書と絵画のコラボレーション展です。書も絵画も、一定サイズの白い平面に、作者がその個性をぶつけたもの。心に響く作品と出会えたら、幸いです。
書は文字を素材にしていますが、漢字は、古代中国で生まれた甲骨文から様々な書体が発展して文字という記号としてばかりでなく、書道という表現芸術が生まれ、展開したことで、篆、隷、楷、行、草といった各書体の視覚的、また、表現的な違いと魅力が自ずから生じてきました。また、日本独自の文字「かな」による表現は、書き振りによる違いが明らかで、ことに、それぞれの間の取り方、呼吸に魅力が見出せます。いずれも「線」による表現ながら、一本の線が放つ多様性を楽しんで頂きたいと思います。
絵画は、静物、人物、風景などの具象から抽象までさまざまな対象を色彩や線で自在に表現しています。作者の個性の多様性は、書より格段に勝ります。色彩で彩られる元となるデッサンにおける線は重要で、その線を引いていく深く長い思索の時を色彩が覆い隠しているともいえます。表に見える形の向こう側を覗いてみてください。
書も絵画も紀元前に発生し、今日なお、世界中に多くの愛好者がいます。無用の用は、実は私たちにとりとても重要な存在であるのです。であるからこそ、途絶えることなく学び、受け継がれ、人類が存在する限り大切にされていくものなのでしょう。
2025年1月19日
館長 大 城 章 二
主な展示作家 |
|
---|
このたび、「色紙をかざる‐暮らしに書を」と題し、秋の特別展を開催いたします。
タイトルのとおり、 “ほんもの”の書作品を、皆様のふだんの暮らしの場にかざっていただく機会をご提供いたします。
当館は、常々“ほんもの”に接することを、書を志す方々にお勧めして参りました。近年、優れた印刷技術によって、本物さながらの複製が製作され、その恩恵に浴しておりますが、作家が直接制作した作品にとうてい及ぶものではありません。
このたび、この趣旨に、会派門流を超えて、多くの先生方がご賛同くださいました。そして、本展に相応しい思い思いの語句、詩歌を「色紙」にしたためてご出品くださいました。いずれも生命が込められた素晴らしい作品です。
この、貴重な作品を、ご希望の方におゆずりいたすことになりました。お住まいに気軽に飾りやすいサイズ、「色紙」です。お宅の、最も目に付くところに飾ってください。いつしか日常に溶け込んで、意識しなくなるでしょう。それでいいのです。あるとき、ふと目に入る、ふと眺め直す。家を離れたお子さんが、そういえば我が家に“書”の額が飾ってあったなあ…と追想してくれる、それでいいのです。ほんものがあるからこそ、いつしか心が育まれているのです。有名人のサイン用の紙ではない、本当の文化が伝わるのです。美術館で観るものになってしまっている書道作品を、私たちの傍に戻しましょう。
ご出品いただきました先生方に、あらためて心から厚く御礼申し上げます。
日本書道美術館創立五十周年記念特別展最終章を飾るに相応しい素晴らしい佳品の数々です。
令和六年十月四日
公益財団法人日本書道美術館
館長 大 城 章 二
出品者 |
|
---|
当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各課程2年間の集大成として、創作・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作68点を紹介します。
出品者 | 専攻科 30期 |
|
|||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大学院 40期 |
|
||||||||||||||||||||||||||||
大学 60期 |
|
日本書道美術館展は、技の錬度に重点が置かれがちな一般の公募展の在り方と一線を画し、個性豊かで気品ある作品、書に接することの少ない一般の人々にも容易に共感される作品を選出する意図で発足いたしました。その実現のため、審査員を書家のみとせず、他の美術や工芸、学問など、それぞれの分野の第一線で活躍されている方々に審査に加わっていただいてまいりました。また、協議の形を採らず、各審査員独自の判断を観客の目前で披露するという公開審査の形を第一回展より貫いてまいりました。さらに、審査員は、審査当日発表し、事前運動を防止しております。この方法は、書道展として他に例を見ない試みであっただけに、回を追って益々好評を博し、厚い信頼をお寄せいただいているところであります。
当館創立五十周年の記念すべき今年、館展は五十一回展を迎えました。とても喜ばしいことです。
今回の公開審査では遠路はるばる全国各地から会場に集まった人々の熱気が審査員に伝わり、緊張感に満ちた審査の後の総評では、館展をよくご存知の審査員各位から御心のこもったお言葉を賜わりました。書を志す人々の指針となる示唆に満ちた豊かなお言葉でした。
出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も、その質において最高のものを目指し、先人の努力に感謝しつつ、一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
回を重ね、さらに心に響く、錬度高い作品の出品を心から期待申し上げます。審査員諸先生、皆様方のご声援を偏にお願いしてやみません。
令和6年7月6日
公益財団法人日本書道美術館
館 長 大 城 章 二
日本書道美術館は昨年11月4日、創立満50年を迎えました。
新春特別展は、本館の特徴を広く多くの方々に知っていただくことを目的として、
「収蔵品にみる五十年の歩み-昭和の書・三大コレクション-柴舟・保子・塊堂」を開催いたします。
当館のコレクションの特徴は、仮名書道の豊富さにあります。その中から特筆すべき3人を取り上
げました。
平安朝仮名復古の功績により“昭和の行成”と称賛され、書家として初めて日本藝術院会員となった歌人・国文学者でもある尾上柴舟。柴舟の門からは仮名作家として活躍する多くの人々が輩出されました。
また、博覧強記ぶりを数多の臨書に残し、臨書の作品としての方向性を示してくれた藤岡保子は、
上皇后陛下の師としても知られ、古典の香り高い個性豊かな多くの作品を残しました。
そして、会場芸術として仮名表現を確立した“大字仮名七人の侍”のひとりとして、一世を風靡し
且つ写経研究の第一人者である田中塊堂。その格調高い写経は平安朝の薫り高く、他の追随を許しま
せん。
柴舟と塊堂は、当館設立の中心的役割を果たした小山天舟の師であり、また、保子には尊敬と敬愛
の念を寄せておりました。いずれも、古典研究から独自の書風を確立していった人々です。彼らの作
品は、気品に満ち、書格高く、現代の私たちに書道作品の魅力をあらためて示してくれます。
2024年1月13日
公益財団法人日本書道美術館
館長 大 城 章 二
日本書道美術館は、本年11月4日を以て開館して50年となります。記念行事の皮切りを飾る特別展として、
「奉祝・御即位五年 天皇陛下御製 皇后陛下御歌 展 ―御製御歌を書にしたためて―」を開催する運びとなりました。
今上陛下御即位5年、御成婚30年に祝意を表し、両陛下の御製御歌を各界の第一線で活躍する方々にご染筆いただき、その書作品をとおして両陛下の歌会始御発表の和歌をご紹介いたします。
今上陛下は、御成年から令和5年の御製全42首、皇后陛下は、御成婚から令和5年までの御歌全30首、あわせて72首を様々な分野でご活躍の72名の皆様方が歌意を汲んで、心を込めて謹書申し上げました。
近年、墨を磨り、毛筆で文字をしたためる機会が激減しており、毛筆は書家、そしてごく限られた職種で使われるものになってしまったようです。本展にて、書を専門としてはいない方々の毛筆書き作品にも触れていただき、その魅力を発見し、生活の中で毛筆書きにもっと親しんでいただけるきっかけとなりましたら幸いです。
また、本展開催に当たり、長年にわたり和歌御用掛をお勤めになられた岡野弘彦先生(数え百歳)に「皇室と和歌」をテーマに一文をお寄せいただくようお願い申し上げましたところ、いまや齢を重ねて言の葉を紡ぎ兼ねると、
「己が身のほろぶる日まで詠みつがむ しらべすがしき やまと言(こと)の葉」と詠嘆され、第八歌集『美(うつく)しく愛(かな)しき日本(にほん)』からお歌とエッセイの転載のお許しをいただきました。本展図録をご参照ください。
本展開催に当たり、宮内庁並びに作品をお寄せくださいました諸先生、そして岡野弘彦先生、関係各位にあらためて厚く御礼申し上げます。
2023年11月1日
館長 大城章二(彫刻家)
御製 | 青山浩之(書家・横浜国立大学教授) 赤堀郁彦(漆芸家・日展特別会員) 淺井愼平(写真家・大阪芸術大学大学院教授) 新井光風(書家・恩賜賞日本藝術院賞受賞) 池田桂鳳(書家・恩賜賞日本藝術院賞受賞) 井茂圭洞(書家・文化勲章受章) 石田一志(音楽評論家・芸術選奨文部科学大臣賞受賞) 牛窪梧十(書家・恩賜賞日本藝術院賞受賞) 大城章二(彫刻家・日本書道美術館館長) 桂 盛仁(彫金家・重要無形文化財保持者) 観世清和(文化功労者・観世流第二十六世宗家) 杭迫柏樹(書家・日本藝術院受賞) 黒田賢一(書家・文化功労者) 三枝成彰(作曲家・文化功労者) 佐藤禎一(東京国立博物館名誉館長・元文部事務次官) 清水透石(書家・元大東文化大学教授) 千 宗左(茶道表千家十五代家元) 千 宗室(茶道裏千家十六代家元) 髙木聖雨(書家・日本藝術院会員) 高木厚人(書家・大東文化大学教授) 樽本樹邨(書家・日本藝術院賞受賞) (書家・毎日書道会常任顧問) 寺島恒世(国文学者・国文学研究資料館名誉教授) 仲川恭司(書家・独立書人団会長) 中島千波(日本画家・東京藝術大学名誉教授) 長野竹軒(書家・元文部科学省教科調査官) 永守蒼穹(書家・日本藝術院賞受賞) 西村東軒(書家・日展会員) 能村研三(俳人・俳人協会理事長) 萩原朔美(映像作家・萩原朔太郎記念前橋文学館館長) 長谷川櫂(俳人・朝日俳壇選者) 林 望(作家・国文学者) 平形精逸(書家・静岡大学名誉教授) 平松礼二(日本画家・元了徳寺大学学長) (書家・武蔵野大学教授) 福井淳哉(書家・帝京大学准教授) 星 弘道(書家・日本藝術院会員) 三田村有純(漆芸家・日本藝術院賞受賞) 宮田亮平(金工家・文化功労者) 室伏広治(スポーツ庁長官・オリンピック金メダリスト) 吉岡正人(洋画家・埼玉大学名誉教授) 吉澤鐵之(書家・日展会員) |
---|---|
御歌 | 石井ふく子(プロデューサー・紫綬褒章受章) 稲田静子(書家・日展会友) 稲田朋美(衆議院議員・元防衛大臣) 内門律華(書家・独立書人団理事) 大石千世(書家・独立書人団参事) 大石三世子(書家・日展会友) 大島竹華(書家・日本書道美術館副館長) 大城久代(学芸員・日本書道美術館代表副館長) 奥田小由女(人形作家・文化勲章受章) 尾上白邨(書家・日展会友) 慶徳紀子(書家・毎日書道会参事) 小池百合子(東京都知事・元防衛大臣) 小林美香(天祖神社宮司・哲学博士) 近藤浩乎(書家・日展会員) 齊藤紫香(書家・日展会友) 酒井玉鳳(書家・日本書道美術館副館長) 山東昭子(前参議院議長) 師田久子(書家・日展特別会員) 志田房子(琉球舞踊家・重要無形文化財保持者) 竹本駒之助(義太夫節太夫・文化功労者・重要無形文化財保持者) 巽 慶耀(書家・日本書道美術館参与) 土橋靖子(書家・日本藝術院賞受賞) 遠山敦子(元文化庁長官・元文部科学大臣) 楢崎華祥(書家・元東宮御所御進講) 原奈緒美(書家・日展会友) 福田千惠(日本画家・日本藝術院会員) 堀井清苑(書家・日本書道美術館参議) 横山夕葉(書家・毎日書道展審査会員) 吉川美恵子(書家・奈良教育大学名誉教授) 和田澄子(書家・日展会友) |
日本書道美術館展は、技の錬度に重点が置かれがちな一般の書道公募展の在り方と一線を画し、個性豊かで気品ある作品、書に接することの少ない一般の人々にも共感される作品を選出する目的で発足いたしました。その実現のため、審査員を書家とともに、他の美術や工芸、学問など、それぞれの分野の第一線で活躍されている方々に審査に加わっていただいてまいりました。また、協議の形を採らず、各審査員独自の判断を観客の目前で披露するという公開審査の形を第一回展より貫いてまいりました。さらに、審査員は、審査当日発表し、事前運動を防止しております。この方法は、書道展として他に例を見ない試みであっただけに、回を追って益々好評を博し、厚い信頼をお寄せいただいているところであります。
今年は、その記念すべき五十回記念展です。コロナ感染の影響で無観客で行っていた審査が、公開審査として4年振りに開催できましたのは、まことに喜ばしいことでした。遠路はるばる全国各地から会場に集まった人々の熱気が審査員に伝わり、緊張感に満ちた審査の後の総評では、館展をよくご存知の審査員各位から御心のこもったお言葉を賜わりました。書を志す人々の指針となる示唆に満ちた豊かなものでした。
出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も、その質において最高のものを目指し、先人の努力に感謝しつつ、一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
回を重ね、さらに心に響く、錬度高い作品の出品を心から期待申し上げます。審査員諸先生、皆様方のご声援を偏にお願いしてやみません。
令和5年7月6日
公益財団法人日本書道美術館
館 長 大 城 章 二
令和5(2023)年4月30日、4年振りに本審査公開にて実施
当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各課程2年間の集大成として、創作・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作52点を紹介します。
出品者 | 専攻科 29期 |
|
||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大学院 39期 |
|
|||||||||||||||||||||
大学 59期 |
|
令和5年新春特別展は「平面表現の魅力‐ジャンルを超えて」と銘打ち、書と絵画を、一堂に展観いたします。
ともに平面芸術である書と絵画を同時に鑑賞する機会を得ることで、それぞれの作家の言葉を、一作一作から聞くとともに、あわせて、両者に通底することを見出したいと思います。
芸術の精神は、表現の欲求に駆られた人間の、自由な精神の表出です。そのエナジーは、遡ればまだ言葉もない、ずっと以前の時代に行きつきます。平面芸術はいわば根源的な表現といえましょう。
書は絵画と異なり、書き直しができない一回性の芸術であるといわれますが、書においても絵画においても、書いたもの、描いたものを破り、壊し、書き直す、描き直すという行為を繰り返し繰り返し、積み重ねてきた結果が唯一無二の作品となって、我々に語りかけてくる存在となるのです。それは、美術も音楽も文学も舞踊も演劇もジャンルを問わず、あらゆる創作表現に共通する精神です。先入観や得手不得手は捨て、本会場では、まず、作品の発する声に耳を傾け、対話を試みてください。
「書」と「絵」を一堂に展観することによって生まれた会場風景や、色々な平面表現・構成を、そして、絵画や画家の書の自由さを皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
書はおよそ1500年もの伝統がありながら、陶芸、染織などの工芸や能、歌舞伎などの舞台芸能のように、歴史上または芸術上価値の高い技の持ち主を重要無形文化財として指定する分野に国は認めていません。
だからこそ、逆に、書道独自の継承と進化によって、現代に息づく自由な伝統芸術として、今日を在らしめているのではないでしょうか。
令和5年1月18日
館長 大城章二
書 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
絵画 |
|
秋季特別展「詩歌そして書 ‐日本のこころ‐」を開催いたします。 沖縄本土復帰50年に当たり、琉歌(8886の音)作品を含めて短歌、俳句の書作品を展観します。 本展鑑賞に当たり、書と詩歌の両方を一点一点味わっていただきたいと思います。 書き手は、撰文したその詩歌を如何に表現するか…、逡巡して作品づくりをしています。鑑賞者には、書作品になった詩歌を、書と詩歌とを同時に味わう幸せが生まれるのです。 わたくしたちの祖先は、古代より、文字による記録以前から、うたを詠み、うたによって互いの想いを伝え、想いを確かめたと云われております。日本最古の歌集『万葉集』が生まれておよそ1,250年。平安時代には歌集を編むことが国家の事業となるまでに「うた」は重要なものとなりました。鎌倉時代の『詞集』に至るまで、二十一集の勅撰和歌集が編まれ、その間その後も数多の家集が編まれています。『万葉集』の部立ては、相聞、挽歌、雑歌の三つでしたが、『古今和歌集』では細かく、四季と恋とを中心に、賀、離別、羇旅、物名、哀傷、雑に分けられ、以降の勅撰和歌集の部立ての基本となりました。和歌の振興により、知識と教養による複雑な表現が求められて難解なものになっていった面もありましたが、とは云え、七五調のリズムは脈々と現代の私たちの呼吸に息づいて、三十一文字や十七文字に想い託すことは今や万人共有のもの、誰もが詠めるものとなっています。 ひるがえって、うたを記録する作業は、筆墨硯紙と文字の導入に伴い、一文字ずつ表記した万葉仮名から連綿やちらしの妙を駆使した変体仮名への成長と併せて料紙装飾の技術により、平安時代には文字と料紙の相俟った独自の美へと昇華しました。紙に毛筆手書きによって綴られてきた詩歌は能書によって一段と価値が高められてきたのです。仮名と漢字を見事に融合させた和歌の書き振りは、日本独特の書道の姿であり、世界に誇る日本美の極致です。 書家の「詩歌」を書作品とした表現と、歌人俳人ら「詩歌」の作者自身の文学表現を、同時に鑑賞する機会として、書と文学の緊密なかかわりあいを本展を機に多くの方に見直していただけたら幸いです。 令和4年10月15日
公益財団法人日本書道美術館
館長 大城章二
展示作家一覧 |
|
---|
日本書道美術館展は、技の錬度に重点が置かれがちな一般の展覧会の在り方とは一線を画し、個性豊かで気品ある作品、一般の人々にも容易に理解される作品に光を当てる意図で発足いたしました。その実現のため、審査員を書家のみとせず、美術、工芸、学問など、それぞれの分野の第一線で活躍されている方々に審査に加わっていただいてまいりました。また、協議の形を採らず、各審査員独自の判断を観客の目前で披露するという公開審査の形を第一回展より貫いてまいりました。さらに、審査員は、審査当日発表し、事前運動を防止しております。この方法は、書道展として他に例を見ない試みであっただけに回を追って益々好評を博し、厚い信頼をお寄せいただいているところであります。
今年は、その四十九回展でありますが、コロナ禍の続く状況下、審査員数も減らし、前回同様無観客での審査となりました。
二年以上続くコロナ禍にありながら、かわらぬご出品をいただきました皆様に敬意を表し、厚く御礼申し上げます。
本展では、役員等の部、一般公募の部ともに応募者の名前を伏せ、役職や経験年数、年齢にかかわらず同じ土俵で作品を一点一点丁寧に拝見し、賞を決定しましたが、作品一点一点は、皆様のご熱意とご努力の結晶。書友の熱気を、お一人でも多くの方に足を運んでいただき、直接感じていただきたいと念願いたします。
出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も、その質において最高のものを目指し、先人の努力に感謝しつつ、一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
回を重ね、更に錬度の高い作品の出品を心から期待申し上げます。審査員諸先生、皆様方のご声援を偏にお願いしてやみません
公益財団法人日本書道美術館館長 大城章二
当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各科2年間の集大成として、創作部・臨書作品の制作と般若心経浄書を行って います。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に 生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作56点を紹介します。
出品者 | 専攻科 28期 |
|
||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大学院 38期 |
|
|||||||||||||||
大学 58期 |
|
歴代講師作品展 展示作家 |
|
---|
日本教育書道連盟創立七十周年の喜ばしい節目にあたり、結成理念に基づき、後進の育成に日々邁進し、第一線で活躍中の審査会員の先生方有志99名による新作を中心とした作品を一堂に会し、皆様にご覧いただくことになりました。
結成時より、古典に基づいた正しい書道教育の普及と、その人材の育成、向上に努めてまいりました本連盟は、全国書道検定試験、日本書道美術館展、特設講座書道大学等においてその目的を具体的に示しておりますが、本展は、それらの場で自らを培った先生方が、それぞれの会心作をご出品くださいました。
併せて、多くのご門弟の方々にも色紙などの小品をお寄せいただき、こちらはコンクールの形をとりました。色紙や懐紙は家庭に気軽に飾れる大きさです。生活空間に作品を飾り、芸術を身近なものとして心豊かに、広く一般の方々とも書作品を分かち合い共にしていきたいという趣旨で開催いたしました。
本展を多くの皆さまにご覧いただくとともに、本連盟結成の目的完遂のために益々ともに協力して臨んでまいりたいと存じます。
本展において「日本教育書道連盟創立七十周年記念賞」等を皆様の鑑賞に資するため設けました。
選考に快く当たってくださいました清水透石先生、関吾心先生に、あらためて御礼申し上げます。
令和4年1月15日
公益財団法人 日本書道美術館
館長 大城章二
一般社団法人日本教育書道連盟は、我が国初の書道専門美術館「日本書道美術館」を会員の総力を挙げて設立させた日本で唯一無二の書道団体です。書道を芸術表現の一ジャンルと位置づけ、漢字は中国古典を、仮名は古筆を継承した今の表現として多くの作品を蒐集保存し、活用した展示を行っています。
昭和二十六年八月に東京家政大学等で開催された「文検」参加者を中心に結成された日本教育書道連盟は、今年、七十年を迎えました。戦後の混乱から立ち直ろうとする機運の中、書道教育・文化の復興を目指し、書道界が活況を呈していく時代が展開して参りましたが、本連盟は、文部大臣高瀬荘太郎氏を会長にいただき、書道教育の正しい方向性を全国に示し、学校教育における書写書道教育の復活の陳情等、我が国における書道の復権、向上に尽力。また、同文同志の国、中華民国に代表団をおよそ二十回に亘り派遣し、その都度、故宮博物院の名品の数々を特別に直に拝観する機会を得、于右任をはじめとする中華民国の書道界との友好を推進し、中央研究院所蔵の居延木簡の写真撮影・印行を許されるなど、数多の書道有志の啓蒙に尽力して参りました。と同時に、書道の伝道師として、各国駐在日本大使館の協力も得て、ヨーロッパ各地での日本書道展とデモンストレーションを開催。その後も北米大陸、更には中南米各地へと、海外への日本書道の紹介宣揚を積極的に行ってきました。それらは、今日の海外各国における書道愛好者の増加に繋がっているものと確信しています。
これらの難事業の遂行にはひとえに結成時から身を粉にして人々を牽引してきた小山天舟を中心とする創立会員の情熱が、書道界、政界(文部大臣経験者を中心に)の多くの方々の心を揺さぶり、多くの協力があったからこそ成し得たことです。
本展は、日本の伝統文化書道の発展と継承の礎を築いた人々を、書作品をとおして紹介します。
展示作家一覧 | 建設 委員長 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
建設 副委員長 |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
建設委員会顧問 |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
建設委員 |
|
日本書道美術館展は、技の錬度に重点が置かれがちな一般の展覧会の在り方とは一線を画し、個性豊かで気品ある作品、一般の人々にも容易に理解される作品に光を当てる意図で発足いたしました。その実現のため、審査員を書家のみとせず、美術、工芸、学問など、それぞれの分野の第一線で活躍されている方々に審査に加わっていただいてまいりました。また、協議の形を採らず、各審査員独自の判断を観客の目前で披露するという公開審査の形を第一回展より貫いてまいりました。さらに、審査員は、審査当日発表し、事前運動を防止しております。この方法は、書道展として他に例を見ない試みであっただけに回を追って益々好評を博し、厚い信頼をお寄せいただいているところであります。
今年は、その四十八回展でありますが、コロナ禍の続く状況下、審査員数も減らし、前回同様無観客での審査となりました。
一年以上続くコロナ禍にありながら、かわらぬご出品をいただきました皆様に敬意を表し、厚く御礼申し上げます。
本展では、役員等の部、一般公募の部ともに応募者の名前を伏せ、役職や経験年数、年齢にかかわらず同じ土俵で作品を一点一点丁寧に拝見し、賞を決定しましたが、作品一点一点は、皆様のご熱意とご努力の結晶。書友の熱気を、お一人でも多くの方に足を運んでいただき、直接感じていただきたいと念願いたします。
出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も、その質において最高のものを目指し、先人の努力に感謝しつつ、一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
回を重ね、更に錬度の高い作品の出品を心から期待申し上げます。審査員諸先生、皆様方のご声援を偏にお願いしてやみません
公益財団法人日本書道美術館館長 大城章二
当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各科2年間の集大成として、創作部・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作103点を紹介します。
出品者 | 専攻科 27期 |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大学院 37期 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||
大学 57期 |
|
このたび春季特別展「新収蔵作品展」を開催する運びとなりました。
当館の作品蒐集は、企画テーマによる揮毫依頼、購入そして寄贈となります。寄贈の御芳志は昨年も多方面から寄せられまことにありがたく存じます。受贈については当館のコレクションの特色を踏まえ、また、作品の保存状態、出所、内容を吟味し、役員会で協議のうえ決定しております。
今回ご紹介する作品は、特設講座書道大学大学院・専攻科講師をお務め戴いている師田久子先生の個展から、六曲屏風などの見応えある大作を、また、鈴木貴代美様からは、桑原翠邦、川村驥山、金子鷗亭、藤岡保子、大石隆子そのほかの軸装作品をご寄贈いただきました。小池保子様からは、数点の尾上柴舟の小品を寄贈いただきました。更に、角井博先生(特設講座書道大学講師)からご寄贈の鶴の姿を模した美しい雨端硯をご紹介します。
併せて、昨年度受贈の藤岡保子コレクションの一部から、保子作品と岡山高蔭、津金隺仙作品並びに購入作品、阪正臣ほかをご紹介します。
今回展示の作家が活躍した時代は様々ですが、自詠詩や自詠短歌を書で表現する阪正臣、岡山高蔭、尾上柴舟、津金隺仙、藤岡保子らの書道に対する姿勢は、伝統に真摯に取り組みながら、現代書道を表現している師田久子氏が引継いでおられることを確信できた展観になりました。
令和三年三月十一日
公益財団法人日本書道美術館
館長 大城章二
|
女性の仕事ぶりが注目される昨今ですが、新春展では女性の書道作品の様々をご紹介します。書家や各方面で活躍した人々の作品を館蔵品からピックアップし、一堂に展観します。「おんなで」とよばれた「仮名」、「おとこで」の「漢字」。それらを融合した日本ならではの書道。「書はひとなり」。個性光る、魅力あふれる作品の数々をご堪能ください。
筆者一覧 |
|
---|
秋季特別展は、日本書道美術館所蔵名品より「平安時代
から江戸時代」のコレクションを展観します。
「仮名」文字を、中国大陸から学んだ漢字をもとに編み出した私達の祖先。日本語の表記に便利な万葉仮名に始まり、みやびな草仮名へと展開し日本美を極めました。また、唐風の漢文の書き振りが、日本独特の風合いを帯びた書き振りへと変化し、漢字と仮名が融合した、漢字仮名交じりの調和体の文書が、今日の日本語の文章の表記へと繋がっています。
コレクションの最も古いものは、平安時代後期のもので、和歌文学が盛んであったことをよく示しています。漢字を指す真名に対し仮の文字である仮名を駆使して、筆のはたらきを活かして滑らかに美しく筆記しています。その息遣いと墨色の鮮やかさは、千年近くも昔のものとは思えないほど新鮮です。和歌、漢文の才とともに能書であることを要求されていた時代が長くあった日本。そんなことにも思いを馳せて、筆跡を堪能いただけたら幸いです。また、江戸時代には唐様書道が盛んになりましたが、中国大陸からの学問が背景にあることもご鑑賞の際には留めおきいただきたいところであります。表現には時代性が自ずから現れます。書を観るときに時代背景、人物像をおもうことで、本展の作品群は皆様のより一層身近なものになることでしょう。
館長 大城章二
廿巻本類聚歌合承暦二年四月二十八日内裏歌合、藤原定信・和漢朗詠集巻下(戊辰切)、伝寂蓮・和漢朗詠集切、烏丸光廣・月詠五首とし此へて、小堀遠州・消息、松花堂昭乗消息、本阿弥光悦・書状、良寛・きてみれば、近衛家煕・古今和歌集巻第七賀歌、亀田鵬斎・行書三行書、貫名海屋・行書七律詩巻ほか(順不同)
|
日本書道美術館展は、技の練度に重点が置かれがちな一般の展覧会の審査の在り方に一線を画し、個性豊かで気品ある作品、一般の人々にも理解される作品に光を当てる意図で創設されました。そのため、審査員を書家のみとせず、他の美術工芸、学問など、それぞれの分野の第一線で活躍されている方々に審査に加わっていただいてまいりました。また、協議の形を採らず、各審査員独自の判断を観客の目前で披露するという公開審査の形を第1回展より貫いてまいりました。審査当日に審査員メンバーを発表し、事前運動を防止しております。この方法は、書道展として他に例を見ない試みであっただけに回を追って益々好評を博し、厚い信頼をお寄せいただいているところであります。
今年は、その第47回展でありますが、昨年よりも出品数が若干ながらも増加、しかも若年層にその傾向がみられることは偏に先生方のご熱意とご努力の賜物と存じます。また、審査員を例年感嘆せしめる写経部に加え、本年は、臨書部の水準の高さも話題にのぼりました。その質において著しく向上していることは、館展が高く評価されていることを裏付けるものでありましょう。
本展は、役員等の部、一般公募の部ともに応募作品の名前を伏せて、役職や経験年数、年齢にかかわらず同じ土俵で作品を一点一点丁寧に拝見し、賞を決定します。このように出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も、その質において最高のものとするべく、先人の努力に感謝しつつ、一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
回を重ね、更に練度の高い作品の出品を心から期待申し上げます。諸先生のご声援を偏にお願いしてやみません。
令和2年7月 公益財団法人日本書道美術館館長 大城章二
※新型コロナウイルスによる非常事態宣言発出中のため、館展史上初めての無観客審査となり、3密回避のため4回に分散して行いました。
当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各科2年間の集大成として、創作部・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作79点を紹介します。
出品者 | 専攻科 26期 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大学院 36期 |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||
大学 56期 |
|
唐詩は時代を越え、国を越えて愛誦されてきました。詩情豊かな書とともに鑑賞することで、一層味わい深く、書と文学が融合したゆたかな世界、「唐詩百選展‐書で味わう唐詩の情景‐」を開催いたします。
本展は、昭和六十年新春に開催した「唐詩百選」展出品作品が中心となりますが、再開催に当り、所蔵の作品群のうち揮毫者の重複等を避け、新規に十七首をご揮毫いただきました。元来作品は、書家自らが撰文しそれを作品に表現しますが、本展企画は、“詩”ありきで始まっており、出品をご快諾くださった新井光風氏、杭迫柏樹氏はじめご出品の皆さま方にあらためて感謝、御礼申し上げます。
本展準備に当たり、既刊の『唐詩百選集』で目にしていた作品を直に拝見し、その墨色と余白の美しさに感動することしきりでした。淡墨作品が多く、モノクロの作品集では表現しえなかった本物の味わいを、本展をとおして感じていただけるかと存じます。当時ご揮毫いただいた方々を見まわしますと、当時の書壇の動静を感じます。そのほとんどが鬼籍に入られました。昭和から平成を経て、令和の時代の表現に変化しながら、世代がバトンタッチしていく企画となりました。
今回、あらためて『唐詩百選展‐書で味わう唐詩の情景‐』図録を編むに当たり、佐藤保先生に読み下し、発音表記等について丁寧な御指導を賜わりました。漢詩は、字数、構成、対句、押韻、平仄などの制約を設けることで堅実な構成と音律的な美しさを生み出してきた文学です。その理解の手助けのために、『唐詩百選集』刊行当時と同様に発音を添えました。
高度な文明が漢字という文字を生み、符号的な字形を書体の色々によって変化させ、筆者の知性と感性と技によって、黒と白の共鳴の洗練された美の表現に高めた書道、喜怒哀楽をあたかも歌曲を聴くかのような表現に高めた詩。特権階級の文字による高度な文化が唐時代に漢詩の全盛期を迎え、今に伝えられ、私たちはその当時の詩を現代の日本の書道から鑑賞することができる幸運をかみしめつつ、令和最初の新春特別展をひらきます。
公益財団法人日本書道美術館
館長 大城 章二
出品者 |
|
---|
かつては、生活空間に屏風という形で身近にあった書や絵画。しかし、生活様式の変化で生活の場から遠のいて久しい。"身近に存在した書"の観点から、一雙の屏風には場の雰囲気を変える力が宿っています。当館コレクションの屏風と、近現代の書家の(一部画家、陶芸家)の書式が整いながらも作品的な美しい手紙の数々を展観し、書の表現の様式を紹介します。
屏風の世界 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
書壇名家の手紙 |
|
日本書道美術館展は、昭和49(1974)年に第1回展を開催し、爾来、審査を公開で行い、審査員は審査当日に発表。また、誰もが心打たれる作品を選出されるよう、審査員は、書道界と各方面の著名人で書に深い関心を持たれる方を半々として委嘱しており、出品者にとって納得できる厳正公平な姿勢を貫いて参りました。
創作部からスタートした館展は、数回の改正を行い、現在、創作、臨書、写経部に大字、近代詩文書、篆刻、墨象を加え、現代書道の多様な表現を受け入れております。
審査は、一次審査から1点1点名前を伏せて、役職、経験年数、年齢に拘らず、また、会派や所属に拘らず同じ土俵で丁寧に拝見します。審議の結果、約1割の優秀と認められた作品は、公開審査にのぼり、見学者が見守る前で作品を公開し、各審査員は無言のまま点数を入れ、その評点も公開されて審査が進められます。
46回展の公開審査は5月2日、全国各地から約100名の見学者の参加を得、熱気に包まれる中進められました。公開審査に掛けられた作品は119点。内、創作部71点、臨書部33点、写経部15点でした。その他の部門は該当がありませんでした。審査の結果、下記の作品が入賞を果たしました。
出品の最高齢は大正10年生まれの97歳、最年少は平成18年生まれの13歳でした。
出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も質において最高のものとしていくために一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
皆様のご声援を今後ともよろしくお願い申し上げます。
公益財団法人日本書道美術館館長 大城章二(彫刻家)
当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各科2年間の集大成として、創作部・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作100点を紹介します。
出品者 | 大 学 第55期 |
|
|||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大学院 第35期 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||
専攻科 第25期 |
|
このたび、新春特別展では「臨書」に焦点をあて、独自の世界をつくりあげた書家や第一線で活躍する現代書家の最近作を展観し、各人各様の「古典」の取り組みぶりに迫ります。中でも、仮名書道の大家、藤岡保子は多くの臨書‐特に漢字‐を残し、その実力と追及する態度に圧倒されますが、本展では、当館収蔵の一部をご紹介します。
作家がその命を吹き込み、あらたに蘇った「古典〈臨書〉」の多様で、深奥な世界に触れていきます。
田中親美 | 平家納経 | 川村驥山 | 王羲之 蘭亭集序 |
---|---|---|---|
藤岡保子 | 臨 唐僧懐素自叙帖 | 藤岡保子 | 臨 顔真卿筆「祭姪文稿」 |
藤岡保子 | 臨 孫過庭 書譜 | 藤岡保子 | 臨 伝橘逸勢 伊都内親王願文 |
藤岡保子 | 臨 俊成卿「仮名消息」 | 藤岡保子 | 臨 伝藤原行成 関戸古今集 |
藤岡保子 | 臨 藤原定家卿和歌二題 | 藤岡保子 | 臨 烏丸殿御文 |
藤岡保子 | 臨 敦忠集切 | 小坂奇石 | 顔真卿 臨祭姪藁(祭姪文稿) |
小坂奇石 | 顔真卿 臨争座位藁(争坐位文稿) | 植村和堂 | |
伊東参州 | 懐素 小草千字文 | 青山杉雨 | 臨太宗書 |
青山杉雨 | 青山杉雨 | 歐陽詢行書帖抄録 | |
青山杉雨 | 甘泉帖 唐太宗書 | 青山杉雨 | |
青山杉雨 | 東晉帝王書臨 | 戸田提山 | 太宗 晉詞銘 |
榎倉香邨 | 伝小野道風 本阿弥切 | 松下芝堂 | 虞世南 孔子廟堂碑 |
小木太法 | 臨権量銘 | 小木太法 | 臨爨寶子碑 |
小木太法 | 臨楊淮表紀 | 小木太法 | 臨爨寶子碑「龍騰鳳翔」 |
池田桂鳳 | 空海 灌頂記 | 池田桂鳳 | 藤原定信 金沢万葉集 |
清水透石 | 伝紀貫之 高野切第二種 | 清水透石 | 良寛書状 |
新井光風 | 臨召尊銘 | 新井光風 | 臨馬振拝等三十四人造像記 |
師田久子 | 手鑑 「月の桂」 | 浦野俊則 | 殷・甲骨文「丁未翌祭卜辞」 |
浦野俊則 | 関 吾心 | 敦煌漢簡 | |
稲田静子 | 良寛 | 加藤東陽 | 伝橘逸勢 三十帖冊子 |
仲川恭司 | 平形精逸 | 歐陽詢 臨九成宮醴泉銘 | |
平形精逸 | 歐陽詢 臨行書千字文 | 長野竹軒 | 王羲之 神龍半印本蘭亭序 |
長野竹軒 | 和田澄子 | 伝紀貫之 高野切第一種 | |
高木厚人 | 伝紀貫之 寸松庵色紙 | 吉澤鐵之 | |
原奈緒美 | 光悦書状 | 齊藤紫香 | 伝源俊頼 巻子本古今集巻第十三 |
鄭道昭 天柱山題字 | 青山浩之 | 孫過程 書譜 |
日本書道美術館は、1973(昭和48)年11月4日、東京常盤台の閑静な住宅街に、「博物館法」に基づいたわが国初の「書道」を専門とする美術館として開館しました。
書家や書道教育者、書道を愛好する者にとり、美術館設立は、長年の大きな希望でありましたが、その実現のために日本教育書道連盟(昭和26年8月結成)の小山天舟理事長を中心に有志役員が立ち上がり、連盟結成20年の完成を目指しましたが、漸く昭和46年に建設委員会(委員長田中塊堂)を発足、全国会員と書壇有志から資金協力並びに歴史的名品の寄贈を得て、委員会発足から2年余りで完成、開館したのでした。その運営組織は、当初より財団法人(文部省許可)とし、現在は内閣府認可の公益財団としてオープンな運営を行っています。その運営は、当館事業にご理解をいただく有志による「参与」会員制度を開館当時より設け、会費のご協力をいただいています。参与会員は、書家、書道教育者、書道愛好者などどなたでも入会いただける制度です。
本展は、理事、監事、35年以上にわたり館を支えてきてくださった参与をはじめ、副館長、参議及び日本書道美術館展役員その他の選抜有志による小品(色紙中心)およそ200点を一堂に展観します。その表現は各人各様、現代の書の様々をご覧いただけます。
日本書道美術館は、1973(昭和48)年11月4日、東京常盤台の地にオープンしました。
戦後、書道が、日本画、洋画、彫刻そして工芸に並ぶ美術として、一堂に展観されるために、尾上柴舟、豊道春海らは大変な努力をした結果、1948(昭和23)年、第4回日本美術展覧会(当時は日本藝術院主催)第五科となり、現在(現在は、公益社団法人日展主催)に至ります。
同時に、書道の専門美術館建設が渇望されましたが、この実現は不可能であるという見解が大方でした。しかし、二人の薫陶を受けた小山天舟は、恩師田中塊堂とともに日本教育書道連盟会員、日展会員有志の賛同・協力により資金と収蔵品を調達、更には文部大臣経験者等芸術文化に造詣深い政治家の力添えを得て、文部省管轄財団法人の許可を受け、確実なる法人としての位置づけを図り、遂に実現させたのでした。そして、田中塊堂を館長にいただき、日本書道美術館は、「博物館法」に基づいた我が国初の書道美術館として開館したのでした。
惜しいことに、塊堂は1976(昭和51)年に、天舟は2013(平成25)年に鬼籍の人となってしまいましたが、日本書道美術館は現在、内閣府認可の公益財団法人として、間もなく満45年となります。これを記念して、初代館長を務めた仮名書道の大家、田中塊堂の作品を館蔵品から展観し、書家・塊堂のしごとを振り返ります。
田中塊堂
1896(明治29)-1976(昭和51)年 岡山県山田村(現在の矢掛町)生まれ。
川谷尚亭に漢字書を学び、その後、古筆、古写経研究に専心し、品格ある平安朝の古筆を基調とした格調高い作風の作品「平和」で、日本藝術院賞受賞。細字・大字ともに仮名書の表現領域を広げた功績は大きい。また、般若心経浄書を日課としつつ、写経を究め、博士号を取得。漢字(主に草書体)作品も数多く残している。奈良国立博物館調査員、帝塚山学院大学教授、財団法人日本書道美術館館長、日展参与等を歴任。同時に、小山天舟と共に日本書道代表団を結成し、中華民国(台湾)、ヨーロッパ各国、アメリカ合衆国並びに中南米各国を歴訪し、日本書道を紹介して現地との交流を計るなど、日本書道の海外宣揚に努めた。
日本書道美術館展は、昭和49(1974)年に第1回展を開催いたしました。爾来、審査を公開で行い、審査員を審査当日に発表。また、誰もが心打たれる作品を選出していただくために、審査員は、書道界と各方面の著名人で書に深い関心を持たれる方を半々として委嘱しており、出品者にとって納得できる厳正公平な姿勢を貫いて参りました。
この方法は書道展として他に例を見ない方法であっただけに斯界の注目するところとなり、回を追って益々好評を博し、永年にわたり厚い信頼をお寄せいただいているところであります。ひとえに、出品者各位のご努力と審査員諸先生のご尽力の賜物であるとあらためて感謝申し上げます。
創作部からスタートした館展は、数回の改正を行い、現在、創作、臨書、写経部に大字、近代詩文書、篆刻、墨象を加え、現代書道の多様な表現を受け入れております。
審査にあたっては、1点1点を名前を伏せて、役職や経験年数、年齢に拘らず、また、会派や所属に拘らず同じ土俵で丁寧に拝見し、審査していきます。約1割の優秀と認められた作品は、公開審査の場に上り、見学者の見守る前で作品を公開し、各審査員は無言のまま点数を入れ、その評点も公開されて審査が進められます。
45回記念展の公開審査は4月29日に行われ、全国各地から約100名の参加を得、会場は熱気に包まれて立錐の余地のないほどの盛況ぶりでした。公開審査に掛けられた作品は127点、内創作部78点、臨書部30点、写経部17点、大字部1点、篆刻部1点でした。出品の最高齢は大正14年生まれの93歳、最年少は平成15年生まれの14歳でした。
出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も質において最高のものとしていくために一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
皆様のご声援をひとえにお願いしてやみません。
公益財団法人日本書道美術館館長 大城章二(彫刻家)
遠山敦子 | 書道は造形芸術の中でも文字と言葉が合わさってひとつの風景を作り出しているわけですが、景色の中で少々違和感を覚えるものも時にはございましたが、もっと見ていたいなあと思うものも審査ですので通り過ぎて行ってしまいました。古典を学び、修練、努力を感じましたが、時代に訴えるものがあってもいいのではないか、と思いました。 |
---|---|
臨書は、古典に忠実な姿勢に感銘を受けましたが、臨書作品として自分のリズムに則るという方向性も必要と考えます。写経は、緻密で繊細な立派な作品でした。創作は、うまく纏まっていました。そこに躍動感、人間らしさが加われば、期待を感じさせる力強い作品になっていくと思います。 | |
角井 博 | 自分の感性を鋭くして臨みました。漢字臨書は古典の寸法にとらわれず、自由に書かれ見事でした。紺紙金泥の写経の成果を評価しました。創作は厳選された作品だけにバランスのよい真面目な作品が多い反面、新鮮な生き生きとした独自性を持った作品が少なかったようで残念でした。 |
杭迫柏樹 | 臨書部は、古典をしっかり捉えた佳い作品ばかりでした。あらためて古典の偉大さを感じました。写経には感服しました。一編の物語をみているような感覚を覚えました。創作は、自分の美の理想を表現しようとしているかといったことを中心に評価しました。作者の意図と構想が消化された作品は、漢字より仮名に多くあったように思いました。表現したい理想を持たないと柱のない建物になってしまいますので、表現する意思を持つことが大切です。 |
清水透石 | 臨書は、古人の優れた作品を一生懸命臨書している姿がみられましたが、自分なりのものを更に引き出して表現してください。写経は心を込めた濁りの無い線で、高く評価しました。創作は審査の結果、仮名に高得点が集まり、漢字よりすぐれた作品が多くありました。心の表出と筆を一体化させるところへの努力がたいせつです。 |
下谷洋子 | 気合のこもった写経はいずれも素晴らしかったです。臨書は、緻密に書かれ、特に仮名において潤筆に深さがあって、バランスが良かったと思います。渇筆部分も古筆の存在感、豊さが欲しいと思いました。創作も墨色と線のリズムのバランスのよい、心に響く作品に惹かれました。 |
西嶋慎一 | 仮名作品に線の冴えが目立っておりました。総じて仮名の方が佳いものが多かったという印象です。漢字作品ももっと冴えた厳しい線で情感、雰囲気をつくり、訴えてきてほしかったと思います。古典で成されてきたことをつかみ、古典に大いに学ぶことが肝要かと思います。 |
藪野 健 | ルクソール古代建築調査で、壁画の一本の線が、スピードと強さとリズムでコントロールされていることに驚きました。今日は一本の線で書かれた様々な作品を、絵を見るのと同じように拝見しました。創作者の心の中に入って行かれる作品は、表装と表裏一体で増幅作用で風景をつくり、心に響いてくると感じました。ディテールに神が宿ると、それを再認識した楽しい経験でした。 |
栁澤朱篁 | 篆隷の作品が臨書部公開審査にのぼらず残念でした。写経部は、清々しさに心惹かれ、金銀泥のものに評価すべきものがありました。創作は惜しいと感じる作品が目立ちました。もっともっと頑張って頂きたい。私自身、指導の立場としての方向性を学ばせてもらいました。 |
大城章二 | 枠の中に納まったおとなしい作品が多くみられました。伸び伸びとエネルギッシュな印象の作品を評価しました。芸術の本質、最も大切なものは生命感です。エネルギーの躍動が感じられるのがよい作品です。技術は経験とともに付いてきますが、それだけではよい作品に繋がりません。作品に対する思い入れがもっともっと必要であると思います。 |
当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各科2年間の集大成として、創作・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作90点を紹介します。
出品者 | 大 学 第54期 |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大学院 第34期 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||
専攻科 第24期 |
|
(50音順)
日本書道美術館では、世界に誇る伝統芸術「書道」の価値ある作品を厳選し、蒐集保管し、次世代に伝えていくことを重要な事業として位置づけています。平成29年度中に寄贈により新たに当館収蔵となった作品をこの度の春季特別展で展観、ご紹介します。
出品作品 | 尾上柴舟筆「香具山帖」ほか 1点 | |
---|---|---|
新井光風筆「懿徳」ほか 7点 | ||
花輪たね筆「万葉歌」 | ||
小出聖水筆行書「七言絶句」 | ||
平成29年秋季特別展新収蔵御製御歌作品 16点 | 全28点 |
書家・歌人
書道界の重鎮、
かつて、漢字が大陸から伝来し、王羲之の書風に代表される唐様が隆盛し、そして、我が国独自の特徴を備えた和様が発展しました。その後も大陸と交流しつつ、新たな書風を学び漢文の書は展開してきました。明治という時代は世の中に大変革をもたらし、清国の楊守敬の来日が刺激となって、巖谷一六や日下部鳴鶴らを輩出、新たな表現の時代が始まりました。そして、近藤雪竹や丹羽海鶴、比田井天来らが続き、さらに、昭和の戦後、絵画、彫刻と肩を並べた書は、会場芸術として表現が大きく変換。西川寧、金子鷗亭、手島右卿らが時代をリードして、現在もその精神は、新井光風氏、星弘道氏、仲川恭司氏らに引き継がれています。
出品者 |
|
---|
「天皇陛下御製皇后陛下御歌展」をこのたび秋季特別展として開催する運びとなりました。
日本書道美術館では、これまで折節に、御製御歌を賜わり、各界第一線で活躍する方々の謹書作品を展観する機会をいただいて参りました。昭和五十八年一月、開館十周年を記念し、
「皇太子殿下 同妃殿下御歌展」開催に当たり、昭和二十六年からの御製六十首、昭和三十五年からの長歌を含む御歌四十首をお示し賜わり、学問、芸術の各分野及び国政の第一線でご活躍の方々がご揮毫申し上げました。次いで平成二年には
新天皇陛下御即位を慶賀申し上げ、
「今上陛下御製皇后陛下御歌展‐皇太子同妃両殿下時代の御作」を開催。新たに昭和六十三年までの御製二十五首御歌二十五首をお示し賜わり、併せて百五十首を展観申し上げ、
皇太子殿下行啓、紀宮殿下のお成りを賜わりました。
また、平成四年、沖縄復帰二十年を記念して、沖縄の古典文学「琉歌」と工芸を紹介した「琉歌‐南島のうたの心」展には、琉歌を含めた御製御歌を特別にお寄せ賜わり、沖縄の方々を中心に謹書申し上げ展観、
天皇皇后両陛下行幸啓、皇太子殿下行啓、紀宮殿下お成りを賜わりました。
更に、平成二十一年には、同年歌会始までの御製十五首御歌十五首を加えることのお許しを賜わり
「御成婚五十周年記念‐天皇陛下御製皇后陛下御歌展」を開催申し上げました。
御即位から間もなく三十年。新たに本年歌会始までの御製御歌の謹書をお許し賜わり、新作十七点が加わりました。三十五年間に蓄積された豊かな作品群は、昭和二十六年から本年歌会始までの御製百二十首百二十五作品、昭和三十五年から本年歌会始までの御歌九十二首九十五点を数えますが、御歌集に未発表の御製御歌も散見され、貴重な資料を形成しています。また、御製御歌のご染筆のお顔ぶれはその時代を担ってこられた方々であり、作品の表現は、個性とともに歳月の厚みある貴重な財産として、大きな意義をもつものと存じます。今回は、これらのコレクションからお許しを賜わりました御製九十二首御歌六十八首、百六十作品を一堂に展観申し上げました。
最後に、本展開催に当たり種々ご高配を賜わりました宮内庁並びにこれまでに謹書の労を賜わりました皆様方、そして企画にご助言賜わりました新井光風氏、清水透石氏にあらためて深謝申し上げる次第でございます。
(展覧会図録、「館長ごあいさつ」より)
文化勲章受章者 | 二代浅藏五十吉(陶芸・日本藝術院会員) 伊藤清永(洋画・日本藝術院会員) 大山忠作(日本画・日本藝術院会員) 小倉遊亀(日本画・日本藝術院会員) 金子鷗亭(書・日本藝術院賞受賞・全国戦没者追悼式「全国戦没者之霊」標柱揮毫) 河盛好蔵(仏文学・評論・日本藝術院会員) 小山敬三(洋画・日本藝術院会員) 坂田藤十郎(歌舞伎・重要無形文化財保持者・日本藝術院会員) 杉本苑子(作家) 千玄室(茶道) 髙木聖鶴(書・日本藝術院賞受賞) 六世中村歌右衛門(歌舞伎・重要無形文化財保持者・日本藝術院会員) 守屋多々志(日本画) |
---|---|
文化功労者 | 宇野信夫(劇作・日本藝術院会員) 上條信山(書・日本藝術院賞受賞) 絹谷幸二(洋画・日本藝術院会員) 清元志津太夫(清元節・重要無形文化財保持者・日本藝術院会員) 金田一春彦(国語学) 野村萬(能狂言方・重要無形文化財保持者・日本藝術院会員) 日比野五鳳(書・日本藝術院会員) 日比野光鳳(書・日本藝術院会員) 牧阿佐美(バレエ) 三善晃(作曲・日本藝術院会員) 森下洋子(バレエ・日本藝術院会員) |
日本藝術院会員 | 木下繁(彫刻) 鷹羽狩行(俳句) 能島征二(彫刻・日本藝術院賞受賞) 蛭田二郎(彫刻・日本藝術院賞受賞) 山本貞(洋画・日本藝術院賞) |
日本学士院会員 | 関集三(物理化学) 諸星静次郎(農学) |
日本藝術院賞受賞 | 新井光風(恩賜賞・書・全国戦没者追悼式「全国戦没者之霊」他標柱揮毫) 津金孝邦(恩賜賞・書) 榎倉香邨(書) 大石隆子(書) 黒田賢一(書) 桑田笹舟(書) 近藤摂南(書) 殿村藍田(書) 宮本竹逕(書・歌会始召人) |
重要無形文化財保持者 | 赤地友哉(漆芸) 奥山峰石(金工鍛金) 音丸耕堂(彫漆) 鎌倉芳太郎(染織) 新内仲三郎(新内節) 鈴木苧紡庵(染織) 鳥羽屋里長(長唄) 西出大三(截金工芸) 藤間藤子(舞踊) 藤本能道(陶芸・元東京藝術大学長) 森茂好(能ワキ方) |
宮中歌会始詠進歌選者 | 香川進(歌人) 三枝昻之(歌人) 篠弘(歌人) 山本友一(歌人) |
芥川賞受賞 | 新井満(作家) 大城立裕(作家) |
日本書道美術館展は、昭和49(1974)年に第1回展を開催いたしました。爾来、審査を公開で行い、審査員を審査当日に発表。また、誰もが心打たれる作品を選出していただくために、審査員は、書道界と各方面の著名人で書に深い関心を持たれる方を半々として委嘱しており、出品者にとって納得できる厳正公平な姿勢を貫いて参りました。
この方法は書道展として他に例を見ない方法であっただけに斯界の注目するところとなり、回を追って益々好評を博し、永年にわたり厚い信頼をお寄せいただいているところであります。ひとえに、出品者各位のご努力と審査員諸先生のご尽力の賜物であるとあらためて感謝申し上げます。
創作部からスタートした館展は、数回の改正を行い、現在、創作、臨書、写経部に大字、近代詩文書、篆刻、墨象を加え、現代書道の多様な表現を受け入れております。
審査にあたっては、1点1点を名前を伏せて、役職や経験年数、年齢にかかわらず、また、会派や所属にかかわらず同じ土俵で丁寧に拝見し、審査していきます。約1割の優秀と認められた作品は、公開審査の場に上り、見学者の見守る前で作品を公開し、各審査員は無言のまま点数を入れ、その評点も公開されて審査が進められます。
44回展の公開審査は4月29日に行われ、全国各地から約100名の参加を得、会場は熱気に包まれて立錐の余地のないほどの盛況ぶりでした。公開審査に掛けられた作品は139点、内創作部80点、臨書部33点、写経部25点、大字部1点でした。出品の最高齢は大正14年生まれの92歳、最年少は平成15年生まれの13歳でした。
出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も質において最高のものとしていくために一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
皆様のご声援をひとえにお願いしてやみません。
公益財団法人日本書道美術館館長 大城章二(彫刻家)
力強く、個性が発揮され、活かされた作品群でした。制約の中で、工夫の様が見られ、日頃の努力が実った立派な結果だと思います。
気持ちが表れ、気脈や行間が繋がり、骨格がしっかりしている作品を評価しました。書いた人に寄り添った、ぶれ無い審査を心掛けました。
安定感があって、心がざわつかないものを評価しました。写経の運筆の確かさは、落款にも生きて、まことに素晴らしいものでした。
書も日本画と同様に伝統芸術です。中国から伝わり、日本人の新たな思考を加えて伝統の太い縄を綯ってきました。今日はそれを感じました。
形に囚われすぎると、線が疎かになるので意識を常に線に持っているといいと思います。写経は確実な運筆に、経年の力を感じました。
臨書は、形をとることも大事なことのひとつではありますが臨書する者の意識とエネルギーを臨書の中に、もっと込めて欲しいと思いました。
古代文字から現代の日本の漢字、そして仮名まで様々なジャンルの作品に触れ、色々な作品を通じて書を学ばせていただきました。
見た瞬間にドキドキするか、という直感的な目線で拝見しましたが、我が身が評価されているという思いでした。出品者に敬意を表します。
書は、紙と墨の単純なものですが、立体を理想とし、線と構成がうまく噛み合うと余白が際立ち立体的に見えます。その見地で拝見しました。
線が持つ力強さや立体感、線の抑揚と涸れ具合で、二次元が三次元の世界になっていきます。夫々の構成を楽しく拝見いたしました。
現代書壇を代表する名流の色紙など、仮名の小品50数点を展観します。髙木聖鶴、日比野光鳳、榎倉香邨、黒野清宇 ほか。
当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各課程2年間の集大成として、創作・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作121点を紹介します。
出品者 | 大 学 第53期 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大学院 第33期 |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
専攻科 第23期 |
|
(50音順)
日本書道美術館では、世界に誇る伝統芸術「書道」の価値ある作品を厳選し、蒐集保管し、次世代に伝えていくことを重要な事業として位置づけています。平成28年中に寄贈・購入により新たに当館収蔵となった作品をこの度の春季特別展で展観、ご紹介します。
出品者芳名 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
みどころ | 書壇の重鎮、清水透石氏の「かな」の作品は、昨年、初個展に発表した屏風等の大作をはじめ11点を展観。また、物故者の未発表作を表具し、新たに公開します。 |
万葉仮名とよばれる漢字の音読や訓読で記された万葉集が、永年の研究で翻訳され、漢字平仮名で表記されることにより、現代の私たち誰もが親しく読み、多くの書作品で味わうことができるようになりました。
本展では、98首の短歌を134人の書家が万葉・変体・平仮名などでそれぞれに詩情豊かに書き上げた小品139点を展観します。
出品者芳名 |
|
---|
日本教育書道連盟は、戦後行われた文部省教員免許法認定講習会に全国から集まった先生方の総意のもと、昭和26年8月に結成されました。元文部大臣高瀬荘太郎先生を初代会長にお迎えし、全国統一書道検定試験の実施、中華民国との交流、欧米諸国への日本書道の宣揚、さらに我が国初の書道を専門とする美術館・日本書道美術館の創設という大事業の数々を敢行。その間、書道界において常に中立的立場をとり、古典学習を中心に伝統を守りながら今の時代の正統的書道を追求してきました。厳正公平な審査は合格基準がおのずから高く、結果、社会的に厚い信頼となっています。
この度結成65周年を迎え、これを記念して、審査会員有志による色紙作品を中心に、一堂に展観します。
主な出品者 | 会 長 | 奥野誠亮(元文部大臣・元法務大臣・元国土庁長官) |
---|---|---|
名誉会長 | 海部俊樹(元内閣総理大臣・元文部大臣) | |
初代会長 | 高瀬荘太郎(元文部大臣) | |
元副会長 | 田中塊堂(文学博士・日本藝術院賞受賞・日本書道美術館初代館長) | |
前理事長 | 小山天舟(前日本書道美術館館長) | |
副会長 | 牧 笛甫(日本書道美術館副館長・愛知) | |
内田豊泉(日本書道美術館名誉副館長・長野) | ||
理事支局長 | 村田麗水(日本書道美術館副館長・愛知) | |
堀江素琴(日本書道美術館名誉副館長・兵庫) | ||
阿部朱昂(日本書道美術館副館長・神奈川) | ||
永田峰亭(日本書道美術館副館長・大阪) | ||
丸谷 秀(日本書道美術館副館長・大阪) | ||
山川蓬邑(日本書道美術館副館長・三重) | ||
市川竹穂(日本書道美術館副館長・栃木) | ||
大島竹華(日本書道美術館副館長・三重) | ||
北川佳邑(日本書道美術館副館長・神奈川) | ||
伊藤欣石(千葉) | ||
武山翠屋(愛知)ほか173名(1都1道2府27県) |
このたび秋季特別展「仮名書道の魅力―かな文化を承け継いで―」を開催する運びとなりました。
仮名は平安時代に、漢字の音を借りて記した万葉仮名を起源に成立し、現在、私たちが使う文字としての平仮名と、一方で、和歌などの写本として、その美しさが追求され、行書きから散らし書きなど、芸術的表現へと発展し、和様漢字の展開とともに、漢字を調和させた仮名書道が確立され、日本美の頂点として今日まで伝えられています。
本展では、それらをどのように承け継ぎ発展させてきたかを考察したいと存じます。
なお、展観作品はすべて当館の所蔵作品です。昭和四十八年十一月四日、収蔵数僅か五百点で開館し、爾来、購入、寄贈等、少しずつ蒐集に当たって参りましたが、現在、大きな作品群となり、広い時代区分で展観することが可能となりました。これまでに貴重な作品をお寄せくださった故人、現役の先生方並びに大切な所蔵品をご寄贈くださった皆さま方に、この場をお借りしてあらためて心からお礼申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。
出品者 | 鎌 倉 | 伝藤原為家 | ||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
室 町 | 頓 阿 | |||||||||||||||
江 戸 | 松花堂昭乗 | 近衛家熈 | ||||||||||||||
近現代 | 小野鵞堂 | 大口周魚 | 阪 正臣 | 岡山高蔭 | 中村春堂 | 尾上柴舟 | 吉澤義則 | 藤岡保子 | ||||||||
比田井小琴 | 高塚竹堂 | 鈴木翠軒 | 安東聖空 | 相沢春洋 | 田中塊堂 | 内田鶴雲 | 桑田笹舟 | |||||||||
日比野五鳳 | 谷辺橘南 | 浮乗水郷 | 森田竹華 | 今関脩竹 | 深山龍洞 | 平田華邑 | 熊谷恒子 | |||||||||
植村和堂 | 堀 桂琴 | 宮本竹逕 | 小山素洞 | 飯島春敬 | 伊藤鳳雲 | 宮重小蘭 | ||||||||||
杉岡華邨 | 小山やす子 | 髙木聖鶴 | 榎倉香邨 | 楢崎華祥 | 桑田三舟 | 小山天舟 | 日比野光鳳 | |||||||||
赤江華城 | 黒野清宇 | 池田桂鳳 | 井茂圭洞 | 清水透石 | 師田久子 | 黒田賢一 | (敬称略) |
日本書道美術館展は、昭和49(1974)年に第1回展を開催いたしました。爾来、審査を公開で行い、審査員を審査当日に発表。また、誰もが心打たれる作品を選出していただくために、審査員は、書道界と各方面の著名人で書に深い関心を持たれる方を半々として委嘱しており、出品者にとって納得できる厳正公平な姿勢を貫いて参りました。
この方法は書道展として他に例を見ない方法であっただけに斯界の注目するところとなり、回を追って益々好評を博し、永年にわたり厚い信頼をお寄せいただいているところであります。ひとえに、出品者各位のご努力と審査員諸先生のご尽力の賜物であるとあらためて感謝申し上げます。
創作部からスタートした館展は、数回の改正を行い、現在、創作、臨書、写経部に大字、近代詩文書、篆刻、墨象を加え、現代書道の多様な表現を受け入れております。
審査にあたっては、1点1点を名前を伏せて、役職や経験年数、年齢に拘らず、また、会派や所属に拘らず同じ土俵で丁寧に拝見し、審査していきます。約1割の優秀と認められた作品は、公開審査の場に上り、見学者の見守る前で作品を公開し、各審査員は無言のまま点数を入れ、その評点も公開されて審査が進められます。
43回展の公開審査は4月29日に行われ、全国各地から約100名の参加を得、会場は熱気に包まれて立錐の余地のないほどの盛況ぶりでした。公開審査に掛けられた作品は138点、内創作部77点、臨書部36点、写経部25点でした。その他の部門は残念ながら該当がありませんでした。出品の最高齢は大正10年生まれの95歳、最年少は平成14年生まれの13歳でしたが、公開審査に上ったのは、87歳から16歳までの幅広い年齢の方々の作品でした。
東日本大震災から5年の今年は、被災地の岩手県から1名、宮城県7名、福島県12名、合計20名25点の出品、その内3名が上位賞を受賞しました。復興半ばの彼の地から出品された方々に、心から敬意を表します。併せて、熊本県からのご出品の皆様にも心からお見舞い申し上げます。
今年も各部門に力作が揃いましたが、特に林白鷺さんの仮名巻子が審査員各氏から高評を得て大賞に輝き当館収蔵となりました。創作部は、大字仮名の水準の高さが目立ち、漢字は高校二年生の若々しい作品が公開審査に上りました。臨書部は、上位賞の我がものとした臨書の姿勢に感服いたしました。写経部は、今年も審査員を唸らせる格調高いものでした。田中塊堂、小山天舟の遺志を多くの方が継いで、今や館展の伝統となりました。
一般公募の部は、出品者の熱意が伝わり好感がもてました。公開審査に上る作品は今回はありませんでしたが、これから伸びていくものを感じさせる作品が数多くみられました。
出品者にとって納得できる館展の姿勢を誇りとし、今後も質において最高のものとしていくために一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
皆様のご声援をひとえにお願いしてやみません。
公益財団法人日本書道美術館館長 大城章二(彫刻家)
その他の上位入賞者 | 創作 | 臨書 | 写経 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
奥野誠亮日本教育書道連盟会長賞 | 長嶋青硯 (神奈川) |
山本濤峰 (大阪) |
井上素水 (千葉) |
鈴木華泉 (愛知) |
皆上華僊 (埼玉) |
|||||
大城章二日本書道美術館館長賞 | 尾関溪山 (愛知) |
谷垣紫舟 (京都) |
伊勢地愛仙 (和歌山) |
大石彩光 (宮崎) |
中塚秀石 (大阪) |
|||||
東京都知事賞 | 工藤純仙 (東京) |
|||||||||
日本教育新聞社賞 | 篠崎廣葉 (茨城) |
小林生良 (奈良) |
有馬向風 (埼玉) |
山口瑞櫻 (神奈川) |
有馬向風 (埼玉) |
|||||
特別賞 | 古川悠眞 (新潟) |
堀井清苑 (兵庫) |
安倍峰雪 (栃木) |
宇津木節子 (埼玉) |
(埼玉) |
|||||
井森清泉 (奈良) |
陶守成湖 (岡山) |
齋藤祥仙 (千葉) |
徳野秀翠 (大阪) |
竹内香雪 (東京) |
現代書壇を代表する名流の色紙など、小品50数点を展観します。
主な出品者は髙木聖鶴、日比野光鳳、榎倉香邨、松下芝堂、黒野清宇 ほか。
当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各課程2年間の集大成として、創作・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の教えに基づき、品格と高い精神性を学び「書の心」として各人に生きづいています。本展は、本年3月に卒業・修了の力作102点を紹介します。
大 学 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大学院 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
専攻科 |
|
古来、書は教養として重んじられてきました。その作品からは、筆者それぞれの教養や感性、人柄を感じとることが出来ます。
本展では、近現代の学者、作家、画家などが書きあげた詩歌など個性豊かな書作品約65点を展観し、「書は人なり」をその筆跡から味わいます。
出品者 | 学 者 | 宇野精一 | 金田一春彦 | 杉山三郊 | 阪正臣 | 堀江知彦 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
湯川秀樹 | ||||||||||
歌 人 | 会津八一 | 大石順教 | 大口周魚 | 香川進 | 窪田空穂 | |||||
斎藤茂吉 | 佐藤佐太郎 | 清水比庵 | 釈迢空 | 与謝野晶子 | ||||||
俳 人 | 飯田蛇笏 | 荻原井泉水 | 金子兜太 | 河東碧梧桐 | 鷹羽狩行 | |||||
高濱虚子 | 長谷川かな女 | 水原秋桜子 | 村上鬼城 | 山口誓子 | ||||||
詩 人 | 北原白秋 | 佐藤春夫 | 白石かずこ | 野口雨情 | ||||||
作 家 | 大城立裕 | 岡本かの子 | 尾崎紅葉 | 川端康成 | 幸田露伴 | |||||
今東光 | 里見弴 | 瀬戸内寂聴 | 坪内逍遥 | 永井荷風 | ||||||
樋口一葉 | 吉川英治 | |||||||||
画 家 | 大山忠作 | 奥谷博 | 奥村土牛 | 小倉遊亀 | 中川一政 | |||||
中村不折 | ||||||||||
彫刻家 | 北村西望 | |||||||||
工芸家 | 飯塚小玕斎 | 今泉今右衛門 | 太田儔 | 音丸耕堂 | 蓮田修吾郎 | |||||
藤本能道 | 三輪休和 | |||||||||
その他 | 入江相政(昭和天皇侍従長) | 宇野信夫(演出家) | 下田歌子(教育家) | |||||||
清元志壽太夫(清元節太夫) | (敬称略) |
先の終戦から70年を経た今日、戦後生まれの世代が、多様な文化が混在し、目まぐるしく変化する現代社会の中で、その表現を模索しています。
本展では、会派門流をこえて、精鋭50人を推挙。それぞれが情熱をもって取り組んだ渾身の作品を一堂に会します。併せて推薦委員18人の作品を特別展観します。
出品作家 |
|
---|
特別展観 【推薦委員】 |
|
---|
浅見錦龍 奥田家山 木村知石 小山素洞 髙木聖鶴 戸田提山 梅 舒適
日比野五鳳 平田華邑 山下荻舟 他
第42回展を迎えました。今年も各部門に力作が揃いましたが、その中でひときわ光を放ったのは、大石彩光さんの般若心経でした。審査員各氏から高い評価を得、大賞(当館に永久保存となる)に輝きました。
臨書部は、漢字仮名ともに練度の高いものが多く、我がものとした臨書の姿勢に好感が持てました。写経部は、館展に相応しく格調の高さを競っています。創作部漢字の書体が多彩になってきたことは、出品者の表現の幅が広がってきたことを示すものとして嬉しい傾向です。創作部仮名は、小字作品に水準の高いものが多く、表現も多様で伝統の厚みを感じました。今後、大字仮名にも期待します。
書は、文字を用いて表現する芸術ですので文字を正しく書くことは当然のことですが、遺憾ながら筆路不明瞭なものが散見されました。また、漢字仮名ともに表現が類型化傾向にあって、訴えるものが弱く、もっと貪欲になってほしいと思いました。
東日本大震災から4年の今年は、被災地から18人24点の出品があり、福島県2名、宮城県1名が上位賞を受賞。被災の傷痕残る彼の地から出品された方々に、敬意を表します。また、今年も応募年齢の幅が広く、100歳から14歳、同じ土俵の上で評価されました。館展が多くの年齢層からご支持いただき、信頼をいただいていることの証しかと、大変嬉しく思います。皆さまのご支持を糧に、厳正公平な姿勢を貫き、出品者にとって納得できる館展を、今後も最高のものとするべく、先人に感謝し、一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
館展は、多くの部門を設けている書道展です。また、流派、会派を問わず出品いただけます。本展に出品の無い方にも、今年の館展を是非ご見学いただければと、心からご来館をお待ち申し上げております。
大城章二(日本書道美術館館長・彫刻家)
その他の上位入賞者 | 奥野誠亮日本教育書道連盟会長賞 | 柴野豊苑 | 巽 慶耀 | 伊勢地愛仙 | 三浦香代 | 波塚祥華 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大城章二日本書道美術館館長賞 | 日野葱花 | 小柳緑泉 | 三浦香代 | 坂口春翠 | 山中愛子 | |||||
東京都知事賞 | 堀井清苑 | |||||||||
日本教育新聞社賞 | 角谷仙峰 | 長嶋青硯 | 小原白峯 | 山﨑恵水 | 永堀菁蘭 | |||||
特別賞 | 小山美泉 | 菅谷寿泉 | 二若桐舟 | 竹内香雪 | 島田翠松 | |||||
谷垣紫舟 | 須原理恵 | 岡本輝行 | 中塚秀石 | 李 順玉 |
当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各課程2年間の集大成として、創作・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の浄書作品に基づき、品格と高い精神性を学びました。 本展は、本年3月に卒業・修了された方々の卒業・修了制作作品を展観します。
専攻科 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大学院 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
大学 |
|
近年、展覧会場に出品展示される書は大作が多い。その大きな紙面の迫力や華やかさにおいて、圧倒的な魅力を持っています。
その一方、色紙・短冊、また扇面、かるたなど小作品は日々賞(め)でいつくしむ楽しみを与えてくれます。形は小さくともその核心をつかんでいるものは、大きなスケールを生みます。
作品の本質は、文字の大小、紙面の大小に関わりません。完成度が高ければ、観る者の心に訴えかけてくるのです。
今回の展覧会では大作と小品、それぞれの表現の違い、そしてその可能性をさぐることに光をあててみました。
|
当館は1973年の開館以来、散逸しがちな近現代の書作品の蒐集に力を入れてきました。5千点余の収蔵品から、
明治から昭和にかけての仮名書の流れを再認識すべく、その代表的な作家の佳品を展観します。
時には暖かく柔らかな線で、時には鋭く紙面を切り裂くような強い線で、変幻自在で繊細な仮名の世界を、
本展を通じて、身近なものに感じて頂ければと存じます。
出品作家 |
|
---|
第41回展を迎えました。
応募作品は、練度の高いものが多く、ことに写経部のレベルが群を抜いて格調高く、また、臨書部も確かな力をもち、拝見していて大変嬉しく感じました。
今回、創作部において、20歳の若人が名誉館長賞の栄に輝きましたことは、特筆に値することと思います。
また、東日本大震災被災地の福島県から3名、宮城県から1名の方々が上位賞を受賞しました。まだまだ被災の爪痕の残る彼の地から出品された方々に敬意を表します。
今年も作品応募年齢の幅が広く、94歳から14歳でした。これも館展が多くの年齢層からご支持いただき、また、信頼をいただいていることの証しかと、大変嬉しく思います。
皆さまからお寄せいただいたご支持を糧に、館展を今後もその質において最高のものとすべく、先人に感謝し、一層の努力を傾注して参りたいと存じます。
館展は流派、会派を問わず、広く応募いただける書道展です。本展に出品の無い方にも、今年の館展を是非ご見学いただければと心からご来館をお待ち申し上げております。
大城章二(日本書道美術館館長)
( | 東京国立博物館名誉館員 日本書道史学者 |
) |
その他の上位入賞者 | 文部科学大臣賞 | 横内令華 | 井上素水 | 秋山紅舟 | 有馬向風 | 三浦香代 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
奥野誠亮日本教育書道連盟会長賞 | 菊地睦仙 | 伊勢地愛仙 | 大石彩光 | 竹内香雪 | ||||||
大城章二日本書道美術館館長賞 | 柴野豊苑 | 長嶋青硯 | 井上素水 | 浅田芳園 | 米岡志朗 | |||||
東京都知事賞 | 巽 慶耀 | |||||||||
日本教育新聞社賞 | 角谷仙峰 | 須原理恵 | 池田杏泉 | 吉田智園 | 小原白峯 | |||||
役員特別賞 | 尾関溪山 | 山内松風 | 中村緑苑 | |||||||
前野竹青 | 平賀紫華 | 山口瑞櫻 | ||||||||
特別賞 | 山﨑恵水 | 松井秀廣 | 皆上華僊 |
当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各課程2年間の集大成として、創作・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の浄書作品に基づき、品格と高い精神性を学びました。 本展は、本年3月に卒業・修了された方々の卒業・修了制作より優秀作品を選出し、展観します。
特選 | 専攻科第20期 | 木村利至子(埼玉) | 中井翠楊(神奈川) |
---|---|---|---|
大学院第30期 | 稲田遊雲(千葉) | 山下香鶴(東京) | |
大学第50期 | 白神虹晴(神奈川) |
日本書道美術館は、本年11月4日に開館40周年を迎えました。これを記念し「現代の書」展を開催します。
現代書壇の第一線で活躍中の書家(日本芸術院賞受賞、大学書道科教授、日展審査員等)の近作・新作を一堂に展観。現代書道の理想的なあり方を追求してきた作家の作品をとおして「書道芸術のいま」を広く一般に供します。
併せて「日本書道美術館展」の審査に携わった書家の作品を展示し、40年に亘る書道芸術の動向を一望します。
出品作家 |
|
---|
日本書道美術館は、11月4日に開館40周年を迎えます。当館は設立当初より、公募展では他に例を見ない、厳正公平な「公開審査」による理想の書展「日本書道美術館展」を開催し、全国、海外から出品の7万余点の作品を発表、高い評価を得てまいりました。
本展では、その第1回展から現在までの、大賞受賞作品をはじめとした優品を一同に展観し、40年にわたり正しい書道のあり方を目指してきた「館展」の歴史を振り返ります。
出品作家 |
|
---|
※「第40回記念 日本書道美術館展」紹介ページに掲載の篠崎廣葉、長嶋青硯の作品も展示。
当館特設講座書道大学・大学院・専攻科では、各課程2年間の集大成として、創作・臨書作品の制作と般若心経浄書を行っています。般若心経は古写経研究の第一人者田中塊堂博士の浄書作品に基づき、品格と高い精神性を学びました。
本展は、本年3月に卒業・修了された方々の卒業・修了制作より優秀作品を選出し、展観します。
四季の変化が豊かな日本において、花々は私たちに季節の移り変わりを実感させるとともに、その姿と香りは、過ぎこし方のできごとやおもいをあざやかによみがえらせてくれるものです。
その感情は、文学や美術などの創作意欲をかきたて、古来より、多くのうたや詩に詠まれてきました。
本展では、そうした詩歌を書壇名家が詩情豊かに書き上げた作品約100点を展観いたします。
四季折々の花が咲く姿、花のある風景、花にこめたおもいなど、その文学世界を、文字芸術として表現。書家が、その詩歌といかに対峙し、書道芸術として表現しているか。配字や連綿、墨色の濃淡、潤渇などその表現方法を、歌と詩とともにご鑑賞ください。
出品作家 |
|
---|
入 館 料 | 一般1,000円 高・大生700円 小中生500円 (10名以上団体割引あり) ※未就学児は入館できません。 |
---|---|
協 賛 | 日本教育書道連盟 |