳せて、筆跡を堪能いただけたら幸いです。また、江戸時代には唐様書道が盛んになりましたが、中国大陸からの学問が背景にあることもご鑑賞の際には留めおきいただきたいところであります。表現には時代性が自ずから現れます。書を観るときに時代背景、人物像をおもうことで、本展の作品群は皆様のより一層身近なものになることでしょう。

館長 大城章二

主な出品作品

 廿巻本類聚歌合承暦二年四月二十八日内裏歌合、藤原定信・和漢朗詠集巻下(戊辰切)、伝寂蓮・和漢朗詠集切、烏丸光廣・月詠五首とし此へて、小堀遠州・消息、松花堂昭乗消息、本阿弥光悦・書状、良寛・きてみれば、近衛家煕・古今和歌集巻第七賀歌、亀田鵬斎・行書三行書、貫名海屋・行書七律詩巻ほか(順不同)

筆者一覧

藤原定信 寂  蓮 民部卿局 藤原為家 頓  阿 近衛信尹 本阿弥光悦
小堀遠州 烏丸光廣 松花堂昭乗 葛岡宣慶 中院道茂 近衛家凞 谷 文晁
三井親和 池 大雅 頼 春水 村田春海 亀田鵬齊 良  寛 平田篤胤
貫名海屋(菘翁) 市河米庵 藤井竹外 萩原廣道 勝 海舟 藤波教忠 中林梧竹
副島種臣 長 三洲 木戸松菊 巌谷一六 高橋泥舟 山岡鉄舟 日下部鳴鶴
大口周魚 香川景之 岩田鶴皐 岡山高蔭

出品作品

日本書道美術館展 同時展観現代名流展

ごあいさつ

 日本書道美術館展は、技の練度に重点が置かれがちな一般の展覧会の審査の在り方に一線を画し、個性豊かで気品ある作品、一般の人々にも理解される作品に光を当てる意図で創設されました。そのため、審査員を書家のみとせず、他の美術工芸、学問など、それぞれの分野の第一線で活躍されている方々に審査に加わっていただいてまいりました。また、協議の形を採らず、各審査員独自の判断を観客の目前で披露するという公開審査の形を第1回展より貫いてまいりました。審査当日に審査員メンバーを発表し、事前運動を防止しております。この方法は、書道展として他に例を見ない試みであっただけに回を追って益々好評を博し、厚い信頼をお寄せいただいているところであります。
 今年は、その第47回展でありますが、昨年よりも出品数が若干ながらも増加、しかも若年層にその傾向がみられることは偏に先生方のご熱意とご努力の賜物と存じます。また、審査員を例年感嘆せしめる写経部に加え、本年は、臨書部の水準の高さも話題にのぼりました。その質において著しく向上していることは、館展が高く評価されていることを裏付けるものでありましょう。
 本展は、役員等の部、一般公募の部ともに応募作品の名前を伏せて、役職や経験年数、年齢にかかわらず同じ土俵で作品を一点一点丁寧に拝見し、賞を決定します。このように出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も、その質において最高のものとするべく、先人の努力に感謝しつつ、一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
 回を重ね、更に練度の高い作品の出品を心から期待申し上げます。諸先生のご声援を偏にお願いしてやみません。

令和2年7月 公益財団法人日本書道美術館館長 大城章二

※新型コロナウイルスによる非常事態宣言発出中のため、館展史上初めての無観客審査となり、3密回避のため4回に分散して行いました。

公開審査審査員芳名

審査員所感

審査所感(50音順)

新井光風 審査員

新井光風 審査員
漢字について述べます。創作は、努力の累積の結晶、一生懸命さが読み取れましたが、作品に、存在感、生命感、意思が吐露されなくてはなりません。学んで蓄積したものを咀嚼し、消化して、それらを吐き出すことです。どんな情景を表現するか、どうつくるか、作者が意思を以て書いていくことが大切であり不可欠です。臨書は、古典に忠実に取り組み、徹して学ぶ姿勢の確かさがあり、立派です。ただ、臨書を作品とするとは、学ぶという一方通行から最後に落款を入れ、押印することで、模写を超え、私の作品にすることです。臨書者の古典への意気込みが加わって、存在感ある作品となり、観る者に訴えてくる。作品をつくるという意思を曖昧にせず、臨書するその確かな姿勢を基に、臨書作品に飛躍することを期待します。写経は、大変よく書かれています。筆力、筆勢、筆圧が加味されて生き生きとし、表装で一層引き立ちます。

角井博 審査員

角井博 審査員
臨書は高く評価しました。創作は、確かな線を引く書法を究め、創意工夫を抑制することで存在感が高まっていくと思います。仮名は小字に佳品が目立ち、大字は、流れとともに、付く離れるの行と線の絡みや散らし方に、現代の感覚が欲しいと感じました。写経は難しい中字を伸びやかに書き、例年ながら見事です。写経の上手が楷書の創作を、臨書の上手が古典を生かした創作に是非チャレンジしていただきたいと思います。

師田久子 審査員

師田久子 審査員
仮名創作はレパートリー豊かで高い水準が、特に小字にみられました。途切れることなく、自然な流れを散らしに持たせることは難しいものですが、古典を創作に活かしながらも自由な視点、発想で、作品を発展させていってください。創作漢字はうまく纏められていながらも、印象に残る作品が少なかったように感じましたが、臨書はまじめで高く評価します。特に仮名料紙の選択は成功し、よい紙に墨色が映えていました。

関吾心 審査員

関吾心 審査員
漢字創作は調和のとれた纏め方をしつつも、形の工夫が目立ちました。字形や線の揺れに意識が向いて、運筆を楽しんでいる印象を受けました。工夫を凝らすと華奢になり、面白い作品は生まれません。飾りの無い線で素直に書いて響いてくる存在感、生命感を感じさせることが大事です。丁寧に、確かな骨格を古典から学べば間違いありません。臨書も響きある線を評価しました。写経は例年に違わず素晴らしかったですが、点数が少なく残念でした。

大津英敏 審査員

大津英敏 審査員
洋画家です。書道に歴史があるように、絵画にも長い歴史があります。その表現は、例えばルネサンスのダヴィンチから何百年も経て、印象派という表現が生まれてきました。表現は、強い精神に基づき、常に新たに進化していくのです。一見稚拙なゴッホの作品でも、画面に作者の意思が表れ、観る人の心に訴え、感動を覚えるのです。ですから、上手ということだけでなく、紙面からその人の気持ちが伝わってくる作品を評価しました。心を込めて書いている、書く楽しみが伝わってくる作品に好感を持ちました。書道が古典を勉強して質が向上していくように、絵にもそれはあります。どんな勉強をしてきたかが、リアリティに繋がるのです。

仲川恭司 審査員

仲川恭司 審査員
臨書は、筆者を理解し訴える線条を最後まで持続して書き込んだ姿勢に好感を持ちました。書は、流れが大切です。金泥は、運動を意識し、墨で書く様に書きたいものです。金泥の重さに引っ張られて伸びやかさが欠けがちです。創作仮名は全体的に佳く、行と行、空間の響きを工夫すると更に向上する可能性が見え、勿体なく思いました。漢字も格調高く、古典の確かな裏付けが感じられます。隷書は、古典から意志ある強い線質を学んでください。また、枠を作ると、一字一字置いて流れが疎かになります。古典を研究し、臨書を創作に繋げる勉強が大切です。写経は、金泥の使い方が見事なものがありました。

寺島恒世 審査員

寺島恒世 審査員
仕事柄、古筆によく接しますが、白に黒を配置して新たな空間を如何に生み出すかに拘り、老練と気概溢れる若い人、枯れた味わいと強い表現、それぞれを楽しみ感動しました。漢字創作は、よく練られた意欲的な作品が多く、また、仮名は、心地よい配字に味わいを感じました。写経は、精神力の結晶とも云えましょう。字は誰もが書けるが故にデザイン的な書が世に溢れています。古典を学び書道の根本精神を理解し、表現を追求した先に本当の書道があり、純粋芸術の思想を以て深められるのではと考えています。

高木厚人 審査員

高木厚人 審査員
写経は、精神的な姿勢が加わり、印象的でした。創作は、仕掛ける、見せるという意識が出るので、抑制する難しさがあります。臨書の漢字は古典の線が造形的に大きく書かれているので、形を支える線の響きがいいと心地よく、仮名は形に囚われ委縮しがちな臨書にあって、寸松庵、関戸、石山切に大振りながらそれが魅力で、大らかで、古筆を捉える力を持った注目すべきものがありました。作品は、全体が醸し出すもので良し悪しが分かれます。憧れ、理想の作品をもち、それを再処理してみるなど、具体的に見据え、追いかける中で、自分らしさが生まれていくのではないでしょうか。

吉澤鐵之 審査員

吉澤鐵之 審査員
臨書は水準高く素晴らしいと感じました。創作は、古典の色ある品格ある作品が散見できました。創作の自由さを誤解して、自分勝手、自己流では説得力はありません。色々な古典や書き振りを取り込んで混ぜたのでは統一感が無く、感動させられるものは出来ません。倣書の訓練を経て好きな古典を絞り、マスターして創作に繋げる確かな作品づくりが大切です。素直に書いて、存分に古典が表れてくるものに、作品としての格調の高さが生まれます。日比野五鳳先生の素晴らしい臨書に感動したことがありますが、先生は古典を飛び越え、ご自身の表現を創り上げられたのだと思います。

雨宮弥太郎 審査員

雨宮弥太郎 審査員
雨端硯の家柄ですが、石で抽象的作品も造ります。書の魅力は書き手その人の息づかいにあると思います。書かれたものに、人物、呼吸が見えます。書き手を想像しながら、歌曲のように書にも物語性があると思い、画面上の呼吸の展開を拝見しました。画面で奏でられている素直な呼吸やこちらに迫ってくる作品に魅力を感じました。見所の工夫に一生懸命になり、作為が見えるほど、作品は小さくなっていきます。戒めて表現せねばと思います。写経は心が表出し好感を持ちました。

名誉館長賞~日本教育新聞社賞作品

名誉館長賞~日本教育新聞社賞作品

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特設講座書道大学平成31年度卒業修了作品展

当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各科2年間の集大成として、創作部・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作79点を紹介します。

出品作品

出品作品
出品者 専攻科
26期
飯島 香 伊藤楓華 江沢潤水 金重緑穗 久保畊楓 貞苅桂梨 進亮一
谷口峰仙 中井孝扇 根本利江子 野口琥 野口玉翠 野崎佳子 三浦香代
田 豊茜 李 順玉 渡邊京子
大学院
36期
荒牧紅秋 安藤公惠 五十嵐翠音 小川游水 小田原粧翠 小林葉馥 地主艸石
篠原真美子 須田麗月 根本青泥 益 鶴佳 宮部皓影 安川珠雪 山下憲行
大学
56期
安達恵香 飯田節子 江田露心 荻野美惠子 金澤輝泉 金子優子 河合峰苑
倉戸美智子 小祝恵風 近藤紫水 柴田華光 杉橋綾芳 鈴木茜葉 高木逢柚
高野早霜 高野春汀 楯 秀翠 田中曄仙 中村秀光 西宮理江 信岡曄月
早川千恵子 飛知和春鶴 船山明江 前田響曄 武藤遊亀 八ツ田佳子 山崎陽石
葭内邦子 渡辺明美 渡邉 好

新春特別展 唐詩百選展

ごあいさつ

唐詩は時代を越え、国を越えて愛誦されてきました。詩情豊かな書とともに鑑賞することで、一層味わい深く、書と文学が融合したゆたかな世界、「唐詩百選展‐書で味わう唐詩の情景‐」を開催いたします。
本展は、昭和六十年新春に開催した「唐詩百選」展出品作品が中心となりますが、再開催に当り、所蔵の作品群のうち揮毫者の重複等を避け、新規に十七首をご揮毫いただきました。元来作品は、書家自らが撰文しそれを作品に表現しますが、本展企画は、“詩”ありきで始まっており、出品をご快諾くださった新井光風氏、杭迫柏樹氏はじめご出品の皆さま方にあらためて感謝、御礼申し上げます。
本展準備に当たり、既刊の『唐詩百選集』で目にしていた作品を直に拝見し、その墨色と余白の美しさに感動することしきりでした。淡墨作品が多く、モノクロの作品集では表現しえなかった本物の味わいを、本展をとおして感じていただけるかと存じます。当時ご揮毫いただいた方々を見まわしますと、当時の書壇の動静を感じます。そのほとんどが鬼籍に入られました。昭和から平成を経て、令和の時代の表現に変化しながら、世代がバトンタッチしていく企画となりました。
今回、あらためて『唐詩百選展‐書で味わう唐詩の情景‐』図録を編むに当たり、佐藤保先生に読み下し、発音表記等について丁寧な御指導を賜わりました。漢詩は、字数、構成、対句、押韻、平仄などの制約を設けることで堅実な構成と音律的な美しさを生み出してきた文学です。その理解の手助けのために、『唐詩百選集』刊行当時と同様に発音を添えました。
高度な文明が漢字という文字を生み、符号的な字形を書体の色々によって変化させ、筆者の知性と感性と技によって、黒と白の共鳴の洗練された美の表現に高めた書道、喜怒哀楽をあたかも歌曲を聴くかのような表現に高めた詩。特権階級の文字による高度な文化が唐時代に漢詩の全盛期を迎え、今に伝えられ、私たちはその当時の詩を現代の日本の書道から鑑賞することができる幸運をかみしめつつ、令和最初の新春特別展をひらきます。

公益財団法人日本書道美術館
館長 大城 章二

主な出品者(敬称略・50音順)

出品者
明石春浦 淺井素堂 浅見錦龍 阿部醒石 阿部鉄蕉 天石東村 新井光風 池内艸舟
石井梅僊 石澤桐雨 石飛博光 石橋犀水 伊東参州 伊藤昌山 今関脩竹 江口大象
大井錦亭 大岡皓崖 大沢史峰 大澤碧水 岡田契雪 岡本松堂 小澤神魚 小名木東邨
小野田湖南 加藤僖一 加藤秋霜 加藤大碩 加藤東陽 金子華石 金子大蔵 神崎紫峰
杭迫柏樹 國吉幸舟 久米東邨 黒野清宇 桑田三舟 桑原江南 小木太法 小暮青風
小坂奇石 小山素洞 近藤摂南 貞政少登 佐藤宋石 篠原紫流 白鞘霞洋 須崎海園
鈴木春朝 鈴木天城 鈴木桐華 関 吾心 髙木聖鶴 高澤南総 高橋蒼峰 竹石古谿
田中真洲 田中東竹 太根啓山 土田帆山 續木湖山 坪井正庵 津村枕石 戸田提山
内藤香石 永井暁舟 中川雨亭 仲川恭司 中島藍川 長野竹軒 中平南海 中平南谿
西橋香峰 西村東軒 野口白汀 梅 舒適 花田峰堂 平形精逸 瀨舟雲 廣津雲仙
藤岡九波 藤本士啓 堀田南郷 牧 笛甫 松下芝堂 丸山鑾溪 南 不乗 宮川翠雨
毛利柳村 森岡峻山 安原皐雲 安原泥牛 山崎大抱 山根溪石 横西霞亭 吉澤石琥
吉澤鐵之 吉澤鐵石 吉野松石 渡邉笙鶴

出品作品

出品作品

秋季特別展 屏風の世界

かつては、生活空間に屏風という形で身近にあった書や絵画。しかし、生活様式の変化で生活の場から遠のいて久しい。"身近に存在した書"の観点から、一雙の屏風には場の雰囲気を変える力が宿っています。当館コレクションの屏風と、近現代の書家の(一部画家、陶芸家)の書式が整いながらも作品的な美しい手紙の数々を展観し、書の表現の様式を紹介します。

主な出品者(敬称略・50音順)

屏風の世界
巖谷 一六 宇賀 寿子 内田 鶴雲 岡村 素石 金子 鷗亭 川村 驥山
日下部鳴鶴 熊谷 恒子 黒野 清宇 桑田 笹舟 小木 太法 篠田 桃紅
清水 透石 田中 塊堂 千代倉桜舟 辻本 史邑 中林 梧竹 原 奈緒美
日比野五鳳 ほか
書壇名家の手紙
秋山 公道 淺井 素堂 石井 梅僊 石橋 犀水 上村 松篁 浮乗 水郷
内田 鶴雲 榎倉 香邨 大島 嵓山 小澤 神魚 折原 水光 川北 春江
桑原 翠邦 小木 太法 小暮 青風 小坂 奇石 小山 素洞 座馬 井邨
篠田 桃紅 鈴木 翠軒 鈴木 桐華 髙木 聖鶴 田中 塊堂 皷  芳石
鶴木 大寿 中村 閑葉 中村 春堂 野口 白汀 花田 峰堂 日比野五鳳
平田 春村 藤岡 保子 藤原  啓 松井 如流 山口 華楊 吉田  茂
太字は画家・陶芸家等

出品作品

出品作品

日本書道美術館展 同時展観現代名流展

ごあいさつ

日本書道美術館展は、昭和49(1974)年に第1回展を開催し、爾来、審査を公開で行い、審査員は審査当日に発表。また、誰もが心打たれる作品を選出されるよう、審査員は、書道界と各方面の著名人で書に深い関心を持たれる方を半々として委嘱しており、出品者にとって納得できる厳正公平な姿勢を貫いて参りました。
創作部からスタートした館展は、数回の改正を行い、現在、創作、臨書、写経部に大字、近代詩文書、篆刻、墨象を加え、現代書道の多様な表現を受け入れております。
審査は、一次審査から1点1点名前を伏せて、役職、経験年数、年齢に拘らず、また、会派や所属に拘らず同じ土俵で丁寧に拝見します。審議の結果、約1割の優秀と認められた作品は、公開審査にのぼり、見学者が見守る前で作品を公開し、各審査員は無言のまま点数を入れ、その評点も公開されて審査が進められます。
46回展の公開審査は5月2日、全国各地から約100名の見学者の参加を得、熱気に包まれる中進められました。公開審査に掛けられた作品は119点。内、創作部71点、臨書部33点、写経部15点でした。その他の部門は該当がありませんでした。審査の結果、下記の作品が入賞を果たしました。
出品の最高齢は大正10年生まれの97歳、最年少は平成18年生まれの13歳でした。
出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も質において最高のものとしていくために一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
皆様のご声援を今後ともよろしくお願い申し上げます。

公益財団法人日本書道美術館館長 大城章二(彫刻家)

第四十六回 公開審査審査員芳名

審査員所感

審査所感(50音順)

新井光風審査員

新井光風審査員
創作部は、作品をつくる技術、様式、墨の扱いなど作品として纏まってはいるが、ドキッとするものが足りない。作品には、澄みきった空気の緊張感、熱気、瑞々しさといった生命感がほしい。線一本にもエネルギー、命を感じる。それは漢字、仮名、どんな書体であろうが、何を書いても同じである。
臨書部は、真摯な姿勢が感じられ、高く評価できる。
写経部は、桝目の料紙に収めたものの多くが、桝にこだわり、次の字へと呼吸が伝わっていない。画数の混んだ字と少ない字を同じ枡の中に収めるので呼吸が合わない。枡目を取るとばらばら。意識を変えればもっとよいものができると思います。
審査をさせていただきありがとうございました。

宇野茂彦審査員

宇野茂彦審査員
観客の皆さんから審査されている気持ちでした。どの作品も一生懸命書いた姿が感じられ、佳い作品でした。自分の好み、自分が気に入る作品を見つけていきました。先ほど線のお話がありましたが、私も線質の違いが書き手の精神の状態の良し悪しで変わると常日頃思っています。作品の数々を拝見しながら線の魅力を突き止めようとしました。

奥田小由女審査員

奥田小由女審査員
令和の年の二日目に審査が行われ、印象に残る一日でした。素敵な作品が沢山あり、勉強になりました。来年のオリンピックにかけて日本の美を伝える日本博が催されますが、書は、日本美を海外に伝えるうえで重要な分野として注目されています。外国人は、漢字や仮名が読めなくても直感的に汲み取ってその良さを率直に認めます。それはとても大切なことと思います。
令和の時代にこの館展がますます発展されることを期待いたします。

角井博審査員

角井博審査員
毎回この席に居りますが、傾向は似ているが、レベルアップしていると思いました。
臨書は、個性が感じられ、難しい古筆も能く書かれていましたが、漢字には粗が散見されました。
写経は、大半が紺紙金泥中字写経で見事に書かれ、いつも驚かされます。
創作は、習熟度は高いが、こじんまりしている。自己を表現、創造するのが創作であるから、もっと個性を。また、迫力ある楷書がほしかった。仮名は総じて立派で特に細字作品にそれが見られました。また、中国の文人は落款に至るまで気を使いました。落款が悪ければ作品をおとしめることになる。全体意識をもって、落款を粗末にしないで頂きたい。
皆さんが努力したものの採点は難しいことですが、立派なものを沢山見せて頂きました。

師田久子審査員

師田久子審査員
以前審査員を務めたときよりもレベルが上がっていると感じました。仮名も漢字も紙面や墨の使い方など上手で、どこに出しても通用する作品でした。自宅に掛けてもいいなと思う小品もありました。ただ、展覧会に出品するのは、勝負するということでもあるから、物足りなくもあります。
仮名臨書は、その古筆に近い料紙を使用して、取り組むうえでのよい姿勢が目立ちました。臨書から学び培ったものを創作へとつなげてほしいと思います。
写経は金泥をうまく使っており、今回も感心しました。

田中英機審査員

田中英機審査員
ドキッとする作品に会えなかったというご意見がありましたが、私はドキッとしてばかりで、十点を何度か使わせて頂きました。私は日本芸能史研究をやっておりますが、芸道と書道は同じ「道」に携わる人間の共通点があるのではないかと思い、審査に参加させて頂きました。芸能では「型」を大事にし、「型」をその身に沁み込ませること、師匠からいただいた「型」を練り上げ、その人の「かたち」が生まれてくると考えられています。「かたち」のちは血液の血、命のち、このふたつが合わさって自分自身の「かたち」が生まれてくる。拡がっていく姿がみえる作品にドキッとしながら、芸道と重ね合せて拝見しました。

原奈緒美審査員

原奈緒美審査員
仮名の臨書作品は充実していましたが、全体的に墨量が多かったので、白の綺麗なものを評価しました。運筆の仕方で墨が出てしまうのかもしれません。
創作は、あいまいな字や、本文と落款の落差のある作品が気になりました。
制作において参考にする手本があったとしても、線を引くのは自分自身です。手本にセーブされることなく、訴えてくる作品を。そして、自分のどこに問題があるのかを見つけ改革をしていく。執筆に問題があるのか、用具に問題があるのか、他人がどんな筆遣いで、どんな筆、紙、墨を使っているのかを研究しましょう。審査員の先生方のお言葉に私も勉強させていただきました。

平形精逸審査員

平形精逸審査員
余白の効いた品のいい作品が見受けられたが、品の良さと弱さは紙一重です。形も良く、鋒先の弾力を生かした作品に得点を入れました。隷書、八分隷の書き方が、時間を取り過ぎているようで、様式的な書体にも強さが欲しいですし、行草も古典そっくりではなく、明清時代の作品を学んでそれを背景に作品作りを研究するといいと思います。仮名も写経も紙を突くような筆力を。強さを知って、初めて弱さと強さの調和を図ることが出来るものです。臨書は、自分の心を盛り込み、自分のリズムを優先させながら筆者の狙い目を意識して大胆に書きたい。審査員を楽しませてください。

廣瀨舟雲審査審員

廣瀨舟雲審査審員
創作は、標準的な文字を使い、恰好よく流れているものに得点を出しました。写経は桝目に書いているものが多かったが、名前を鍛えて本文との調和が図られるといいと思いました。仮名臨書はいいものが多くみられたが、漢字臨書は、動きが少なかったので、意識して加えていくと、生き生きとした佳い作品になっていくのではと思いました。

三田村有純審査員

三田村有純審査員
私は漆を用い蒔絵などの造形の仕事をしています。
普段、絵を描いているのですが、作品の字が読みきれませんでしたので、作品の全体像を捉え、画面の配置や訴えてくるもの、何を伝えようとしているのかを感じ取ろうとしました。渇筆や大胆な墨量、空間の変化など勉強になりました。三次元を感じさせる作品に得点を入れました。
緊張しましたが思い出になる経験をしました。

名誉館長賞~日本教育新聞社賞作品

名誉館長賞~日本教育新聞社賞作品

入賞者一覧はこちら

『第46回館展作品集』好評発売中

書道大学卒業・修了作品展

当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各科2年間の集大成として、創作部・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作100点を紹介します。

出品者とその作品

書道大学卒業・修了作品展
出品者 大  学
第55期
赤嶺歩実 及川紘堂 表谷珠明 鍵山光雪 柏木千恵子 川野清翠 喜納春翠
小島惠香 小山真知子 齋藤至都 坂口翠仙 櫻井信吉 櫻庭睦香 髙田翠流
竹内香雪 中比呂美 成瀬千惠子 長谷川佳峰 畠山千恵 桧垣珠雪 平石竹泉
増岡 茂 松井暁子 松下かをる 三浦佳舟 三浦精峯 宮本直美 安井明子
吉永之香
大学院
第35期
足立桃翠 出雲博子 入井瑞峯 牛山高歩 金子道子 亀田雅逕 木村晴海
倉西陽光 佐藤泰泉 白草秀采 鈴木洲節 高木恵佳 堤 美泉 中村涼苑
野村香月 坂場暉舟 久守麗芳 朴 正愛 水内映峰 矢島潮香 吉本桃扇
専攻科
第25期
相澤龍苑 安倍峰雪 石塚香琳 井原杏月 内田紀花 大友蒼月 小野原実聖
加藤秀咲 川﨑華萌 黒澤幸雲 小池美智 近藤有美 城山示宜子 進藤栄峰
鈴木洋翠 田上扇園 中村隆幸 濱野恵苑 前田孝子 増尾華香 松永華苑
村井蘭花 森川畦水 湯浅幸苑 鎧沢幸仙

日本書道美術館展

このたび、新春特別展では「臨書」に焦点をあて、独自の世界をつくりあげた書家や第一線で活躍する現代書家の最近作を展観し、各人各様の「古典」の取り組みぶりに迫ります。中でも、仮名書道の大家、藤岡保子は多くの臨書‐特に漢字‐を残し、その実力と追及する態度に圧倒されますが、本展では、当館収蔵の一部をご紹介します。
作家がその命を吹き込み、あらたに蘇った「古典〈臨書〉」の多様で、深奥な世界に触れていきます。

出品者とその作品

日本書道美術館展
田中親美 平家納経 川村驥山 王羲之 蘭亭集序
藤岡保子 臨 唐僧懐素自叙帖 藤岡保子 臨 顔真卿筆「祭姪文稿」
藤岡保子 臨 孫過庭 書譜 藤岡保子 臨 伝橘逸勢 伊都内親王願文
藤岡保子 臨 俊成卿「仮名消息」 藤岡保子 臨 伝藤原行成 関戸古今集
藤岡保子 臨 藤原定家卿和歌二題 藤岡保子 臨 烏丸殿御文
藤岡保子 臨 敦忠集切 小坂奇石 顔真卿 臨祭姪藁(祭姪文稿)
小坂奇石 顔真卿 臨争座位藁(争坐位文稿) 植村和堂 趙孟頫洛神賦
伊東参州 懐素 小草千字文 青山杉雨 臨太宗書
青山杉雨 臨魏鍾繇書 青山杉雨 歐陽詢行書帖抄録
青山杉雨 甘泉帖 唐太宗書 青山杉雨 褚河南 哀冊文抄 (文皇哀冊)
青山杉雨 東晉帝王書臨 戸田提山 太宗 晉詞銘
榎倉香邨 伝小野道風 本阿弥切 松下芝堂 虞世南 孔子廟堂碑
小木太法 臨権量銘 小木太法 臨爨寶子碑
小木太法 臨楊淮表紀 小木太法 臨爨寶子碑「龍騰鳳翔」
池田桂鳳 空海 灌頂記 池田桂鳳 藤原定信 金沢万葉集
清水透石 伝紀貫之 高野切第二種 清水透石 良寛書状
新井光風 臨召尊銘 新井光風 臨馬振拝等三十四人造像記
師田久子 手鑑 「月の桂」 浦野俊則 殷・甲骨文「丁未翌祭卜辞」
浦野俊則 西周・金文「追尸簋の銘文と器形」 関 吾心 敦煌漢簡
稲田静子 良寛 加藤東陽 伝橘逸勢 三十帖冊子
仲川恭司 貫名菘翁書松居遊見叟碑文幷文稿 平形精逸 歐陽詢 臨九成宮醴泉銘
平形精逸 歐陽詢 臨行書千字文 長野竹軒 王羲之 神龍半印本蘭亭序
長野竹軒 鍾繇 薦季直表 和田澄子 伝紀貫之 高野切第一種
高木厚人 伝紀貫之 寸松庵色紙 吉澤鐵之 臨米芾尺牘
原奈緒美 光悦書状 齊藤紫香 伝源俊頼 巻子本古今集巻第十三
廣瀨舟雲 鄭道昭 天柱山題字 青山浩之 孫過程 書譜

日本書道美術館展

日本書道美術館は、1973(昭和48)年11月4日、東京常盤台の閑静な住宅街に、「博物館法」に基づいたわが国初の「書道」を専門とする美術館として開館しました。
書家や書道教育者、書道を愛好する者にとり、美術館設立は、長年の大きな希望でありましたが、その実現のために日本教育書道連盟(昭和26年8月結成)の小山天舟理事長を中心に有志役員が立ち上がり、連盟結成20年の完成を目指しましたが、漸く昭和46年に建設委員会(委員長田中塊堂)を発足、全国会員と書壇有志から資金協力並びに歴史的名品の寄贈を得て、委員会発足から2年余りで完成、開館したのでした。その運営組織は、当初より財団法人(文部省許可)とし、現在は内閣府認可の公益財団としてオープンな運営を行っています。その運営は、当館事業にご理解をいただく有志による「参与」会員制度を開館当時より設け、会費のご協力をいただいています。参与会員は、書家、書道教育者、書道愛好者などどなたでも入会いただける制度です。
本展は、理事、監事、35年以上にわたり館を支えてきてくださった参与をはじめ、副館長、参議及び日本書道美術館展役員その他の選抜有志による小品(色紙中心)およそ200点を一堂に展観します。その表現は各人各様、現代の書の様々をご覧いただけます。

出品作品

日本書道美術館展

出品者芳名.pdf

日本書道美術館展

30年秋季展塊堂の書

 日本書道美術館は、1973(昭和48)年11月4日、東京常盤台の地にオープンしました。
 戦後、書道が、日本画、洋画、彫刻そして工芸に並ぶ美術として、一堂に展観されるために、尾上柴舟、豊道春海らは大変な努力をした結果、1948(昭和23)年、第4回日本美術展覧会(当時は日本藝術院主催)第五科となり、現在(現在は、公益社団法人日展主催)に至ります。
 同時に、書道の専門美術館建設が渇望されましたが、この実現は不可能であるという見解が大方でした。しかし、二人の薫陶を受けた小山天舟は、恩師田中塊堂とともに日本教育書道連盟会員、日展会員有志の賛同・協力により資金と収蔵品を調達、更には文部大臣経験者等芸術文化に造詣深い政治家の力添えを得て、文部省管轄財団法人の許可を受け、確実なる法人としての位置づけを図り、遂に実現させたのでした。そして、田中塊堂を館長にいただき、日本書道美術館は、「博物館法」に基づいた我が国初の書道美術館として開館したのでした。
 惜しいことに、塊堂は1976(昭和51)年に、天舟は2013(平成25)年に鬼籍の人となってしまいましたが、日本書道美術館は現在、内閣府認可の公益財団法人として、間もなく満45年となります。これを記念して、初代館長を務めた仮名書道の大家、田中塊堂の作品を館蔵品から展観し、書家・塊堂のしごとを振り返ります。

田中塊堂
 1896(明治29)-1976(昭和51)年 岡山県山田村(現在の矢掛町)生まれ。
 川谷尚亭に漢字書を学び、その後、古筆、古写経研究に専心し、品格ある平安朝の古筆を基調とした格調高い作風の作品「平和」で、日本藝術院賞受賞。細字・大字ともに仮名書の表現領域を広げた功績は大きい。また、般若心経浄書を日課としつつ、写経を究め、博士号を取得。漢字(主に草書体)作品も数多く残している。奈良国立博物館調査員、帝塚山学院大学教授、財団法人日本書道美術館館長、日展参与等を歴任。同時に、小山天舟と共に日本書道代表団を結成し、中華民国(台湾)、ヨーロッパ各国、アメリカ合衆国並びに中南米各国を歴訪し、日本書道を紹介して現地との交流を計るなど、日本書道の海外宣揚に努めた。

出品作品

日本書道美術館展

日本書道美術館展

ごあいさつ

 日本書道美術館展は、昭和49(1974)年に第1回展を開催いたしました。爾来、審査を公開で行い、審査員を審査当日に発表。また、誰もが心打たれる作品を選出していただくために、審査員は、書道界と各方面の著名人で書に深い関心を持たれる方を半々として委嘱しており、出品者にとって納得できる厳正公平な姿勢を貫いて参りました。
 この方法は書道展として他に例を見ない方法であっただけに斯界の注目するところとなり、回を追って益々好評を博し、永年にわたり厚い信頼をお寄せいただいているところであります。ひとえに、出品者各位のご努力と審査員諸先生のご尽力の賜物であるとあらためて感謝申し上げます。
 創作部からスタートした館展は、数回の改正を行い、現在、創作、臨書、写経部に大字、近代詩文書、篆刻、墨象を加え、現代書道の多様な表現を受け入れております。
 審査にあたっては、1点1点を名前を伏せて、役職や経験年数、年齢に拘らず、また、会派や所属に拘らず同じ土俵で丁寧に拝見し、審査していきます。約1割の優秀と認められた作品は、公開審査の場に上り、見学者の見守る前で作品を公開し、各審査員は無言のまま点数を入れ、その評点も公開されて審査が進められます。
 45回記念展の公開審査は4月29日に行われ、全国各地から約100名の参加を得、会場は熱気に包まれて立錐の余地のないほどの盛況ぶりでした。公開審査に掛けられた作品は127点、内創作部78点、臨書部30点、写経部17点、大字部1点、篆刻部1点でした。出品の最高齢は大正14年生まれの93歳、最年少は平成15年生まれの14歳でした。
出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も質において最高のものとしていくために一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
皆様のご声援をひとえにお願いしてやみません。

公益財団法人日本書道美術館館長 大城章二(彫刻家)

第四十四回「館展」審査員(敬称略)

審査所感

遠山敦子  書道は造形芸術の中でも文字と言葉が合わさってひとつの風景を作り出しているわけですが、景色の中で少々違和感を覚えるものも時にはございましたが、もっと見ていたいなあと思うものも審査ですので通り過ぎて行ってしまいました。古典を学び、修練、努力を感じましたが、時代に訴えるものがあってもいいのではないか、と思いました。
有岡しゅん崖  臨書は、古典に忠実な姿勢に感銘を受けましたが、臨書作品として自分のリズムに則るという方向性も必要と考えます。写経は、緻密で繊細な立派な作品でした。創作は、うまく纏まっていました。そこに躍動感、人間らしさが加われば、期待を感じさせる力強い作品になっていくと思います。
角井 博  自分の感性を鋭くして臨みました。漢字臨書は古典の寸法にとらわれず、自由に書かれ見事でした。紺紙金泥の写経の成果を評価しました。創作は厳選された作品だけにバランスのよい真面目な作品が多い反面、新鮮な生き生きとした独自性を持った作品が少なかったようで残念でした。
杭迫柏樹  臨書部は、古典をしっかり捉えた佳い作品ばかりでした。あらためて古典の偉大さを感じました。写経には感服しました。一編の物語をみているような感覚を覚えました。創作は、自分の美の理想を表現しようとしているかといったことを中心に評価しました。作者の意図と構想が消化された作品は、漢字より仮名に多くあったように思いました。表現したい理想を持たないと柱のない建物になってしまいますので、表現する意思を持つことが大切です。
清水透石  臨書は、古人の優れた作品を一生懸命臨書している姿がみられましたが、自分なりのものを更に引き出して表現してください。写経は心を込めた濁りの無い線で、高く評価しました。創作は審査の結果、仮名に高得点が集まり、漢字よりすぐれた作品が多くありました。心の表出と筆を一体化させるところへの努力がたいせつです。
下谷洋子  気合のこもった写経はいずれも素晴らしかったです。臨書は、緻密に書かれ、特に仮名において潤筆に深さがあって、バランスが良かったと思います。渇筆部分も古筆の存在感、豊さが欲しいと思いました。創作も墨色と線のリズムのバランスのよい、心に響く作品に惹かれました。
西嶋慎一  仮名作品に線の冴えが目立っておりました。総じて仮名の方が佳いものが多かったという印象です。漢字作品ももっと冴えた厳しい線で情感、雰囲気をつくり、訴えてきてほしかったと思います。古典で成されてきたことをつかみ、古典に大いに学ぶことが肝要かと思います。
藪野 健  ルクソール古代建築調査で、壁画の一本の線が、スピードと強さとリズムでコントロールされていることに驚きました。今日は一本の線で書かれた様々な作品を、絵を見るのと同じように拝見しました。創作者の心の中に入って行かれる作品は、表装と表裏一体で増幅作用で風景をつくり、心に響いてくると感じました。ディテールに神が宿ると、それを再認識した楽しい経験でした。
栁澤朱篁  篆隷の作品が臨書部公開審査にのぼらず残念でした。写経部は、清々しさに心惹かれ、金銀泥のものに評価すべきものがありました。創作は惜しいと感じる作品が目立ちました。もっともっと頑張って頂きたい。私自身、指導の立場としての方向性を学ばせてもらいました。
大城章二  枠の中に納まったおとなしい作品が多くみられました。伸び伸びとエネルギッシュな印象の作品を評価しました。芸術の本質、最も大切なものは生命感です。エネルギーの躍動が感じられるのがよい作品です。技術は経験とともに付いてきますが、それだけではよい作品に繋がりません。作品に対する思い入れがもっともっと必要であると思います。

名誉館長賞~日本教育新聞社賞作品

第四十四回「館展」審査員(敬称略)

日本書道美術館展

当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各科2年間の集大成として、創作・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作90点を紹介します。

出品作品

第四十四回「館展」審査員(敬称略)

出品者 大  学
第54期
赤木慧華 浅井郁子 荒牧紅秋 五十嵐翠音 遠藤昭子 小川游水 小田原粧翠
勝俣祥苑 加藤桜雨 岸 彩光 古泉陽光 小林葉馥 阪田香葩 地主艸石
篠原真美子 須田麗月 関原千惠子 高野由里子 髙橋雨水 髙比良堆泉 中島明陽
中村正苑 根本青泥 畑下秀博 廣田圭春 堀江舟峰 益 鶴佳 松井敬子
水野香伸 宮部皓影 安川珠雪 山﨑雅子 山下憲行
大学院
第34期
伊藤楓華 江沢潤水 川上稜泉 久保畊楓 阪口華芳 佐々木真香 斯波文晴
滝瀬道子 谷口峰仙 谷田熾箋 鎮田有又 中村瑞華 野澤喜龍
専攻科
第24期
相原紫曄 飯島 香 飯星應波 五十嵐啓心 石橋春雪 一家玉仙 岩崎 等
江藤瑞光 大澤峰雪 金重緑穗 後藤眞澄 小林博子 進亮一 中井孝扇
西田谿黎 根本利江子 野口玉翠 野口琥泠 野崎佳子 松田栄美子 三浦香代
宮崎ヤス子 山下香鶴 𠮷田豊茜 李 順玉 渡邊京子

(50音順)

日本書道美術館展

日本書道美術館では、世界に誇る伝統芸術「書道」の価値ある作品を厳選し、蒐集保管し、次世代に伝えていくことを重要な事業として位置づけています。平成29年度中に寄贈により新たに当館収蔵となった作品をこの度の春季特別展で展観、ご紹介します。

主な出品作品

出品作品 尾上柴舟筆「香具山帖」ほか 1点
新井光風筆「懿徳」ほか 7点
花輪たね筆「万葉歌」
小出聖水筆行書「七言絶句」
平成29年秋季特別展新収蔵御製御歌作品 16点 全28点

みどころ

 書家・歌人 尾上 おのえ さい しゅう 筆の「香具山帖」は万葉集の和歌49首を選び、染め、唐紙、切り継ぎ、 野毛 のげ きり かね 、金銀箔、 砂子 すなご など、装飾の粋を極めた平安朝の料紙を 色紙形 しきしがた に仕立て、一枚に一首をしたためました。更に、一枚毎に、豪華な金蒔絵を施した折帖の帙に納め、 かがみ 風に仕上げた逸品です。万葉集のうたと柴舟のうつくしく伸びやかな文字が、豪華な色紙の紙面に息づき、見事な世界を生み出して、観る者を圧倒します。
 書道界の重鎮、 新井 あらい 光風 こうふう 筆の作品は、白と黒のみの世界。篆書の大作5点は、長年、氏が追求研究してきた古代文字を現代の芸術表現としての世界観をもって表現されています。また、五言二句は 六朝 りくちょう 風の楷書で揮毫。これらの6作品は、氏の言葉を拝借すれば「命のかたちを紙面に定着」させ、“用紙の白と墨の黒”とが創り出す緊張感、立体感…。作品が語りかける声を聴きに当館に足を運んでいただきたい佳品です。

出品作品

第四十四回「館展」審査員(敬称略)

日本書道美術館展

かつて、漢字が大陸から伝来し、王羲之の書風に代表される唐様が隆盛し、そして、我が国独自の特徴を備えた和様が発展しました。その後も大陸と交流しつつ、新たな書風を学び漢文の書は展開してきました。明治という時代は世の中に大変革をもたらし、清国の楊守敬の来日が刺激となって、巖谷一六や日下部鳴鶴らを輩出、新たな表現の時代が始まりました。そして、近藤雪竹や丹羽海鶴、比田井天来らが続き、さらに、昭和の戦後、絵画、彫刻と肩を並べた書は、会場芸術として表現が大きく変換。西川寧、金子鷗亭、手島右卿らが時代をリードして、現在もその精神は、新井光風氏、星弘道氏、仲川恭司氏らに引き継がれています。

主な出品者(敬称略・50音順)

出品者
楊 守敬 市河米庵 巌谷一六 日下部鳴鶴 中林梧竹 近藤雪竹 丹羽海鶴 比田井天来
西川春洞 辻本史邑 津金隺仙 鈴木翠軒 松井如流 村上三島 西川 寧 小木太法
手島右卿 津金孝邦 新井光風 星 弘道 髙木聖雨 石飛博光 ほか (敬称略)

出品作品

第四十四回「館展」審査員(敬称略)

日本書道美術館展

秋季特別展「天皇陛下御製皇后陛下御歌展」について

「天皇陛下御製皇后陛下御歌展」をこのたび秋季特別展として開催する運びとなりました。
日本書道美術館では、これまで折節に、御製御歌を賜わり、各界第一線で活躍する方々の謹書作品を展観する機会をいただいて参りました。昭和五十八年一月、開館十周年を記念し、
「皇太子殿下 同妃殿下御歌展」開催に当たり、昭和二十六年からの御製六十首、昭和三十五年からの長歌を含む御歌四十首をお示し賜わり、学問、芸術の各分野及び国政の第一線でご活躍の方々がご揮毫申し上げました。次いで平成二年には
新天皇陛下御即位を慶賀申し上げ、
「今上陛下御製皇后陛下御歌展‐皇太子同妃両殿下時代の御作」を開催。新たに昭和六十三年までの御製二十五首御歌二十五首をお示し賜わり、併せて百五十首を展観申し上げ、
皇太子殿下行啓、紀宮殿下のお成りを賜わりました。
また、平成四年、沖縄復帰二十年を記念して、沖縄の古典文学「琉歌」と工芸を紹介した「琉歌‐南島のうたの心」展には、琉歌を含めた御製御歌を特別にお寄せ賜わり、沖縄の方々を中心に謹書申し上げ展観、
天皇皇后両陛下行幸啓、皇太子殿下行啓、紀宮殿下お成りを賜わりました。
更に、平成二十一年には、同年歌会始までの御製十五首御歌十五首を加えることのお許しを賜わり
「御成婚五十周年記念‐天皇陛下御製皇后陛下御歌展」を開催申し上げました。
御即位から間もなく三十年。新たに本年歌会始までの御製御歌の謹書をお許し賜わり、新作十七点が加わりました。三十五年間に蓄積された豊かな作品群は、昭和二十六年から本年歌会始までの御製百二十首百二十五作品、昭和三十五年から本年歌会始までの御歌九十二首九十五点を数えますが、御歌集に未発表の御製御歌も散見され、貴重な資料を形成しています。また、御製御歌のご染筆のお顔ぶれはその時代を担ってこられた方々であり、作品の表現は、個性とともに歳月の厚みある貴重な財産として、大きな意義をもつものと存じます。今回は、これらのコレクションからお許しを賜わりました御製九十二首御歌六十八首、百六十作品を一堂に展観申し上げました。
最後に、本展開催に当たり種々ご高配を賜わりました宮内庁並びにこれまでに謹書の労を賜わりました皆様方、そして企画にご助言賜わりました新井光風氏、清水透石氏にあらためて深謝申し上げる次第でございます。
(展覧会図録、「館長ごあいさつ」より)

主な出品者(敬称略・50音順)

文化勲章受章者 二代浅藏五十吉(陶芸・日本藝術院会員) 伊藤清永(洋画・日本藝術院会員) 大山忠作(日本画・日本藝術院会員) 小倉遊亀(日本画・日本藝術院会員) 金子鷗亭(書・日本藝術院賞受賞・全国戦没者追悼式「全国戦没者之霊」標柱揮毫) 河盛好蔵(仏文学・評論・日本藝術院会員) 小山敬三(洋画・日本藝術院会員) 坂田藤十郎(歌舞伎・重要無形文化財保持者・日本藝術院会員) 杉本苑子(作家) 千玄室(茶道) 髙木聖鶴(書・日本藝術院賞受賞) 六世中村歌右衛門(歌舞伎・重要無形文化財保持者・日本藝術院会員) 守屋多々志(日本画)
文化功労者 宇野信夫(劇作・日本藝術院会員) 上條信山(書・日本藝術院賞受賞) 絹谷幸二(洋画・日本藝術院会員) 清元志津太夫(清元節・重要無形文化財保持者・日本藝術院会員) 金田一春彦(国語学)  野村萬(能狂言方・重要無形文化財保持者・日本藝術院会員) 日比野五鳳(書・日本藝術院会員) 日比野光鳳(書・日本藝術院会員) 牧阿佐美(バレエ) 三善晃(作曲・日本藝術院会員) 森下洋子(バレエ・日本藝術院会員)
日本藝術院会員 木下繁(彫刻)  鷹羽狩行(俳句) 能島征二(彫刻・日本藝術院賞受賞) 蛭田二郎(彫刻・日本藝術院賞受賞) 山本貞(洋画・日本藝術院賞)
日本学士院会員 関集三(物理化学) 諸星静次郎(農学)
日本藝術院賞受賞 新井光風(恩賜賞・書・全国戦没者追悼式「全国戦没者之霊」他標柱揮毫) 津金孝邦(恩賜賞・書) 榎倉香邨(書) 大石隆子(書) 黒田賢一(書) 桑田笹舟(書) 近藤摂南(書) 殿村藍田(書) 宮本竹逕(書・歌会始召人)
重要無形文化財保持者 赤地友哉(漆芸) 奥山峰石(金工鍛金) 音丸耕堂(彫漆) 鎌倉芳太郎(染織) 新内仲三郎(新内節) 鈴木苧紡庵(染織) 鳥羽屋里長(長唄) 西出大三(截金工芸) 藤間藤子(舞踊) 藤本能道(陶芸・元東京藝術大学長) 森茂好(能ワキ方)
宮中歌会始詠進歌選者 香川進(歌人) 三枝昻之(歌人) 篠弘(歌人) 山本友一(歌人)
芥川賞受賞 新井満(作家) 大城立裕(作家)

出品作品

第四十四回「館展」審査員(敬称略)

日本書道美術館展

ごあいさつ

 日本書道美術館展は、昭和49(1974)年に第1回展を開催いたしました。爾来、審査を公開で行い、審査員を審査当日に発表。また、誰もが心打たれる作品を選出していただくために、審査員は、書道界と各方面の著名人で書に深い関心を持たれる方を半々として委嘱しており、出品者にとって納得できる厳正公平な姿勢を貫いて参りました。
 この方法は書道展として他に例を見ない方法であっただけに斯界の注目するところとなり、回を追って益々好評を博し、永年にわたり厚い信頼をお寄せいただいているところであります。ひとえに、出品者各位のご努力と審査員諸先生のご尽力の賜物であるとあらためて感謝申し上げます。
 創作部からスタートした館展は、数回の改正を行い、現在、創作、臨書、写経部に大字、近代詩文書、篆刻、墨象を加え、現代書道の多様な表現を受け入れております。
 審査にあたっては、1点1点を名前を伏せて、役職や経験年数、年齢にかかわらず、また、会派や所属にかかわらず同じ土俵で丁寧に拝見し、審査していきます。約1割の優秀と認められた作品は、公開審査の場に上り、見学者の見守る前で作品を公開し、各審査員は無言のまま点数を入れ、その評点も公開されて審査が進められます。
 44回展の公開審査は4月29日に行われ、全国各地から約100名の参加を得、会場は熱気に包まれて立錐の余地のないほどの盛況ぶりでした。公開審査に掛けられた作品は139点、内創作部80点、臨書部33点、写経部25点、大字部1点でした。出品の最高齢は大正14年生まれの92歳、最年少は平成15年生まれの13歳でした。
 出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も質において最高のものとしていくために一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
 皆様のご声援をひとえにお願いしてやみません。 公益財団法人日本書道美術館館長 大城章二(彫刻家)

第四十四回「館展」審査員(敬称略)

第四十四回「館展」審査員(敬称略)

― 審査所感 ―

角 井   

力強く、個性が発揮され、活かされた作品群でした。制約の中で、工夫の様が見られ、日頃の努力が実った立派な結果だと思います。

加 藤  東 陽

気持ちが表れ、気脈や行間が繋がり、骨格がしっかりしている作品を評価しました。書いた人に寄り添った、ぶれ無い審査を心掛けました。

齊 藤  紫 香  

安定感があって、心がざわつかないものを評価しました。写経の運筆の確かさは、落款にも生きて、まことに素晴らしいものでした。

下 田  義 寛  

書も日本画と同様に伝統芸術です。中国から伝わり、日本人の新たな思考を加えて伝統の太い縄を綯ってきました。今日はそれを感じました。

関   吾 心  

形に囚われすぎると、線が疎かになるので意識を常に線に持っているといいと思います。写経は確実な運筆に、経年の力を感じました。

高 木  厚 人  

臨書は、形をとることも大事なことのひとつではありますが臨書する者の意識とエネルギーを臨書の中に、もっと込めて欲しいと思いました。

高 久  由 美  

古代文字から現代の日本の漢字、そして仮名まで様々なジャンルの作品に触れ、色々な作品を通じて書を学ばせていただきました。

田 中  英 機  

見た瞬間にドキドキするか、という直感的な目線で拝見しましたが、我が身が評価されているという思いでした。出品者に敬意を表します。

名 児 耶  明

書は、紙と墨の単純なものですが、立体を理想とし、線と構成がうまく噛み合うと余白が際立ち立体的に見えます。その見地で拝見しました。

 有純

線が持つ力強さや立体感、線の抑揚と涸れ具合で、二次元が三次元の世界になっていきます。夫々の構成を楽しく拝見いたしました。

第四十四回「館展」審査員(敬称略)

現代名流小品展
会期:平成29年7月5日~8月20日

現代書壇を代表する名流の色紙など、仮名の小品50数点を展観します。髙木聖鶴、日比野光鳳、榎倉香邨、黒野清宇 ほか。

現代書壇名流小品展


書道大学卒業・修了作品展

 当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各課程2年間の集大成として、創作・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作121点を紹介します。

代表作品

出品作品
出品者 大  学
第53期
足立桃翠 安藤公惠 石田 晴 出雲博子 伊藤華峯 入井瑞峯 牛山高歩 奥村秀晴
柿元真有 金澤石峰 金子道子 亀田雅 乾野秀日 木村晴海 倉西陽光 櫻井光殷
佐藤泰泉 白草秀采 城津秀隆 鈴木洲節 鈴木東渓 真由美 園井秀芳 高木恵佳
田中蘭水 田中鈴雪 谷川真実 堤 美泉 中島秀利 中村涼苑 野村香月 坂場暉舟
久守麗芳 平井智雪 福田春華 伏見峰蓉 朴 正愛 堀田美知 堀 江泉 本多玉果
松浦郁子 水内映峰 宮倉清苑 宗政航泉 森口香城 森 朱櫻 山本静湖 吉本桃扇
大学院
第33期
相澤龍子 浅野美月 安倍峰雪 井原杏月 内田紀花 小川典子 川﨑華萌 川端雅子
北村紅楓 小島桂華 柴田つね子 清水弘葉 城山示宜子 進藤栄峰 瀧澤敏子 中澤翠泉
前田孝子 松田如仙 松永華苑 森川畦水 湯浅幸苑
専攻科
第23期
浅見芳月 石川枝美 石塚香琳 内山千 宇根紅芳 小串湊竹 黒澤幸雲 小池美智
小出厚 近藤有美 齋藤欣江 齋藤祥仙 斉藤早 齊藤杪泉 佐野穂甫 杉山静悦
田上扇園 千葉絹泉 富谷杲醒 中村幸 根本恵翆 根本煌華 半田尚子 増尾華香
萬藤春水 鎧沢幸仙

(50音順)


新収蔵作品展

 日本書道美術館では、世界に誇る伝統芸術「書道」の価値ある作品を厳選し、蒐集保管し、次世代に伝えていくことを重要な事業として位置づけています。平成28年中に寄贈・購入により新たに当館収蔵となった作品をこの度の春季特別展で展観、ご紹介します。

出品者芳名
明石春浦 淺井素堂 浅見喜舟 新井光風 池田桂鳳 石橋犀水 伊東参州 稲田静子
岩永栖邨 浮乗水郷 江口大象 榎倉香邨 大石三世子 岡本白濤 尾上柴舟 加藤東陽
杭迫柏樹 黒田賢一 黒野清宇 桑田笹舟 小山天舟 齊藤紫香 座馬井邨 師田久子
清水透石 関 吾心 高木厚人 高塚竹堂 田中塊堂 谷辺橘南 津金孝邦 土橋靖子
長野竹軒 中室水穂 藤岡保子 村上俄山 横山煌平 和田澄子 (敬称略・50音順)
みどころ 書壇の重鎮、清水透石氏の「かな」の作品は、昨年、初個展に発表した屏風等の大作をはじめ11点を展観。また、物故者の未発表作を表具し、新たに公開します。

出品作品

出品作品

萬葉歌の世界-今に書きつがれる最古の歌集-

 万葉仮名とよばれる漢字の音読や訓読で記された万葉集が、永年の研究で翻訳され、漢字平仮名で表記されることにより、現代の私たち誰もが親しく読み、多くの書作品で味わうことができるようになりました。
 本展では、98首の短歌を134人の書家が万葉・変体・平仮名などでそれぞれに詩情豊かに書き上げた小品139点を展観します。

出品者芳名
明石春浦 秋田素鳳 淺井素堂 浅見喜舟 浅見錦龍 阿部醒石 天石東村 天野琴香
新井光風 井垣北城 池内艸舟 池内立明 池田桂鳳 池辺松堂 石井梅僊 井茂圭洞
伊東参州 稲田静子 今井頼璋 今関脩竹 岩永栖邨 上窪恵泉 植村和堂 宇賀寿子
氏田菖軒 江口大象 榎倉香邨 大石三世子 大貫水聲 大森華泉 岡田秋翠 尾形研陽
岡本白濤 荻野誠二 小澤神魚 小野桂華 小野桂甫 笠原和爽 勝瀬景流 加藤僖一
加藤達成 加藤東陽 上嶋茂堂 鴨居 道 川北春江 川口芝香 川島鳳村 喜多松琴
杭迫柏樹 日下部紅綾 熊谷恒子 黒田賢一 黒野清宇 桑田笹舟 桑田三舟 桑原江南
慶徳紀子 小暮青風 小島 寿 五代梨舟 後藤秀園 後藤西香 小山素洞 小山天舟
座馬井邨 師田久子 島田雨城 清水影村 清水透石 杉岡華山 鈴木春子 墨谷 華
関 吾心 高木厚人 髙木聖鶴 高木東扇 高田春紀 高田尾舟 田口尹基子 田島方外
谷本素洲 玉田鳳竹 田村寿麻 辻本翔鶴 土橋靖子 皷 芳石 坪井正庵 津村枕石
徳山二舟 戸田提山 中尾一艸 中川雨亭 長野竹軒 中村 文 中村龍石 中室水穂
名手朱舟 西井林亭 西川香龍 西迫翠峰 西本支星 梅 舒適 東山一郎 日比野光鳳
平田華邑 平林香園 藤岡九波 藤木正次 藤原勝子 法元康州 堀 桂琴 堀江素琴
堀江知彦 前原少青 町 春草 松永豊治 松本暎子 宮川翠雨 宮重小蘭 宮地祥子
村上俄山 森本栖鳳 山口南艸 山崎大抱 山田勝香 山本万里 由良鳳英 横田祥瑞
横山煌平 吉川鳳春 吉田水明 吉野松石 吉村 茂 和田澄子 (敬称略・五十音順)

出品作品

出品作品

日本教育書道連盟結成65周年記念展

 日本教育書道連盟は、戦後行われた文部省教員免許法認定講習会に全国から集まった先生方の総意のもと、昭和26年8月に結成されました。元文部大臣高瀬荘太郎先生を初代会長にお迎えし、全国統一書道検定試験の実施、中華民国との交流、欧米諸国への日本書道の宣揚、さらに我が国初の書道を専門とする美術館・日本書道美術館の創設という大事業の数々を敢行。その間、書道界において常に中立的立場をとり、古典学習を中心に伝統を守りながら今の時代の正統的書道を追求してきました。厳正公平な審査は合格基準がおのずから高く、結果、社会的に厚い信頼となっています。
 この度結成65周年を迎え、これを記念して、審査会員有志による色紙作品を中心に、一堂に展観します。

特別展示『二十卷本類聚歌合「内裏歌合-承暦二年四月廿八日」』
(作品につきましては平成27年秋季特別展展覧会頁をご覧ください。)
主な出品者 会   長 奥野誠亮(元文部大臣・元法務大臣・元国土庁長官)
名誉会長 海部俊樹(元内閣総理大臣・元文部大臣)
初代会長 高瀬荘太郎(元文部大臣)
元副会長 田中塊堂(文学博士・日本藝術院賞受賞・日本書道美術館初代館長)
前理事長 小山天舟(前日本書道美術館館長)
副会長 牧 笛甫(日本書道美術館副館長・愛知)
内田豊泉(日本書道美術館名誉副館長・長野)
理事支局長 村田麗水(日本書道美術館副館長・愛知)
堀江素琴(日本書道美術館名誉副館長・兵庫)
阿部朱昂(日本書道美術館副館長・神奈川)
永田峰亭(日本書道美術館副館長・大阪)
丸谷 秀(日本書道美術館副館長・大阪)
山川蓬邑(日本書道美術館副館長・三重)
市川竹穂(日本書道美術館副館長・栃木)
大島竹華(日本書道美術館副館長・三重)
北川佳邑(日本書道美術館副館長・神奈川)
伊藤欣石(千葉)
武山翠屋(愛知)ほか173名(1都1道2府27県)

出品作品

出品作品

日本書道美術館展

 このたび秋季特別展「仮名書道の魅力―かな文化を承け継いで―」を開催する運びとなりました。
 仮名は平安時代に、漢字の音を借りて記した万葉仮名を起源に成立し、現在、私たちが使う文字としての平仮名と、一方で、和歌などの写本として、その美しさが追求され、行書きから散らし書きなど、芸術的表現へと発展し、和様漢字の展開とともに、漢字を調和させた仮名書道が確立され、日本美の頂点として今日まで伝えられています。
 本展では、それらをどのように承け継ぎ発展させてきたかを考察したいと存じます。
 なお、展観作品はすべて当館の所蔵作品です。昭和四十八年十一月四日、収蔵数僅か五百点で開館し、爾来、購入、寄贈等、少しずつ蒐集に当たって参りましたが、現在、大きな作品群となり、広い時代区分で展観することが可能となりました。これまでに貴重な作品をお寄せくださった故人、現役の先生方並びに大切な所蔵品をご寄贈くださった皆さま方に、この場をお借りしてあらためて心からお礼申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。

出品者 鎌   倉 伝藤原為家
室   町 頓      阿
江   戸 松花堂昭乗 近衛家熈
近現代 小野鵞堂 大口周魚 阪 正臣 岡山高蔭 中村春堂 尾上柴舟 吉澤義則 藤岡保子
比田井小琴 高塚竹堂 鈴木翠軒 安東聖空 相沢春洋 田中塊堂 内田鶴雲 桑田笹舟
日比野五鳳 谷辺橘南 浮乗水郷 森田竹華 今関脩竹 深山龍洞 平田華邑 熊谷恒子
植村和堂 堀   桂琴 宮本竹逕 小山素洞 飯島春敬 大石隆子 伊藤鳳雲 宮重小蘭
杉岡華邨 小山やす子 髙木聖鶴 榎倉香邨 楢崎華祥 桑田三舟 小山天舟 日比野光鳳
赤江華城 黒野清宇 池田桂鳳 井茂圭洞 清水透石 師田久子 黒田賢一 (敬称略)

出品作品

出品作品

日本書道美術館展

ごあいさつ

 日本書道美術館展は、昭和49(1974)年に第1回展を開催いたしました。爾来、審査を公開で行い、審査員を審査当日に発表。また、誰もが心打たれる作品を選出していただくために、審査員は、書道界と各方面の著名人で書に深い関心を持たれる方を半々として委嘱しており、出品者にとって納得できる厳正公平な姿勢を貫いて参りました。
 この方法は書道展として他に例を見ない方法であっただけに斯界の注目するところとなり、回を追って益々好評を博し、永年にわたり厚い信頼をお寄せいただいているところであります。ひとえに、出品者各位のご努力と審査員諸先生のご尽力の賜物であるとあらためて感謝申し上げます。
 創作部からスタートした館展は、数回の改正を行い、現在、創作、臨書、写経部に大字、近代詩文書、篆刻、墨象を加え、現代書道の多様な表現を受け入れております。
 審査にあたっては、1点1点を名前を伏せて、役職や経験年数、年齢に拘らず、また、会派や所属に拘らず同じ土俵で丁寧に拝見し、審査していきます。約1割の優秀と認められた作品は、公開審査の場に上り、見学者の見守る前で作品を公開し、各審査員は無言のまま点数を入れ、その評点も公開されて審査が進められます。
 43回展の公開審査は4月29日に行われ、全国各地から約100名の参加を得、会場は熱気に包まれて立錐の余地のないほどの盛況ぶりでした。公開審査に掛けられた作品は138点、内創作部77点、臨書部36点、写経部25点でした。その他の部門は残念ながら該当がありませんでした。出品の最高齢は大正10年生まれの95歳、最年少は平成14年生まれの13歳でしたが、公開審査に上ったのは、87歳から16歳までの幅広い年齢の方々の作品でした。
 東日本大震災から5年の今年は、被災地の岩手県から1名、宮城県7名、福島県12名、合計20名25点の出品、その内3名が上位賞を受賞しました。復興半ばの彼の地から出品された方々に、心から敬意を表します。併せて、熊本県からのご出品の皆様にも心からお見舞い申し上げます。
 今年も各部門に力作が揃いましたが、特に林白鷺さんの仮名巻子が審査員各氏から高評を得て大賞に輝き当館収蔵となりました。創作部は、大字仮名の水準の高さが目立ち、漢字は高校二年生の若々しい作品が公開審査に上りました。臨書部は、上位賞の我がものとした臨書の姿勢に感服いたしました。写経部は、今年も審査員を唸らせる格調高いものでした。田中塊堂、小山天舟の遺志を多くの方が継いで、今や館展の伝統となりました。
 一般公募の部は、出品者の熱意が伝わり好感がもてました。公開審査に上る作品は今回はありませんでしたが、これから伸びていくものを感じさせる作品が数多くみられました。
 出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も質において最高のものとしていくために一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
皆様のご声援をひとえにお願いしてやみません。

公益財団法人日本書道美術館館長 大城章二(彫刻家)

第四十三回「館展」審査員(敬称略)

第四十三回「館展」審査員(敬称略)

日本書道美術館大賞

林 白鷺(東京) 創作

海部俊樹名誉館長賞

海部俊樹名誉館長賞

文部科学大臣賞

文部科学大臣賞

その他の上位入賞者 創作 臨書 写経
奥野誠亮日本教育書道連盟会長賞 長嶋青硯
(神奈川)
山本濤峰
(大阪)
井上素水
(千葉)
鈴木華泉
(愛知)
皆上華僊
(埼玉)
大城章二日本書道美術館館長賞 尾関溪山
(愛知)
谷垣紫舟
(京都)
伊勢地愛仙
(和歌山)
大石彩光
(宮崎)
中塚秀石
(大阪)
東京都知事賞 工藤純仙
(東京)
日本教育新聞社賞 篠崎廣葉
(茨城)
小林生良
(奈良)
有馬向風
(埼玉)
山口瑞櫻
(神奈川)
有馬向風
(埼玉)
特別賞 古川悠眞
(新潟)
堀井清苑
(兵庫)
安倍峰雪
(栃木)
宇津木節子
(埼玉)
木村章月
(埼玉)
井森清泉
(奈良)
陶守成湖
(岡山)
齋藤祥仙
(千葉)
徳野秀翠
(大阪)
竹内香雪
(東京)

現代書壇名流小品展
会期:平成28年7月6日~8月21日

現代書壇を代表する名流の色紙など、小品50数点を展観します。
主な出品者は髙木聖鶴、日比野光鳳、榎倉香邨、松下芝堂、黒野清宇 ほか。

現代書壇名流小品展


日本書道美術館展

  当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各課程2年間の集大成として、創作・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作102点を紹介します。

代表作品

代表作品

大   学
伊藤楓華 臼井桃波 江沢潤水 大須賀竹仙 小笠原修峰 小笠原明蘭 川上稜泉 川尻景泉
川松玲芳 川村祥苑 木村章月 久保畊楓 阪口華芳 佐々木真香 佐竹泉楊 柴田真風
嶋口みゆき 鈴木秋水 瀨下泉穗 高橋周子 滝瀬道子 竹村秋泉 多田和子 達   紫峰
谷口峰仙 谷田熾箋 玉置洸佳 鎮田有又 寺澤奏龍 冨樫麗蘭 中村瑞華 南雲紅澄
奈良伯月 野澤喜龍 濱   紅鶴 藤井恭子 船田玉明 増田   剛 丸田華芳 宮本虹鶴
村上梅翠 矢島潮香 山本光珠 和氣加奈子
大学院
相原紫曄 飯島   香 飯星應波 五十嵐啓心 石橋春雪 一家玉仙 猪野 裕子 大友蒼月
金重緑穗 川田真紀 北川原葉子 木野都也 小林博子 白神虹晴 寺澤鈴翠 中井孝扇
名知百合親 西田谿黎 根本柊星 野崎佳子 濱野恵苑 松田栄美子 宮崎ヤス子 𠮷田豊茜
李   順玉 渡邊京子
専攻科
浅野克城 江藤瑞光 木村利至 後藤眞澄 駒井錦香 齋藤隆華 進藤亮一 鈴木洋翠
関根茂子 竹内華章 長沼煌舟 中村眞月 野口玉翠 野口琥冷 廣瀬華楓 三浦香代
山下香鶴 (50音順)

日本書道美術館展

古来、書は教養として重んじられてきました。その作品からは、筆者それぞれの教養や感性、人柄を感じとることが出来ます。

本展では、近現代の学者、作家、画家などが書きあげた詩歌など個性豊かな書作品約65点を展観し、「書は人なり」をその筆跡から味わいます。

出品者 学 者 宇野精一 金田一春彦 杉山三郊 阪正臣 堀江知彦
湯川秀樹
歌 人 会津八一 大石順教 大口周魚 香川進 窪田空穂
斎藤茂吉 佐藤佐太郎 清水比庵 釈迢空 与謝野晶子
俳 人 飯田蛇笏 荻原井泉水 金子兜太 河東碧梧桐 鷹羽狩行
高濱虚子 長谷川かな女 水原秋桜子 村上鬼城 山口誓子
詩 人 北原白秋 佐藤春夫 白石かずこ 野口雨情
作 家 大城立裕 岡本かの子 尾崎紅葉 川端康成 幸田露伴
今東光 里見弴 瀬戸内寂聴 坪内逍遥 永井荷風
樋口一葉 吉川英治
画 家 大山忠作 奥谷博 奥村土牛 小倉遊亀 中川一政
中村不折
彫刻家 北村西望
工芸家 飯塚小玕斎 今泉今右衛門 太田儔 音丸耕堂 蓮田修吾郎
藤本能道 三輪休和
その他 入江相政(昭和天皇侍従長) 宇野信夫(演出家) 下田歌子(教育家)
清元志壽太夫(清元節太夫) (敬称略)

出品作品

出品作品


日本書道美術館展

  先の終戦から70年を経た今日、戦後生まれの世代が、多様な文化が混在し、目まぐるしく変化する現代社会の中で、その表現を模索しています。
本展では、会派門流をこえて、精鋭50人を推挙。それぞれが情熱をもって取り組んだ渾身の作品を一堂に会します。併せて推薦委員18人の作品を特別展観します。

出品作家
青山浩之 朝平霞山 新井茜舟 石川翠流 井上可雪 今田昌宏 岩切丹誠 岩永栖邨
内門律華 内山寒山 浦  恵子 笠井和子 川合広太郎 久徳蓬香 見城正訓 小出聖州
小久保雅子 小林章郎 小山尚子 齊藤紫香 斎藤真澄 澤江抱石 清水春蘭 角谷仙峰
谷口和光 玉手いづみ 角田大壤 手塚生都子 徳岡敬子 鳥井美知子 中野宣子 西山恵子
林  浩一 原  奈緒美 廣瀨舟雲 福原隆子 藤澤順子 牧野聖雲 増田霞川 松尾光晴
松村博峰 宮城佳寿子 村松太子 山下寿香 山中翠谷 山本雅月 由井孝枝 吉澤石琥
吉澤鐵之 和田澄子   (敬称略・50音順)      
特別展観
【推薦委員】
髙木聖鶴 榎倉香邨 津金孝邦 黒野清宇 池田桂鳳 岡田契雪 清水透石 新井光風
師田久子 関  吾心 泉原壽巖 星  弘道 仲川恭司 加藤東陽 大石三世子 平形精逸
長野竹軒 高木厚人   (敬称略・生年順)      

出品作品

出品作品


日本書道美術館展

平安時代後期に編纂された「二十卷本類聚歌合」の草稿が新たに発見され、当館所蔵となりました。承暦2(1078)年に白河天皇が開いた歌合の記録で、重要文化財級の価値ある巻子です。他にあらためて寄贈された田中親美『平家納経』 摹写本「涌出品」ほか四巻など、新収蔵品を公開します。また「書に味わう歳時記」では、季節を秋・冬にしぼり、伝統的な詩歌を、現代の書家がそれぞれの解釈で表現した書作品を展観します。

新収蔵品

『古筆・内裏歌合』『平家納経』 摹写本  田中親美「願文」「人記品」「涌出品」「安楽行品」「阿弥陀経」淺井素堂「住江の」  浅見喜舟「丹心照萬古」  新井光風「和神」  安東聖空「ほのぼのと」 浮乗水郷「大空を」  岡本白濤「晴窓花気薫」  黒野清宇「桜咲く」  小山天舟「五月雨や」 座馬井邨「空をゆく」  松花堂昭乗「百人一首切」  田中塊堂「方丈に」  谷辺橘南「暁ちかく」 中平南海「壁」  藤岡保子「白露に」  他

歳時記 出品者

浅見錦龍  奥田家山  木村知石  小山素洞  髙木聖鶴  戸田提山  梅 舒適
日比野五鳳  平田華邑  山下荻舟  他

出品作品

出品作品


日本書道美術館展

ごあいさつ

 第42回展を迎えました。今年も各部門に力作が揃いましたが、その中でひときわ光を放ったのは、大石彩光さんの般若心経でした。審査員各氏から高い評価を得、大賞(当館に永久保存となる)に輝きました。
臨書部は、漢字仮名ともに練度の高いものが多く、我がものとした臨書の姿勢に好感が持てました。写経部は、館展に相応しく格調の高さを競っています。創作部漢字の書体が多彩になってきたことは、出品者の表現の幅が広がってきたことを示すものとして嬉しい傾向です。創作部仮名は、小字作品に水準の高いものが多く、表現も多様で伝統の厚みを感じました。今後、大字仮名にも期待します。
書は、文字を用いて表現する芸術ですので文字を正しく書くことは当然のことですが、遺憾ながら筆路不明瞭なものが散見されました。また、漢字仮名ともに表現が類型化傾向にあって、訴えるものが弱く、もっと貪欲になってほしいと思いました。
東日本大震災から4年の今年は、被災地から18人24点の出品があり、福島県2名、宮城県1名が上位賞を受賞。被災の傷痕残る彼の地から出品された方々に、敬意を表します。また、今年も応募年齢の幅が広く、100歳から14歳、同じ土俵の上で評価されました。館展が多くの年齢層からご支持いただき、信頼をいただいていることの証しかと、大変嬉しく思います。皆さまのご支持を糧に、厳正公平な姿勢を貫き、出品者にとって納得できる館展を、今後も最高のものとするべく、先人に感謝し、一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
館展は、多くの部門を設けている書道展です。また、流派、会派を問わず出品いただけます。本展に出品の無い方にも、今年の館展を是非ご見学いただければと、心からご来館をお待ち申し上げております。

大城章二(日本書道美術館館長・彫刻家)

審査所感

審査長

角井 博

角井 博(筑波大学名誉教授 中国書道史学者)
 今回の公開審査で拝見した作品は、平均的によいものだったという印象です。臨書部、写経部は精度の高いものが多く、中字写経に見るべき立派な作品がありました。如何なる気持ちでその文章を書いたのかを考えて臨書することで古典への理解が進み、作品の味わいが深くなるのではないでしょうか。会派、門流に囚われない館展だけに、創作部では色々な書風が見受けられ、構成がまとまっており手堅さを感じましたが、独自性の有無が大切な要素です。古典を基礎に新風を取り込む、イメージを膨らませることを考えてみてください。
制作をとおし人間性を高める。その逆も然りですが、来年も期待しております。
審査員(敬称略・順不同)

遠山 敦子

遠山 敦子(元文部科学大臣・元文化庁長官)
 何を選んで書いたかでその人の知力、気力があらわれます。作品に至るまでの努力の過程が、作品に結晶として表現されているわけです。鑑賞者に、何を伝えようとしているか、作者の声に耳を傾けました。

奥田 小由女

奥田 小由女(文化功労者 人形作家)
 総体的にレベルが高く、白い紙の上に墨で書かれた文字の美しさに惹かれ、それを私の見方といたしました。書は、繰り返し手習いし、学んではじめて個性輝く作品が生まれてきます。是非、励んでください。

新井 光風

新井 光風(恩賜賞・日本芸術院賞受賞 書家)
 臨書部は、古典からしっかり学ぼうとする姿勢が感じられました。創作部は、色々工夫されていることが一見して分かりました。一生懸命に取り組む姿勢が感じられましたので、更なる熱気を期待します。

福井 爽人

福井 爽人(東京藝術大学名誉教授 日本画家)
 日本画を専門としていますが、美しさに対する感覚はどの分野でも同じですので、抵抗なく審査することができました。同じ筆と墨を使う仕事ですので、親近感が増し、書に対する興味が高まってきました。

清水 透石

清水 透石(大東文化大学元教授 書家)
 仮名臨書部に、実によく臨書しているものがありました。仮名作品は、文字と紙と表装が一体となってはじめて魅力が生まれます。今回、作品のレベルが平均的に高かったと感じました。更に期待しております。

市澤 静山

市澤 静山(信州大学名誉教授 書家)
 臨書は、精密な表現に、古典を追求する根気に心打たれました。創作は、筆の先に自分の気持ちをぐっと押し込めて、観る人に訴えかける、心を込めた線を意識することが必要です。強い個性を期待します。

宇野 茂彦

宇野 茂彦(中央大学名誉教授 中国哲学者)
 私は、評価というものが苦手で、点を付けるのは心苦しかったのですが、拙宅の床の間に掛けたくなるか否かで採点をいたしました。採点をすることはこちらが評価されること。まさにその通りと思いました。

長野 竹軒

長野 竹軒(東京学芸大学名誉教授 書家)
 臨書部、写経部ともに、厳しく書に向き合っている姿勢に感動を覚えました。創作部では、自分の作品を創ろうとする気概が伝わってきましたが、美術、芸術を鑑賞し、空間の美を学ぶことも大事だと思います。

原 奈緒美

原 奈緒美(大東文化大学講師 書家)
 力作揃いで、真摯に向かっている印象を受けました。創作仮名に印象深い一点がありました。漢字に、本文と落款の落差が気になるものが見受けられました。観覧側で審査を見ていたかったというのが本音です。

日本書道美術館大賞

海部俊樹名誉館長賞

文部科学大臣賞

その他の上位入賞者 奥野誠亮日本教育書道連盟会長賞 柴野豊苑 巽  慶耀 伊勢地愛仙 三浦香代 波塚祥華
大城章二日本書道美術館館長賞 日野葱花 小柳緑泉 三浦香代 坂口春翠 山中愛子
東京都知事賞 堀井清苑
日本教育新聞社賞 角谷仙峰 長嶋青硯 小原白峯 山﨑恵水 永堀菁蘭
特別賞 小山美泉 菅谷寿泉 二若桐舟 竹内香雪 島田翠松
谷垣紫舟 須原理恵 岡本輝行 中塚秀石 李  順玉

現代書壇名流小品展
会期:平成27年7月5日~8月22日

現代書壇を代表する名流の色紙など、小品50数点を展観します。主な出品者は、高木聖鶴、日比野光鳳、榎倉香邨、松下芝堂、黒野清宇 ほか。


日本書道美術館展

 

 当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各課程2年間の集大成として、創作・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の浄書作品に基づき、品格と高い精神性を学びました。 本展は、本年3月に卒業・修了された方々の卒業・修了制作作品を展観します。

代表作品

専攻科
赤柄素水 浅見芳月 内海順行 小原露水 黒澤幸雲 小池美智 小林華苑 近藤有美
齋藤祥仙 佐野穂甫 田上扇園 竹内誠通 富谷弘子 根本恵翆 古川悠眞 星野春葉
増尾華香 松浦翠茱 松本貞華 丸山松枝 萬藤春水 森   松苑 山下祐子 鎧沢幸仙
若松永晄 和田澄春          
大学院
石川枝美子 石塚順子 磯山松風 宇佐見紫雲 内山千廣 宇根紅芳 小串湊竹 神崎白華
金 菁春 小出厚隆 小林喜峰 齋藤欣江 斉藤早琰 齊藤杪泉 繁田路山 進藤赫山
杉山静悦 鈴木洲里 平   永僊 千葉絹泉 寺﨑萬里 永井松風 中村隆幸 根本煌華
半田尚子 冨川惠美子 星野聖流 前田二郎 山本和堂 米山教子  
大学
相澤龍苑 青木雄峯 安倍峰雪 有賀玉晶 粟野憲造 石橋佳初 井原杏月 内田紀花
大黒仁美 小川典子 小澤瑩圃 片根弘園 川上佐知子 川上千鶴 川﨑華萌 川端雅子
菊池節子 北村紅楓 木下智恵美 公文蘭月 合志明翠 小島桂華 佐原泡酔 柴田つね子
清水弘子 宿野瑞泉 城山示宜子 進藤栄峰 鈴木由紀子 高山孝枝 瀧澤敏子 徳野秀翠
中澤翠泉 堀井晴湖 堀内玄鷺 前田孝子 松永華苑 南   文子 森川畦水 森屋千佳
柳原保邦 湯浅幸苑 横尾香竹 吉川彩雅 渡邊花春 (50音順)    

日本書道美術館展

 

 近年、展覧会場に出品展示される書は大作が多い。その大きな紙面の迫力や華やかさにおいて、圧倒的な魅力を持っています。
その一方、色紙・短冊、また扇面、かるたなど小作品は日々賞(め)でいつくしむ楽しみを与えてくれます。形は小さくともその核心をつかんでいるものは、大きなスケールを生みます。
作品の本質は、文字の大小、紙面の大小に関わりません。完成度が高ければ、観る者の心に訴えかけてくるのです。
今回の展覧会では大作と小品、それぞれの表現の違い、そしてその可能性をさぐることに光をあててみました。

出品作家

石橋犀水 伊東参州 犬養木堂 今井凌雪
内田鶴雲 岡村素石 岡本白濤 尾上柴舟
金子鷗亭 川端康成 小木太法 小暮青風
小坂奇石 篠田桃紅 鈴木翠軒 田中塊堂
手島右卿 西川 寧 藤岡保子
豊道春海 (50音順) ほか

出品作品


日本書道美術館展

 

 当館は1973年の開館以来、散逸しがちな近現代の書作品の蒐集に力を入れてきました。5千点余の収蔵品から、
明治から昭和にかけての仮名書の流れを再認識すべく、その代表的な作家の佳品を展観します。
時には暖かく柔らかな線で、時には鋭く紙面を切り裂くような強い線で、変幻自在で繊細な仮名の世界を、 本展を通じて、身近なものに感じて頂ければと存じます。

出品作家
安東聖空 大石隆子 大口周魚 小野鵞堂 尾上柴舟 熊谷恒子 桑田笹舟 高塚竹堂
田中塊堂 阪 正臣 比田井小琴 日比野五鳳 藤岡保子 深山龍洞 宮本竹逕 与謝野晶子
吉澤義則 (50音順)          

出品作品

出品作品


日本書道美術館展

ごあいさつ

 第41回展を迎えました。
応募作品は、練度の高いものが多く、ことに写経部のレベルが群を抜いて格調高く、また、臨書部も確かな力をもち、拝見していて大変嬉しく感じました。
今回、創作部において、20歳の若人が名誉館長賞の栄に輝きましたことは、特筆に値することと思います。
また、東日本大震災被災地の福島県から3名、宮城県から1名の方々が上位賞を受賞しました。まだまだ被災の爪痕の残る彼の地から出品された方々に敬意を表します。
今年も作品応募年齢の幅が広く、94歳から14歳でした。これも館展が多くの年齢層からご支持いただき、また、信頼をいただいていることの証しかと、大変嬉しく思います。
皆さまからお寄せいただいたご支持を糧に、館展を今後もその質において最高のものとすべく、先人に感謝し、一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
館展は流派、会派を問わず、広く応募いただける書道展です。本展に出品の無い方にも、今年の館展を是非ご見学いただければと心からご来館をお待ち申し上げております。

大城章二(日本書道美術館館長)   

審査所感

審査長

角井博

角井 博(筑波大学名誉教授 中国書道史学者)
 臨書部は、漢字も仮名も佳品揃いで、写経部を含め、特に楷書が秀逸でした。
公開審査の創作部98点は、圧倒的に行草体が多くて51点、仮名が40点という割合でした。行書も仮名も流れを主調とするので、自由な表現がし易いのでしょうが、楷書の臨書を創作に生かし、色々な表現にチャレンジしてください。
館展は、書体に制限を設けないフリーの場なので、調和体や篆・隷・楷書作品がもっと出てくると、バラエティに富んで面白くなると思います。
審査員(敬称略・順不同)

津金 孝邦

津金 孝邦(恩賜賞・日本芸術院賞受賞 書家)
 臨書部と写経部は、申し上げることが何もない程立派でした。この館展の特長、一番いいところだと思います。創作部は、楽しく拝見しました。これからも発展的に書に向かう姿勢を持ち続けてください。

鷹羽 狩行

鷹羽 狩行(俳人協会会長 俳人)
 句会での選句と同様、瞬間に良し悪しが決まってしまいます。創作部では、ひらがなの作品がよかったという印象です。同じ作品でも色々な観方があり、客観的に観るという点で大変勉強になりました。

佐々木 苑子

佐々木 苑子(重要無形文化財保持者 染織家)
 伝統ある書道の歴史が脈々と息づいていることに深い感慨を覚えました。私は織物の仕事をしておりますので、おこがましいことではありましたが、書の魅力に取り付かれて採点をさせていただきました。皆様の熱意に圧倒されました。

田中 節山

田中 節山(大東文化大学名誉教授 書家)
 全体構成、墨の扱い、線は練られているか等を短時間のうちに直感で拝見しました。審査員それぞれ観る目が違いますから、審査風景をご覧になった皆さんも面白かったのではないでしょうか。

三枝昻之

星 弘道(日本芸術院賞受賞 書家)
 写経部は格調高く、筆者の姿が浮かんでくるようでした。臨書部も力量の平均値の高さを感じました。創作部は自己主張が少々足りなく、熱気が伝わってくるような作品がもっと欲しいと思いました。

古谷 稔

古谷 稔
東京国立博物館名誉館員
日本書道史学者
 写経と臨書は高いレベルでした。創作は古典を踏まえているか、自己流になっていないかなどと共に訴えてくるものを拝見しました。詩歌をもっと味わい、観る者に伝えることを意識してください。

赤堀 郁彦

赤堀 郁彦(日展評議員 漆芸家)
 私は、漆芸家ですが、書の作品を一点一点観ていきますと、筆の勢いとか、全体のかたちとか…そこには私の仕事との共通点がありました。根底にあるものはいずれも同じであると感じました。

高木 厚人

高木 厚人(大東文化大学教授 書家)
 臨書部の楷書と写経部にすばらしいものが多く、あらためて感動いたしました。古筆臨書の墨量の多さが残念でした。少ない墨で立体感を出すことを心掛けるといいと思います。

野田哲也

大石 三世子(栴檀社理事長 書家)
 皆様の真摯な取り組みに感銘を受けました。学びは、デッサンしたり練習したりするところから始まります。大変な勉強ですが、それが基本になって作品づくりにつながっていくものだと思います。

海部俊樹名誉館長賞

その他の上位入賞者 文部科学大臣賞 横内令華 井上素水 秋山紅舟 有馬向風 三浦香代
奥野誠亮日本教育書道連盟会長賞 菊地睦仙 難漢字 伊勢地愛仙 大石彩光 竹内香雪
大城章二日本書道美術館館長賞 柴野豊苑 長嶋青硯 井上素水 浅田芳園 米岡志朗
東京都知事賞 巽 慶耀
日本教育新聞社賞 角谷仙峰 須原理恵 池田杏泉 吉田智園 小原白峯
役員特別賞 尾関溪山 難漢字 山内松風 難漢字 中村緑苑
前野竹青 平賀紫華 山口瑞櫻
特別賞 山﨑恵水 松井秀廣 皆上華僊

現代書壇名流小品展
会期:平成26年7月3日~8月20日
現代書壇を代表する名流の色紙など、小品40数点を展観します。
主な出品者は、西川寧、日比野五鳳、尾上柴舟、田中塊堂、宮本竹逕、桑田三舟 ほか。
書道大学優秀作品展
ー平成25年度専攻科・大学院修了 大学卒業制作よりー
会期:平成26年9月6日(土)~9月28日(日) 土・日曜日のみ展示

 当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各課程2年間の集大成として、創作・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の浄書作品に基づき、品格と高い精神性を学びました。 本展は、本年3月に卒業・修了された方々の卒業・修了制作より優秀作品を選出し、展観します。

特選 専攻科第20期 木村利至子(埼玉) 中井翠楊(神奈川)
大学院第30期 稲田遊雲(千葉) 山下香鶴(東京)
大学第50期 白神虹晴(神奈川)  

日本書道美術館展

 

 日本書道美術館は、本年11月4日に開館40周年を迎えました。これを記念し「現代の書」展を開催します。
現代書壇の第一線で活躍中の書家(日本芸術院賞受賞、大学書道科教授、日展審査員等)の近作・新作を一堂に展観。現代書道の理想的なあり方を追求してきた作家の作品をとおして「書道芸術のいま」を広く一般に供します。
併せて「日本書道美術館展」の審査に携わった書家の作品を展示し、40年に亘る書道芸術の動向を一望します。

出品作家
青山浩之 新井光風 石飛博光 稲田静子 岡田契雪 加藤東陽 黒野清宇 小島 寿
小山天舟 座馬井邨 師田久子 清水透石 高木厚人 津金孝邦 仲川恭司 長野竹軒
楢崎華祥 原奈緒美 廣瀨舟雲 吉澤翠亭 (50音順)    

出品作品

出品作品


日本書道美術館展

 日本書道美術館は、11月4日に開館40周年を迎えます。当館は設立当初より、公募展では他に例を見ない、厳正公平な「公開審査」による理想の書展「日本書道美術館展」を開催し、全国、海外から出品の7万余点の作品を発表、高い評価を得てまいりました。
本展では、その第1回展から現在までの、大賞受賞作品をはじめとした優品を一同に展観し、40年にわたり正しい書道のあり方を目指してきた「館展」の歴史を振り返ります。

出品作家
阿部朱昂 飯森金鷺 板倉境外 井上素水 井上康子 内田豊泉 梅田翔風 大石彩光
大鹿景琴 大島竹華 大原天蕭 岡田華園 岡田貴州 小川高汶 沖本美舟 音川浄琴
折原水光 姜 錦山 工藤純仙 後藤松翠 小林梅雪 坂部芳苑 佐藤歸山 篠崎廣葉
柴野豊苑 白石琳光 杉岡華山 鈴木正根 鈴木青陽 武山翠屋
橘 圭子 巽 慶耀 谷垣紫舟 坪田宋悦 露木順子 寺井祥山 中井雪華 長嶋青硯
永田峰亭 中室水穂 橋本月川 橋本翠川 服部青軒 林 白鷺 平島桂仙
平野清甫 福力翠芳 二若桐舟 堀井清苑 堀江素琴 前野竹青 牧 笛甫 松阪聖岳
丸谷 秀 丸山鑾溪 三浦香代 武藤天明 村田華穂 村田麗水 村髙翠波 山川蓬邑
山口瑞櫻 山本雅堂 (50音順)        

出品作品

出品作品

※「第40回記念 日本書道美術館展」紹介ページに掲載の篠崎廣葉、長嶋青硯の作品も展示。


日本書道美術館展

審査所感

審査長

角井博

角井 博(筑波大学名誉教授 中国書道史学者)
 臨書部・写経部は内容が充実し、真摯に取り組んでいる姿勢を感じました。
創作では、行書或は草書体の作品が圧倒的多数でしたが、隷書、楷書などの書体にも挑んでみてください。「一生稽古」、生涯をかけて豊かな心を育み感性を磨き自らを高めることを心掛けてください。作品の味わいの違いは、つまり人間性の違いによるのですから。
派閥を超えて応募できる館展なればこそ、様々な作風があって見応えがありました。
審査員(50音順)

新井光風

新井 光風(恩賜賞・日本芸術院賞受賞 書家)
 骨、血、肉を欠いては本当の書にはなりません。生命そのものを作品に込めていくには如何に学び如何に考えていったらいいか。古典を獲得したうえで、自らの表現をもっともっと追求してください。

石飛博光

石飛 博光(日展評議員 書家)
 普段の確かな学習が感じられ、真面目な佳作が多く感心しました。漢字かな交じりなどの新たな分野や、また、“おっ”と驚くような思い切った冒険をした作品にも是非挑戦してみてください。

岡田契雪

岡田 契雪(日展評議員 書家)
 高い精神性を感じました。古典を深く捉えられていると作品に奥行きが出てきます。公開審査の場で、出品者と共に作品を拝見する我々審査員が、その心境にどう対応すべきか考えさせられました。

金田一秀穂

金田一 秀穂(杏林大学教授 日本語学者)
 書に関して素人ということもあって、他の審査員の方々の点数が自分とどの位一致するかにも興味がありました…五点程評点に違いが出ましたが、私が真剣且つ全力を傾けて採点した結果です。

三枝昻之

三枝 昻之(宮中歌会始詠進歌選者 歌人)
 何を基準に審査するか手探り状態でしたので、自分なりに考えて、空間の捉え方、配置、バランスの良し悪しと、その作品を家に飾っておきたいか、という私の心の振幅で判断しました。

坂本健

坂本 健(板橋区長)
 作品から筆者の心と姿が感じられました。日本書道美術館が果たしてきた教育普及活動は、日本の大きな財産と申せます。館の地元板橋区も文化・芸術の充実と発展のために努力をして参る所存です。

師田久子

師田 久子(日展審査員 書家)
 すでに厳選された作品だけに、品格ある作品が多く、特に細字仮名の水準の高さに感心しました。写経も線のメリハリが利いてきりっとして好印象でした。心が穏やかになる作品が多く見られました。

清水透石

清水 透石(元大東文化大学教授 書家)
 仮名作品、扇面や巻子の小字作品に見るべきものがありました。しっかり書き込みをし、料紙との調和もとれ、推敲を重ねて仕上げた様子が見て取れました。総じて水準が高かったように感じました。

野田哲也

野田 哲也(東京芸術大学名誉教授 版画家)
 目の前を進んでいく中での審査は本当に難しいものです。作者の表現しようとしているところの意味を、私自身の研ぎ澄ました感覚、感性でもってみるということがとても大切です。

小山天舟

小山 天舟(日本書道美術館館長 書家)
 記念すべき四十回展を迎えました。
練度の高い作品が多く、ことに写経部のレベルが群を抜いており非常に喜ばしいことでした。
今回の館展に平成世代が十三人出品しており、年々少しずつではありますが増加傾向にあり、頼もしく嬉しく感じます。出品の最高齢は97歳、最も若い方は14歳でした。審査においては勿論年齢による配慮はしておりません。老若にかかわらず公平な審査をさせていただいています。
若い方々が書道などの日本の伝統文化に接する機会を増やし、興味を持って貰う方策を先生方皆様と共に知恵を絞っていきたいと思います。日本の書道美術を益々充実・発展させていくために、後進の育成を併せてお願いしたいと存じます。

入賞者一覧はこちら

入賞作品

現代書壇名流小品展
会期:平成25年7月3日~8月18日
 現代書壇を代表する名流の色紙など、
小品40数点を展観します。
主な出品者は、金子鷗亭、日比野五鳳、尾上柴舟、田中塊堂、宮本竹逕、桑田三舟 ほか。
書道大学優秀作品展
ー平成24年度専攻科・大学院修了 大学卒業制作よりー
会期:平成25年9月1日(日)~9月29日(日) 土・日曜日のみ展示

 当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各課程2年間の集大成として、創作・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の浄書作品に基づき、品格と高い精神性を学びました。
本展は、本年3月に卒業・修了された方々の卒業・修了制作より優秀作品を選出し、展観します。


春季特別展 花を謳う

 四季の変化が豊かな日本において、花々は私たちに季節の移り変わりを実感させるとともに、その姿と香りは、過ぎこし方のできごとやおもいをあざやかによみがえらせてくれるものです。
その感情は、文学や美術などの創作意欲をかきたて、古来より、多くのうたや詩に詠まれてきました。
本展では、そうした詩歌を書壇名家が詩情豊かに書き上げた作品約100点を展観いたします。
四季折々の花が咲く姿、花のある風景、花にこめたおもいなど、その文学世界を、文字芸術として表現。書家が、その詩歌といかに対峙し、書道芸術として表現しているか。配字や連綿、墨色の濃淡、潤渇などその表現方法を、歌と詩とともにご鑑賞ください。

出品作家
明石春浦 淺井素堂 浅香鐵心 浅見錦龍
天石東村 池内艸舟 池田桂鳳 石井梅僊
泉原壽巖 伊東参州 今関脩竹 植村和堂
魚田松園 内田鶴雲 大井錦亭 大石隆子
大沢史峰 大平山濤 岡本白濤 奥田家山
小澤神魚  尾上柴舟 加藤僖一 加藤大碩
金子鷗亭 金子聴松 萱沼利子 國井誠海
熊谷恒子 黒田賢一 黒野清宇 桑田笹舟
桑田三舟 桑原江南 小暮青風 小坂奇石
後藤秀園 小山天舟 貞政少登 座馬井邨
清水透石 鈴木桐華 高木厚人 高橋蒼峰
田中塊堂 種谷扇舟 辻本史邑 土橋靖子
津村枕石 殿村藍田 中川雨亭 中野北溟
中林梧竹 中平南谿 中室水穂 西川 寧
野口白汀 東山一郎 日比野光鳳 日比野五鳳
平田華邑 藤岡都逕 藤岡保子 藤木正次
古久保泰石 豊道春海 町 春草 丸山鑾溪
宮重小蘭 深山龍洞 宮本竹逕 村上俄山
森田竹華 柳田泰雲 山口南艸 山下荻舟
山本万里 与謝野晶子 吉田成堂 (50音順)
  • 内田鶴雲
  • 伊東参州,西川 寧
森田竹華 小坂奇石 宮本竹逕
入 館 料 一般1,000円 高・大生700円 小中生500円
(10名以上団体割引あり)
※未就学児は入館できません。
協      賛 日本教育書道連盟
※招待券プレゼント
先着100組200名様に招待券を差し上げます。
申込方法:返信用封筒(80円切手を貼り、宛名を明記してください)を同封の上、下記へお申し込みください。
申 込 先:日本書道美術館 招待券プレゼントHP係 〒174-8688東京都板橋区常盤台1-3-1
※定員を超えた場合は割引優待券となります。